日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第3話

「敵船が燃えた?」

 

 

51㎝砲による一斉射撃にシャークンは紀伊が自爆したのかと勘違いした。他の水兵達も、紀伊が自爆したのかと勘違いしたと思い、心の中が緩む。

 

 

その直後…………

 

 

「うわぁぁ!!!」

 

 

突然、前方に巨大な水柱が上がり、近くに居た何十隻といわんばかりの味方艦が纏めて水柱と共に木っ端微塵に吹き飛ばされる。

 

 

「何だ!?何が起きた!?」

 

 

シャークン達は一瞬、何が起きたのか分からず、パニックになる。

 

 

「まさか………砲撃なのか!」

 

 

常識外の破壊力を誇る、51㎝砲の砲撃はパニックになっていたロウリア艦隊を一瞬で更にパニックに陥れた。

 

 

「何て威力だ!パーパルディアの魔導砲なんかの比じゃないぞ!」

 

 

51㎝砲弾の爆発による衝撃波と波は、何十隻単位のロウリア艦を吹き飛ばしていく。

 

 

 

 

 

戦艦『紀伊』 第1艦橋

 

 

「全弾、至近弾!!敵艦多数撃沈!」

 

「よし!そのまま砲撃続行!」

 

 

松田は、砲弾の爆発による衝撃波でも敵艦は充分撃破可能と判断し砲撃続行を指示する。

自動装填装置により2トン近くある砲弾と装薬が砲身に込められていくが、やはり砲弾の大きさが大きさなため、連続した砲撃戦での装填速度はあまり早くない。それに近代化されているとはいえ主砲の射撃システムはオリジナルのままであり、観測用のRQ-2J無人機からの観測情報を元に測距を行ってから射撃するので尚時間が掛かる。

 

 

「副砲、速射砲砲撃始め!」

 

 

装填速度の遅さを補うため、2基の20㎝副砲とMk42速射砲も砲撃を行い主砲弾の装填が完了するまでの間をカバーする。

 

 

「これは………!?」

 

 

艦橋から戦いの様子を見守っていたブルーアイは、身体中を震わせながら、手にしていたペンで報告書を書き記していた。

 

 

(…………この艦の実力は我々の予想を遥かに上回るものだ………たった一度の一斉射撃で何十隻と言うロウリア艦が宙を舞い、破壊されていく。ロウリア艦隊はこの艦の攻撃の前に成す統べなく沈められていく)

 

 

報告書にあるがままに記録を行っていくが、目の前で起きている現実にブルーアイはそれ以上、ペンを書き進める事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ!こんなのが戦いであってたまるか!!」

 

 

激しい砲撃に晒さられ、大量の海水を浴びながらシャークンは叫ぶ。

既に艦隊のパニックは窮地に達しており、魔信を通じてロウリア軍のワイバーン部隊に援軍を要請したが、彼らが到着できる頃まで自分が無事で居られる保証はない。

 

 

「たった一隻のために我が海軍の栄光は……消滅すると言うのか………たかが一隻の敵艦のために……こんな現実が………こんな現実など……認められるものかぁぁぁ!!!」

 

 

 

シャークンが吼えると同時に、副官が駆け寄ってきた。

 

 

「提督!!西の空を!」

 

「ん?……おぉ!!来たか!」

 

 

西の空を見ると、空を埋め尽くさんばかりのワイバーン部隊がやって来た。援軍として呼び寄せた、ロウリア軍のワイバーン部隊であった。

 

 

「よし!ワイバーンが来れば怖いもの無しだ!連中が敵の目を引き付けたら一気に距離を取るぞ!」

 

 

 

 

上空のロウリア軍 ワイバーン隊は、援軍要請を受けて駆けつけてみると、全員揃って信じられない物を見ているかのように目を見開いていた。

 

 

 

「あれが敵の……何なんだあれは!?」

 

 

 

艦隊からの緊急連絡で全速力で飛んできた竜騎士隊は、目の前に飛び込んできた一際大きい紀伊の姿に僅かに恐れおののくが、直ぐに隊長騎の号令で心を入れ換えて、紀伊に向かって高度を下げる。

 

 

 

 

「恐れるな!大きいといってもたかが1隻、数で掛かれば恐るるに足らず!全騎突撃!!!」

 

 

 

指揮官の指示により、竜騎士隊は紀伊に向かって降下を開始した。

しかし彼らの存在は紀伊の後方に居るイージス艦「みょうこう」のレーダーにてとっくに補足されていた。

 

 

 

「流石は異世界だ。竜が飛んでるぞ。」

 

 

みょうこうからリアルタイムで送られてくる戦術情報を表示しているメインスクリーンには西の空から真っ直ぐ向かってくる竜騎士隊に松田達らはその数にですら余裕と言った感じの表情を見せる。

 

 

「CIC、敵の速度は?」

 

『ヘリと変わらないくらいです。本艦のみでも対処可能かと』

 

「対空戦闘用意!!」

 

 

 

対空戦闘命令が下りMk42 5インチ砲が対空攻撃モードに入り、更には度重なる近代化改装で装備されているCIWS、SeaRAM、GMLS-3A型シースパロー8連装ランチャーが上空に向けられる。

 

 

ここで松田は、射撃指揮所に指示を出した。

 

