日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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※2021/ 5/16 加筆修正しました


第13話

皇城の中をカイオスを先頭に歩く鈴木達は、周囲を警戒しつつ、皇帝らが集まっている会議室へと向かう。

 

 

「城の中って言う割には、警備が手薄ですね。」

 

「南からの上陸してきた貴国の部隊の迎撃に皇都防衛隊と、城の警備隊からも若手の兵士が多数徴収されたのだろう」

 

 

カイオスの言う通り、城に入ってからすれ違う兵士の数が異様な程少なかった。

陽動作戦が上手くいっている何よりの証拠であった。

 

 

 

「ハンマー、シューターへ。配置はどうだ?」

 

『こちらシューター、配置に就いた。』

 

「了解。」

 

 

 

鈴木達と分かれたスナイパーチームは城壁や見張り台を占拠し配置についている。

スナイパーチームの役割は、エストシラント南方海上に居るボノムリシャールから飛び立ったハリアーによる警備隊詰所への爆撃誘導、皇帝の身柄確保を行う特殊急襲部隊SAT特務班と特殊事件捜査係SITの連合部隊の突入と狙撃による援護を目的としている。

 

 

 

「見えた。あれが会議室だ。」

 

 

 

カイオスが指差した方向には装飾が施された立派な扉があり、扉の前には警備兵が二人程立っている。

鈴木は後ろに手をやるとハンドサインで指示を出し、扉の前に立っている二人の警備兵をクロスボウで手早く始末する。

 

 

「発破用意」

 

 

数人の隊員が扉の蝶番にC4プラスチック爆薬を設置、点火用コードを伸ばして点火スイッチと接続すると突入準備を整える。

 

 

「後は爆撃隊待ちか」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 エストシラント南方を低空飛行するハリアーの飛行編隊が皇都へと向かっている。

 

 

『そろそろ予定時刻だ。各機、攻撃態勢!』

 

 

先頭を飛行するハリアーに乗り込む海兵隊のパイロットが火器官制システムにスイッチを入れて、搭載してある全兵装のセーフティーを解除する。

 

 

『全機、突入!!』

 

 

皇都の南側から突入した攻撃隊は市街地を低空飛行して通過、辺りに轟音を響かせながらパラディス城へと突入する。

 

 

 

『タリホー!!全機上昇!』

 

 

 

皇城の目の前で攻撃隊は一気に上昇、主翼下ステーションの誘導爆弾を投下。スナイパーチームのレーザー誘導で警備隊詰所へと吸い込まれていくように落下し、警備詰め所は跡形もなく吹き飛ばされた。

 

 

「何だ!?」

 

「敵襲か!」

 

 

爆音が会議室内に響き渡る。

 

 

「落ち着け!落ち着くのだ!直ぐに警備隊に緊急命令を出し、城の守りを固めるように伝えろ!」

 

 

慌てる議員達の中で、冷静だったルディアスの命令を受け、アルデが魔信で警備隊に城を固めるように指示を出す。

 

 

 

 

 

時を同じくして、皇城に向けて南の方向から多数のヘリが飛行していた。

 

 

 

「また敵中枢への突入か」

 

 

黒塗りのUH-60Jの機内で草壁警視正率いるSAT特務班が窓越しに皇城を見る。特務班は一年前のロウリア戦時にロウリアの王城に突入しており、その時の実績が買われ今回もSITと共に首謀者を捕らえる任務を受けている。

 

 

「着陸5分前です!」

 

 

ヘリの乗員からの報告に草壁は機内に居たSAT隊員達に指示を出した。

 

 

「フォーメーションスタンバイ!」

 

 

隊員達は顔に黒い目出し帽を被り、その上からバイザー付きのヘルメットを被る。手にしていた89式小銃に実弾入りのマガジンを差し込む。

 

 

 

 

「では我々も」

 

 

 

別のUH-60Jの機内に居た警視庁特殊事件捜査係SITの隊員達も手にしている自動拳銃に弾倉を装着する。

 

 

 

「着陸まで1分!」

 

 

 

ヘリが皇城の城壁を越えて、着陸地点に設定された南の庭地にホバリングすると、ランプドアから降下用のロープが降ろされた。

 

 

「降下!」

 

 

草壁の合図で先行役のSAT隊員達はロープを伝って地面に次々と降りたち、周囲の安全を確保する。

 

 

「我々も行くぞ!」

 

 

 

続けて、今回も青木率いるSITの隊員達もヘリからロープで降り立った。

 

