日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第4話

グラ・バルカス帝国軍 監察軍所属艦隊旗艦『グレード・アトラスター』 第1艦橋

 

このグラ・バルカス帝国の技術の粋を集めて作られた、グレード・アトラスターの全体を指揮する、艦長の『ラクスタル』は、第1打撃群からの報告に思考を巡らせていた。

 

 

「第1次攻撃隊は壊滅に近い被害を受けて撤退……それも敵戦闘機による物ではなく、追尾式のロケット弾による物とはな。」

 

「追尾式のロケット弾………敵は我々の知らない兵器を持っているようです。ですが敵艦の数を考えると、追尾式ロケットを誘導できる数はそんなに多くはありません。この部隊には、このグレード・アトラスターとオリオン級、最新式のスコルピウス級駆逐艦とエクレウス級があります。」

 

 

 

副長の言葉にラクスタルは後ろを振り向く。

グレード・アトラスターの後方からは、オリオン級戦艦1、駆逐艦12隻、巡洋艦と重巡洋艦6隻の1個艦隊が続く。

 

 

(本国艦隊所属、第53地方隊………通称イシュタム。あのサディスト集団が援軍か。)

 

 

彼が言うイシュタムとは、グラ・バルカス帝国本国艦隊に所属する、占領地の治安維持を専門とする地方隊とは名ばかりの一個艦隊である。

彼らの名を国内や海軍内で知らぬものはおらず、司令官の『メイナード』と、彼を含めた幹部や末端の将兵に至るまで、ほぼ全員が何かしらの問題を抱えており、その目に余る程の残虐性から、通称『死神イシュタム』と呼ばれており、メイナード本人も死人のような青白い肌をしているためその名前の由来に拍車を掛けている。

 

 

本国艦隊所属の彼らが何故、監察軍所属のグレード・アトラスターと共に居るのか。

 

 

(あのメイナードがタダで動く筈はない……だとしたら……………やはり過激派の連中の陰謀か?)

 

 

ラクスタルの考え通り、イシュタムの任務は表向きにはグレード・アトラスターの護衛ではあるが、彼らに与えられている本来の目的は単独で敵艦隊を殲滅し、その成果をプロパガンダで利用し、過激派議員達へ自分達の実力をアピールする事によって自らの昇進と軍部への発言権を獲得するのが狙いである。

 

 

 

イシュタム艦隊 旗艦『メイサ』

 

 

「やっと我々の出番だな。」

 

「ククク…………胸が高鳴りますねぇ。」

 

 

オリオン級戦艦メイサの第1艦橋で、メイナードはそう呟き、艦長のオスニエルは狂気とも言える笑顔で興奮するカのように笑っていた。

 

 

「司令殿、上からは敵艦の捕虜がいたら捕らえろと言っていましたが、本国へ連れ帰るまでは我々の自由にしても構わないでしょうか?」

 

「あぁ…もしかしたら有益な情報が得られるかもしれん。そうすれば我々の存在をもっとアピールできるぞ。」

 

「では方法は私に任せてもらっても宜しいでしょうか?嬲るなり、色々方法はありますが………」

 

「任せる。好きにしろ。」

 

「了解!」

 

 

オスニエルは生き生きとした表情で、そう答える。

 

 

「では、監察軍の連中に先を越される前に急ぎましょう!」

 

 

黒い欲望を携えたイシュタムは、速力を上げて、グレード・アトラスターの前に出ると、どんどん速力を上げていく。

 

 

 

 

『グレード・アトラスター』 第1艦橋

 

 

 

「メイナードめ!!先走りおって!」

 

「艦長!彼らを後ろに下げますか?」

 

「無理だ。彼らは本国艦隊所属で、我々は監察軍だ。彼らを止める権限はない。」

 

 

獲物を求めて先走ろうとするイシュタムを目にして、ラクスタルは怒りの表情で彼らを睨み付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

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