 

 

「砲術長、全主砲に三式改装填!」

 

『三式改、了解!』

 

 

 

ここで言う三式改とは、旧日本海軍が開発した対空戦闘用の三式弾の発展型で、戦後にジェット戦闘機の発達で対空戦には使われなくなっていたものだが、大戦中のガダルカナルの戦いにおけるヘンダーソン飛行場砲撃の際に三式弾が対地攻撃にも有効であったため、現在は対地攻撃用として運用されている。

全主砲に三式改が装填され、敵艦隊に向けられていた主砲が竜騎士隊に向けられた。

 

 

『敵対空目標、三式の有効攻撃圏に入りました!』

 

「主砲同時斉射、撃て!」

 

 

 

 

上空に向けられた全主砲から斉射で9発の三式改が放たれた。

竜騎士隊は危険を察知して散開しようとしたが、三式弾が彼等の頭上に到達し、弾頭に装備された近接信管が作動し爆発を起こす。

一瞬のうちに金属をも溶かす摂氏3000度の高熱に熱せられた酸化マグネシウムと高熱のゴムの塊が撒き散らかされた。

 

 

「何が起きたんだ!?」

 

「味方が燃えた!」

 

 

酸化マグネシウムの火に焼かれた竜騎士は、高熱で溶けた鎧に皮膚を焼かれ、ワイバーンも鱗に守られた肉体を焼かれて、もだえ苦しみながら共に海へと落ちていく。

 

 

 

『敵対空目標、多数の撃墜を確認!』

 

「第2射撃てぇい!」

 

 

続けて放たれ砲撃により、更に多数のワイバーンが落ちていく。

 

 

「後は時間の問題か」

 

 

主砲弾装填の隙を突いて残りのワイバーンは速度を上げて紀伊に近づこうとするが、シースパロー、Mk42とCIWS、SeaRAMによる対空防御に晒された。

 

 

「りゅ………竜騎士隊が全滅」

 

 

 

僅かな沈黙が流れ、シャークンは海面に漂うワイバーンの死体や撃沈された船の乗員が漂流しているのを見て戦慄を感じる。

 

 

 

「悪魔…………否!奴は悪魔なんて生易しいものではない!奴は……奴は………怪物(モンスター)か!」

 

 

 

今まで空に向けられていた紀伊の主砲が再び艦隊に向けられ、シャークンは完全に腰を抜かしてしまった。

 

 

 

(冗談じゃない!あんなのとこれ以上戦えば……)

 

 

 

未だにロウリア艦隊には2000近い艦船が残されていたが、既にシャークンを含めた水兵らに戦意はなく応戦する艦も見当たらない。

 

 

 

(今なら奴の攻撃が止んでいる…………降伏するなら今しかない!)

 

 

 

直ちに戦闘中止命令が伝達されロウリア艦隊は戦闘態勢を解除し、降伏の合図であるロウリア王国の旗をマストに掲げ、水兵達も手にしていた弓矢や槍、刀剣類等の武器を海に捨てて降伏の意思を示す。

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

ブルーアイはロウリア艦に掲げられた旗を見て驚き、松田に進言した。

 

 

 

「艦長!あれは敵の降伏の合図です!」

 

「降伏?間違いありませんか?」

 

「はい!!」

 

「うむ………武器を海に捨てているな。各艦は直ちに臨検と生存者の救助作業を行え!」

 

 

 

こうしてロデニウス沖海戦はたった1隻の戦艦の活躍により圧倒的勝利を勝ち取った。

 

 

 

 

 

中央暦1639年4月26日

 

 

 

観戦武官としての任務を終えたブルーアイは、報告のため議会へと出席していた。

 

 

 

「……以上が、今回のロデニウス海戦の報告となります」

 

「すると何かね?日本艦隊はたった1隻の戦列艦でワイバーン350騎を撃墜し、2000隻の船を撃沈したの言うのか?それでいて人的被害は一切無く、我が国の艦隊は出る幕もなかったと……………御伽噺のようだな」

 

 

議会に参加している議員達はブルーアイからの報告に耳を疑い紛糾する。

 

 

「だが何れにしろ、海からの侵攻はこれで防ぐ事が出来た。軍務卿、陸の方はどうなってる?」

 

 

クワ・トイネ首相『カナタ』がその場を治めて、陸からの侵攻についての報告を受ける。

 

 

「現在ロウリア軍はギムの町に拠点を築き上げており、ギムで防御を纏めてから侵攻してくる可能性が高いかと。海からの侵攻が失敗した事により警戒してると思われるので電撃的な侵攻は無くなったと判断いたします。それとご報告なのですがよろしいでしょうか?」

 

「あぁ」

 

「実は日本国がギムと首都の直線上にあるダイダル平野の貸し出しを求めています。どうやら軍…失礼、自衛隊の拠点として使用するものと思われます」

 

「あそこは何も無い痩せている土地だったな……よし!ダイダル平野を好きに使って良いと伝えてくれ。援軍は願ったりかなったりだ」

 

 

クワ・トイネからの返答に日本は直ぐに準備を始め、陸上自衛隊第7師団隷下の部隊と第1空挺団の約4000名がダイダル平野に建設された基地に派遣される事となった。

 

 

 

 

 

続く




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