 

 

「行くぞ!」

 

 

 

SAT特務班とSITは城内へ侵入していく。今回の任務で銃で武装した皇国兵との遭遇戦を想定し、SAT特務班はバリスティックシールドと89式小銃を装備しているなど普段よりも重装備である。

 

 

「貴様ら何者だ!?」

 

「侵入者が……がぁっ!」

 

 

隊員達の目の前に皇国兵が立ちふさがるが、反撃する間も無くバリスティックシールド持ちのSAT特務班員のグロック19の射撃により脳幹を撃ち抜かれあっけなく制圧される。

 

 

「うぉぉぉっっっっ!!!!」

 

「皇国ばんざぁぁぁぁい!!」

 

 

勇敢な皇国兵が手にしている剣を手に突っ込んできたり、数少ない魔導銃で反撃してくる。

しかし数十年間もの間、様々な状況を想定して訓練を積み重ねてきた日本警察の精鋭であるSATの練度と装備を前に皇国兵は自慢の魔導銃から放たれた弾丸はバリスティックシールドに受け止められ通用せず、逆にグロック19や89式小銃の射撃に抵抗出来ず制圧されていく。

 

 

 

「来たか」

 

 

 

会議室前に到着しハットリ達と合流した草壁と青木達。

 

 

 

「この先に目標が集まってる」

 

「了解」

 

 

 

会議室内に居る皇国首脳陣確保のため、突入準備に入る。

 

 

(恐ろしいくらいに統率が執れている………王城に直接乗り込んでロウリア王を捕縛したと言う話は本当だったようだ)

 

 

カイオスはSAT特務班の動きからその能力の高さに舌を巻き、感心を通り越して尊敬すら覚えた。

 

 

「用意よし」

 

 

突入準備が整い草壁がハットリにハンドサインを送る。

ハットリは手にしていた点火スイッチに指を掛ける。

 

 

「発破!」

 

 

スイッチが押されると、扉に設置された爆弾が爆発し扉を吹き飛ばす。

 

 

「グレネード!」

 

 

特務班員がスタングレネードを室内に放り込んだ。

爆竹を何倍にも大きくした爆音と閃光を合図に全員が一斉に室内に突入する。

 

 

 

「警察だ!警察!」

 

「伏せろ!伏せろ!伏せろ!」

 

 

 

突入した隊員は中に居た軍幹部や要人達を次々を椅子から床に伏せさせて両手を結束バンドで縛り上げていく。

 

 

 

「貴様ら!何者だ!」

 

 

 

会議室の奥に居たレミールがルディアスを守るように、剣を構える。

 

 

 

「目標確認!」

 

 

 

レミールとルディアスの顔を写真で確認すると青木が前に出る。

 

 

 

「日本国警察の者です。レミールさんとルディアスさんで間違いございませんか?」

 

「日本だと…!?この神聖なる皇城に土足で踏み入るなど、どう言う了見だ!」

 

「勿論、あなた方を逮捕するためです」

 

「逮捕だと!?ふざけるな!何故陛下と私が貴様ら蛮族に捕えられなければならん!」

 

「あなた方が犯罪者だからですよ。犯罪者を逮捕するのが我々警察官の仕事ですからね」

 

 

顔を真っ赤にして吠えるレミールに対して、青木は淡々と話す。

 

 

 

「警察だと!?」

 

 

レミールは、ムーの治安組織が自身を警察と名乗っている事を思い出した。そして目の前に居る青木の言葉で自分とルディアスを捕らえに来たのだと言う事実に彼女を更に苛立たせる。

 

 

 

「本気でそのような事を言っているのか?」

 

「はい。言っておきますがあちらの黒ずくめの人達は日本警察が誇る精鋭ですからね、抵抗は無意味だと申し上げておきます」

 

 

既に幹部達を拘束したSAT特務班員達は次々と捕縛者を外へ連れ出し、青木の部下であるSITの隊員達はグロック19をレミールとルディアスに向けている。

 

 

 

(やられるのか………この私が……陛下が……)

 

 

 

自身に向けられる銃口、それらを持っているSIT隊員の目付きにレミールは体が動かせないでいた。

 

 

「さて、時間も押してるので手早く済ませましょう」

 

 

そう言うと青木は懐から逮捕状を取り出し、罪状を読み上げる。

 

 

 

「お二人とこの会議室におられる方々は、日本国に対するテロ等準備罪の重要参考人ならびに被疑者として裁判所より出頭命令出ています」

 

