日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第28話

南ロウリア軍は完全に行き詰まっていた。指導者不在の状態のピョーヤンは、わずか3日の間で住民による暴動が拡大し、あちこちから喧騒が響き渡り、火災も起きている。

首都内にある商店は暴徒化した住民による襲撃を受け、店内や倉庫にあった食料品から日用品は全て奪われ、店の支配人は商品を仕入れようにも南ロウリアの領地は国連軍に奪われて補給路が遮断されてしまった事と軍からの外出禁止命令により仕入れる事が出来ず、外国から仕入れようにも南ロウリアには海軍戦力が無く港も無いためそれも出来ない。それが積み重なっていき、やがてピョーヤンは深刻な食糧不足に見舞われるようになった。

 

 

 

「そろそろ連中も限界に来てるな」

 

 

ピョーヤン上空を飛んでいる無人機からの映像を見ていた国連軍のトップ達はその様子をテレワーク会議方式で見ている。

 

 

『情報では首都内では深刻な物資不足と食糧不足が起きている模様で、この暴動は軍が住民を鎮圧しようとした結果起きた様です』

 

「ここまで来ると最早、ソマリア並だ。このまま放っておくと最悪な事態になりかねん」

 

「では、そろそろ降伏勧告を送りますか?」

 

「そうだな。で、ナーフはどんな様子だ?」

 

『はい。ハークが我々の代理として、こちらからの質問を行っていますが、今のところ素直に答えてくれている模様です。軍へ対する降伏勧告に自ら説得を行うとの事です』

 

「ほぅ。手こずるかと思ってたが、やはりハークの血縁者だな」

 

「えぇ。では南軍への降伏勧告は準備出来次第、実行する事にしましょう」

 

 

国連軍は南軍へ対する降伏勧告を実行に移そうとしていた。その方法とは、今ピョーヤンで問題となっている食糧などを利用し住民達を国連軍の味方につける心理戦法である。

実はピョーヤンの住民達は食糧を確保のため、近くの森や山に狩猟や山菜などの採取に出掛けるフリをして軍の目を盗んで首都を脱出して国連軍に投降する者が出てきており、国連軍は彼等に対して食料を提供する見返りとして、国連軍に投降すれば難民として食料と最低限の生活を保障するという噂を流して欲しいと頼み、協力を申し出た住民達はその情報と提供された食料品を持って一度ピョーヤンへと戻りその噂を様々な手段を使って流し始めたのである。

 

 

それから一週間が経過すると、それは顕著に現れ始めた。

噂を聞き付けた住民達は暴徒に気を取られている軍の目を盗んで次々と首都から抜け出し、国連軍へと投降、食料品の提供を受け、その情報を噂として更にピョーヤン内へと流し、噂の信憑性を上げていくという循環に陥っている。

そこから更に数日が経ち、遂には限界を向かえた軍人も住民達と脱走を計り食料の提供を条件に国連軍に捕虜となっていく。

 

 

既に南ロウリアは内部から崩壊を始め、最早首都内にはナーフを信奉する一部の軍人と、内務人民委員しか残っておらず、彼等は最後まで徹底抗戦する構えである。

 

 

 

そして開戦から1ヶ月でこの戦争の決着が着こうとしていた。

一部の理由で住宅地に残っている民間人を除き、誰も居なくなった静かなピョーヤンの奥にある議事堂を中心とした官庁街に向けて、国連軍第1師団と第2師団による総攻撃が開始される。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

第1師団と第2師団、そして沖合いに展開している尾張からの砲撃が開始される。

雨あられのように降り注ぐ大小の砲弾が官庁街の建物や建造物を次々と吹き飛ばしていく。

 

 

「もう………終わるんだな」

 

 

住宅地から砲撃を受ける官庁街を見ていた少数の民間人達は、爆音と煙が上がるのを見て、この国はお終いだと痛感する。

 

 

「さて、俺達も準備するか」

 

「あぁ……こんな馬鹿な事、直ぐに終わらせよう」

 

 

 

住民達は家から出ると、そこから二手に分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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