日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第7話

カルトアルパス沖北西 200㎞地点

 

グラ・バルカス帝国海軍 第1打撃群旗艦 ヘルクレス級戦艦『ラス・アルゲティ』

 

 

「まだ回復しないのか?」

 

「はっ。今点検を行っていますが、原因特定には時間が掛かります。」

 

 

第1打撃群司令官『カオニア』は、自分が乗り込む戦艦ラス・アルゲティを含め、艦隊規模で突然起こったレーダーや無線機の不調に頭を悩ませていた。

 

 

「これでは直掩機からの報告は期待できそうにはないな。」

 

 

空母を中心とした航空機動艦隊としての役割を持つ第1打撃群にとって、無線機は、戦いを有利に進めるために必要不可欠な大事な物である。

その通信機の不調が全艦同時に発生し、目と耳を奪われた状態では第1打撃群は、身動きが取れない。

 

 

「今まで戦ってきた中で、こんな事は初めてだ。」

 

「司令、カルトアルパスへの攻撃隊出撃は延期しますか?」

 

「いや、当初の予定通り作戦は続行する。各艦は周囲の警戒を厳重にしつつ、作戦を続行せよ。」

 

 

だが、この時彼の脳裏に言葉に出来ないくらいの不安が過る。だが作戦は続行すると決めた以上は、指揮を採らなければならないため、何とか不安を打ち消すため、目を閉じて瞑想に入る。

 

 

 

 

数分の瞑想の後に、不安を何とか打ち消した彼の基に報告が入る。

 

 

 

「司令!間もなく攻撃隊の発艦準備が整います。」

 

「うむ。」

 

 

その時、通信士官が慌てた様子で入ってくる。

 

 

「司令!たった今、各艦の無線通信が回復しました!それと同時に、敵艦隊より通信が入りました!司令と話がしたいそうです!」

 

「何っ!?繋げ!」

 

 

カオニアは無線機のマイクを手にすると、ストークボタンを押して回線を開く。

 

 

「私はグラ・バルカス帝国海軍、第1打撃群司令のカオニアだ。貴艦隊の司令官の名を教えて頂きたい。」

 

『私は日本国海上自衛隊、第1護衛隊群司令の松田千春です。』

 

「松田司令、我々に一体何用なのか?」

 

『我々はたった今、フォーク海峡に突入してきた貴国の1個艦隊を壊滅させ、さらに大型戦艦を一戦交えた後に撤退へと追い込んだ。』

 

「何だと!?」

 

 

カオニアは驚く。

フォーク海峡に突入した1個艦隊とはイシュタムの事で、大型戦艦とはグレード・アトラスターの事である。

 

 

(馬鹿な!?イシュタムを壊滅させ、グレード・アトラスターを撤退に追い込んだ?敵相手ならグレード・アトラスターどころかイシュタムだけでも充分な戦力だった筈だぞ!)

 

カオニアは真実を確かめるため、松田に問いただす。

 

 

「松田司令、もう一度聞きたい。先程貴官が言った事は真実なのか?」

 

『はい。我が国とアメリカは現有の戦力を以て、敵を排除した。これは事実である。』

 

「…………そうか。貴官らはこの状況を承知で、我々にその事を教えるために無線を?」

 

『いえ、我々は貴艦隊に警告を伝えるために貴艦隊に無線を繋いだまでです。』

 

「警告?」

 

『はい。直ちにカルトアルパスに対する攻撃と作戦を直ちに中止し、引き返して頂きたい。もしこの警告を受け入れなければ貴艦隊は後悔する事になる。もし引き返すか降伏するなら白旗を掲げてほしい。』

 

 

 

警告と言う名の命令にカオニアは怒りを含めて反論する。

 

 

「申し訳ないが我々はその警告を受け入れる事は出来ない。無論、現在の作戦を中止し、ここから引き返す事など有り得ない。」

 

『もう一度警告します。直ちに引き返しなさい。』

 

「断る!」

 

『では仕方ありません。貴官らは後、゛数分後゛に後悔する事になります。ではこれにて。』

 

 

無線が切られると再び無線機が不調を起こし、雑音しか聞こえてこなくなる。

 

 

「総員、戦闘配備!!対空、対水上、対潜警戒を厳となせ!攻撃隊の発艦はまだか?」

 

「あと5分で発艦可能です!」

 

「急がせろ!」

 

「はっ!!」

 

 

第1打撃群の各空母の甲板では、爆装した航空隊がプロペラを回しながら発艦準備を整えていく。

 

 

「司令!!本艦前方に低空を飛行する多数の飛翔物体を視認!!」

 

「何っ!?」

 

「とんでもない速度です。既に距離は10マイルを切っています!」

 

「いかん!!対空戦闘、攻撃始め!」

 

 

カオニアは前方に視線を向けると、こちらに向けて真っ直ぐに直進してくる高速飛翔物体を確認する。

それは航空機では決して出せないような、とんでもないスピードで迫ってくる。

 

 

「上がった!?」

 

 

海面飛行していた飛翔物体は、艦隊の鼻の先で突然上昇し、マストより高い高度から急降下で迫ってくる。

 

 

「敵機直上!!急降下っ!!!」

 

 

近距離用の無線機を通じて聞こえてきた、空母からの無線通信が艦橋内へと響き渡る。

 

 

その直後、飛翔物体は空母に直撃し派手な爆発が上がった。

 

 

「ペガスス被弾!!」

 

「マルカブ被弾!!」

 

「エニフも被弾しました!」

 

 

突然、3隻の正規空母が被弾した。

3艦からは、甲板に待機していた攻撃隊の燃料満載し大型爆弾を装備していた航空機に引火したのか、甲板上は大火災が発生していた。

 

 

「アルドラ、ウェズン、エルナト被弾!爆沈!」

 

「アルギエバも被弾!デネボラ、レグルスも大破、航行不能!!」

 

「ゴメイサ、キタルファ、グラフィアス、シャウラ爆沈!」

 

 

空母に続き、駆逐艦や巡洋艦も次々とやられていき、もはやカオニアには何が起きたのか分からなかった。

 

 

 

 

 

そして5分もしないうちに、第1打撃群はラス・アルゲティとオリオン級戦艦、ベテルギウス、ベラトリックス、3隻の戦艦のみとなり、事実上壊滅してしまった。

 

 

 

「司令………」

 

「降伏するしかない。もはや犠牲が大きすぎる。これ以上は犠牲者を出すわけにはいかん。皆、すまない。」

 

「司令、降伏するにはどうすればよろしいのでしたでしょう?」

 

「白旗をマストに掲げろ。布団やシーツでもいい。」

 

「分かりました。では全艦にも同じように伝えます。」

 

 

 

こうして第1打撃群はミサイル攻撃の前に降伏した。

 

 

 

 

この戦闘でグラ・バルカス帝国が払った犠牲は大きく、唯一撤退に成功したグレード・アトラスター1隻を除き、グラ・バルカス帝国海軍の部隊は壊滅してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

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