 

青木は2人に逮捕状を見せる。用紙には日本語で書かれた罪状と裁判所からの出頭命令が細かく書かれている。レミールとルディアスは日本語は読めないが、直感的に罪状か何かが書かれている事はかろうじて理解できた。

 

 

「午前13時0分、逮捕します」

 

 

青木の指示でSITの隊員達がレミールとルディアスに近づく。

 

 

「来るな!」

 

 

だがレミールは剣を振り回し青木を近付けさせないようにする。

 

 

「困りましたねぇ………大人しくしてくれないと我々も仕事が終わらないんですよ」

 

「貴様らの都合など知った事か!」

 

 

レミールは尚も剣を振り回し威嚇する。

 

 

 

「仕方ありません」

 

 

 

すると青木は腰のホルスターからテイザーガンを取り出し、レミールに向けて発射した。

 

 

 

「うがぁぁぁ!!!」

 

 

 

放たれたワイヤーが直撃し電流を受けたレミールは体を動かす事が出来ず倒れ込んだ。

 

 

 

「公務執行妨害、銃刀法違反の現行犯で逮捕します」

 

 

 

動けないレミールの両腕を背中に回してから手に手錠が掛ける。

 

 

 

「ルディアス皇帝陛下、ご同行を」

 

「………………」

 

 

 

青木に声をかけられたルディアスはこれから自分の身に起こる事を分かっているのか、特に抵抗する素振りも見せず、ただ黙ったまま項垂れた。玉座から立ち上がり青木の前に立つ。

 

 

「逮捕します」

 

 

ルディアスの両手に手錠が掛けられた。

 

 

 

「目標確保!繰り返す!目標確保!」

 

 

 

ルディアスに手錠を掛けた青木に代わり、カイオスがルディアスの前に立つ。

 

 

 

「陛下、このような結果になり残念です」

 

「カイオス…やはり貴様が」

 

「はい。多くは語りません、皇国は遅かれ早かれこうなる運命だったのです。しかしその運命により失う物を少なくするために私は行動を起こしました」

 

「…………そうか」

 

 

 

ルディアスはカイオスの言葉に反論をする訳でもなく、自身の敗北を潔く認めた。

 

 

 

「陛下、最後の願いがあります」

 

「言わずともいい。我が名を使い、好きにするがいい」

 

 

 

ルディアスからその言質をとったカイオスはそれ以上、何も言わなかった。

 

 

 

「すまない。陛下をよろしく頼む」

 

「はい。行きましょう」

 

 

 

ルディアスはレミールと共に青木に連行されていった。

 

 

 

「さて、此処からが正念場だ」

 

 

残されたカイオスは当初の予定通り、ルディアスの執務室へと向かい、皇帝専用の広域用魔導通信装置を用意する。

 

 

「この職に就いて30年……まさか私がこれを使う事になるとは運命は奇妙なものだ」

 

 

 

魔導通信装置を起動しマイクをセット、そして広域通信に切り替えると、懐から予め用意していたカンニングペーパ一を取り出し、一呼吸置いて皇国全軍に呼び掛けた。

 

 

 

『皇国全軍将兵ならびに皇国臣民に告げる。本日午後、我が皇国の偉大なるルディアス皇帝陛下、ならびに皇国首脳は国家運営ならびに国軍の指揮を続行出来ない状況に陥った。従って、皇帝陛下より勅命を預かったこのカイオスが陛下に変わり皇国軍全将兵に告げる………直ちに戦闘を停止せよ!繰り返す!直ちに戦闘を停止せよ!』

 

 

広域通信によってカイオスは将兵達に呼び掛け、それを全将兵が耳を立てる。

 

 

『ルディアス陛下の名の元にこの命令に背く者は即刻、国家反逆罪により逮捕、厳しく処罰するものとする!これの意味する事は誇り高い皇国軍将兵なら理解できると思う。この命令に従う者は直ちに戦闘を中止し、白旗を掲げてその場に留まるように!もう一度繰り返す……』

 

 

 

 

カイオスの魔信の直後より、皇国領土内の軍や民兵組織は戦闘を停止、各基地からは白旗が上がった。

 

 

「終わった……長い様で短かったな」

 

 

かくして栄耀栄華を欲しいままにしたパーパルディア皇国は敢えなく終焉を向かえ、此度の戦争は皇国の全面降伏により終結した。

 

 

 

 

 

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