日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第12話

艦砲射撃で灰塵に帰した軍港に日米の連合上陸部隊のAAV7が波を掻き分け、黒と白の煙幕を張りなが浜へと近付いていく。

上空を海兵隊のハリアーⅡが対地攻撃装備で展開しており上陸地点の奥の林にある敵陣地へ向けてロケット弾を撃ち込んでいく。

 

 

「グァァァ!!」

 

「早くあの五月蝿いのを何とかしろ!!」

 

「取って置きがある!使うぞ!」

 

 

陣地内に居た皇国軍守備隊はハリアーによる頭上からの攻撃晒され、何とか対抗しようと虎の子であるミリシアル製の旧式魔導対空砲を上空に向けた。

 

 

「撃てぇぇ!!」

 

 

魔力が充填され目映い光が辺りを覆い尽くした瞬間、光弾が打ち上げられ、上空に居た1機のハリアーに迫る。

 

 

『チィ!』

 

 

狙われたハリアーのパイロットは魔導砲発射前の光で攻撃の兆候を察知していたため、機体から大量のフレアとチャフを放出させながら機体をロールさせ間一髪で回避に成功した。

 

 

「避けられた!早く充填を急げ!」

 

 

皇国兵は渾身の一撃を回避され次なる発射に向けて魔導砲に魔力を充填させていく。

 

 

「早くしろ!早く!早く!」

 

「あと数十秒で発射可能です!」

 

「早くせんかっ!早く!」

 

 

高速で迫ってくるハリアーに砲の指揮官は部下達を焦らすが、HUD越しにその様子を見ていたハリアーのパイロットは操縦桿のトリガーに指を掛ける。

 

 

『Good by!fire!』

 

 

主翼下のAGM-65マーベリックミサイルが撃ち出され、数秒後に魔導砲に直撃、砲を操作員ごと粉微塵に吹き飛ばした。

 

 

『こちらフライングドック!敵の対空砲を無力化した!』

 

 

ハリアーによる敵陣地への攻撃が終ると、上陸部隊が速度を上げて真っ直ぐ浜辺へと突き進む。

 

 

 

「降車!」

 

「Go!Go!Go!Go!」

 

 

浜辺へと車体を乗り上げた海兵隊と陸自のAAV7。そのまま上陸すると車体後部から海兵隊と水陸機動団の隊員達が飛び降り、その場で伏せて前方に銃口を向ける。

隊員達を降ろしたAAV7はそのまま浜辺を掛け上がるように前進し、その後ろから隊員達が続いて前進する。

 

 

 

「伏せろ!」

 

 

 

誰かがそう叫ぶと、AAV7の車体に火花が散る。

日米の隊員達はその場で伏せ、前方の林に設けられた陣地からパーパルディア兵達が銃を構えているのが見えた。

 

 

「撃ち返せ!」

 

 

 

AAV7が機関銃とMk19グレネードで反撃し、隠れていた皇国兵はグレネード弾の爆発で次々と吹き飛ばされ、機関銃の攻撃の前に倒れていく。

 

 

「奴等を吹き飛ばせ!」

 

 

水陸機動団水陸機動連隊の隊員が伏せた状態で、84ミリ無反動砲(B)を構え、装填手が砲弾を装填する。

 

 

「後方安全確認!」

 

「撃て!」

 

 

射手が引き金を引くと、尾部から爆風と衝撃波が放たれて砂を巻き上げ、装填されていた砲弾が撃ち出される。

砲弾は防御用に積み上げられていた石と土嚢による防御壁に着弾、爆風と衝撃波で大穴を開けた。

 

 

「fire!」

 

 

米軍側もSMAWロケットランチャーとFGM-148ジャベリン対戦車ミサイルによる攻撃を行い突破口を開いた。

 

 

 

「前進!!」

 

 

 

日米の部隊は車両を盾に再び前進し、AAV7が破壊された防御壁の残骸を踏み潰しながら遂に陣地内へと突入、その後を海兵隊員が射撃しながら入り込んできた。

 

 

「ダメだ!逃げろ!!」

 

「逃げるな!戦え!戦うのだ!」

 

「逃げろ!!皆逃げるんだ!」

 

「俺も連れていってくれ!置いてくな!」

 

 

 

既に士気の崩壊により皇国兵達は負傷者を見捨てて逃げ出していく。それを止めようとする指揮官と逃げるように指示する指揮官の命令が混在し大混乱となり、組織的な行動が出来なくなっていく。

 

 

「皇国万歳ィィィィ!!」

 

「ウォォォォォォォォォ!」

 

 

勇敢な皇国兵が剣と銃剣を装着した魔導銃を手に突撃を仕掛けてきた。

 

 

「しゃらくせぇ!」

 

「今時古いんだよ!」

 

 

実戦経験豊富な海兵隊員は手にしているM4やM16A4に装着されているドットサイトの点を正確に皇国兵に合わせて一人ずつ撃ち倒していき、後方の機関銃手による分隊支援射撃による援護射撃を受けて、逆に押し返していく。

 

 

 

「奴ら射撃が正確すぎる!」

 

「あんな数しか居ないのに火力を上回ってるとでも言うのか!?」

 

「駄目だぁ……もう駄目だ!」

 

 

突撃したつもりが逆に押し返され皇国側の士気は更に低下し、逆に後退していく皇国軍を押し返す津波のように海兵隊は前身を続ける。

 

 

「負傷者は撃つな!」

 

 

負傷して動けなくなっていた皇国兵と降伏を示した無傷の皇国兵は水陸機動団が拘束していく。

 

 

「指揮所確認!」

 

 

誰も居なくなっていた指揮所へと海兵隊が突入し、敵の指揮系統を抑える事に成功した。

 

 

「これは……この辺一帯の陣地図です」

 

「敵さん余程慌ててたみたいだな」

 

 

 

指揮所にいた皇国軍側の指揮官らは慌てて逃げ出したのか、付近一帯の皇国軍の配置図や陣地図がそのままとなっており、陽動が目的の日米の上陸部隊は更に有益な情報を手に入れる事に成功した。

 

 

 

「これよりこの浜部一帯を確保する!」

 

 

上陸部隊は浜辺一帯の敵の掃討を開始し、ものの1時間で浜辺一帯を制圧、無事に橋頭堡を確保に成功する。

日米の部隊は確保した橋頭堡の防備を固めて態勢を建て直した敵からの攻撃に備える。

 

 

 

 

「後続が来たぞ!」

 

 

後続のLCACから戦車等の重車両、CH-47JとCH-53Eから増援の日米部隊の隊員と兵士が次々と降り立ち、橋頭堡を維持しつつ敵軍の注意を自身達に引き付けるための更なる陽動作戦に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、パーパルディア皇国エストシラントのパラディス城

 

 

今日、この日の早朝から皇城の会議室では緊急の御前会議が開催されていた。緊急時でも無い限り開かれる事の無い緊急時御前会議に集まっている面々は緊張した面向きである。

会議に参加しているメンバーは主に、カイオスを除き、皇帝のルディアスをはじめとした皇国の首脳陣達であり、各々が座っている机の上には日本に関する資料が並べられている。

 

 

時系列順に記された日本のこれまでの行動について各員の表情は暗いが、そんな中でも話を進めるためアルデが説明を始める。

 

 

「先ずは軍の現状についてご説明いたします。海軍は戦力9割を損失、報告から総合的に判断し海軍は壊滅。陸軍戦力についても皇軍3大基地は全て敵の攻撃によりこちらも壊滅的被害を受けており、特に航空戦力については全滅に近い被害を受けました。今後基地再建の際には、一ヶ所に戦力が集中しすぎないように配慮する必要がありますが再建は此度の戦いには間に合いそうにありません。」

 

 

アルデは更に不幸とも言える説明を続ける。

 

 

「そして我が皇都防衛の要、南方基地が敵艦隊の砲撃で壊滅、敵の上陸部隊が上陸し南方基地は放棄されました。同時にデュロも敵飛行機械による爆撃を受けて壊滅状態です。敵に占領されるのも時間の問題かと」

 

 

 

その言葉に皆がざわめく。

 

 

 

「占領されようとしているならば何故軍を編成しないのだ!?」

 

「陸軍基地が壊滅しており、残存戦力は全て皇都防衛のために再編しなければなりませんし、それに南方から上陸した敵部隊を食い止めるためそちらにも戦力を回さなければならないので現状でデュロの防衛は不可能です」

 

 

デュロはパーパルディア軍全体の兵器製造の最大拠点であり、ここを潰されては軍全体に回す分の兵器製造は不可能である。現状は備蓄分で間に合ってはいるものの、既に不足している物もあり長期的に見てもデュロの奪還は必要である主張は正しいが、皇都防衛と南方から上陸した日米上陸部隊の迎撃を最優先事項と判断し、デュロ奪還は後回しにせざる得なかった。

 

 

「現状の皇都防衛のための戦力についてですが、攻撃を受ける以前の戦力の回復は現状不可能です。たとえ全ての属領から撤退した属領統治機構の戦力を吸収すればまだ……」

 

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

 

そこへ臣民統治機構の責任者が異議を唱える。

 

 

「属領統治機構軍を撤退させれば、間違いなく反乱は起こります!只でさえ我が国に反旗を翻す国が次々と現れ、連合軍を結成している。その戦力は決して無視できるものではない。そうなれば食料供給は滞り、軍どころか臣民や我々も餓死は免れない!」

 

「臣民統治機構は属領に反乱を起こさせないために存在するのではないですか?万が一、属領を全て失ったとしてもここを守る重要性は天秤に掛けられない」

 

 

既にパーパルディアは兵器製造拠点を失い、属領もアルタラス王国王女ルミエスの呼び掛けで一斉に反乱を起こされパーパルディアは圧倒的に不利である。

会議は暗礁に乗り上げ、一向に話が進まず時間だけが過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エストシラントの街中にある皇城へと続く大通りでは、カイオスを乗せた馬車と、後ろからもう一台の馬車が走っていた。

後ろから続く馬車は、一見すれば幌付きの商人が使う馬車に見える。

 

 

「警戒が厳しくなってきたな。カイオスさん、目的地までは後どれくらいですか?」

 

『後数分と言った所ですな』

 

 

耳に挿入しているインカムから聞こえてくるカイオスの声。

荷台に乗っているカイオスの私兵に変装していた日米特殊部隊。幌に空いている穴から周囲を警戒している隊員達。

 

 

 

 

 

 

 

やがて皇城近くへ来ると、軍による検問に引っ掛かった。

 

 

「皇都防衛隊だ。何者だ?」

 

「あぁ…私だ。カイオスだ。」

 

 

隊員達の緊張感が高まる。万が一に備えて隠している銃のセーフティーに指を掛ける。

 

 

「これは…失礼いたしました!お通りください!」

 

「ご苦労」

 

 

検問に立っていた兵はカイオスを顔パスで通し、緊張が解かれる。

 

 

 

 

 

 

やがて皇城にたどり着くと、正門を通りカイオスらは一旦馬車や荷物を預かる保管場所に案内される。

馬車を降りたカイオスは鈴木達が隠れている箱に向かって僅かに頷くと、その場に居た10人の兵士に声を掛ける。

 

 

「君達。すまないが後ろの馬車には私の私兵達が乗ってるんだが荷物を多く積みすぎて降りられないんだ。悪いが手伝ってくれないか?」

 

「はっ!」

 

 

カイオスの頼みに何の疑いもなく、若い兵士は馬車へと近付いていく。そして幌が捲られると顔を隠すようにマスクや布で覆っている兵士達は箱を次々と手際よく降ろしていく。

 

 

「いいぞ。出てくれ」

 

「あぁ」

 

 

カイオスの私兵に変装したハットリはそう言い、後ろの部下達に視線を送り馬車から降りていく。

 

 

「ありがとう。助かったよ」

 

「では、我々はこれで」

 

 

作業を終えた兵士達は後ろを向いてその場を去ろうとする。

その瞬間、ハットリ達は懐からナイフを取り出し背後から襲いかかる。

 

 

「ムグッ!?」

 

 

鈴木は指揮官らしき皇国兵の背後から、左手で口を塞ぐと右手に持っていたナイフで喉を掻き切り絶命させる。

他の者も手際よく始末された。

 

 

「まず第1段階は成功か」

 

 

そう言ってハットリ達は鎧を脱ぎ捨てて、乗ってきた馬車から麻袋を取り出すと始末した皇国兵を一人ずつ包んで馬車へと乗せる。

 

 

「さて……カイオスさん。後の案内はお任せします」

 

「心得た。着いてきてくれ」

 

 

カイオスと鈴木達は突入組と、スナイパー組の二手に分かれて城へと入る。

 

 

 

 

 

 

続く

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