日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第4話

まやとあきづき型4隻の迎撃を潜り抜けた攻撃隊50機は、紀伊と尾張に目掛けて攻撃を仕掛けようと、水平と上空の2方向から仕掛けてきた。

 

 

「敵機接近っ!数50っ!」

 

「対空戦闘っ!火器使用自由!」

 

 

 

度重なる近代化改修で紀伊と尾張に装備されている、火器管制システムによる全自動攻撃モードで速射砲とシースパローランチャーが動き出し、接近してくる攻撃隊に向けて自動攻撃が始まった。

 

 

 

「うわぁ!何なんだこの攻撃はっ!」

 

 

 

音速で飛行する目標を迎撃する機能を持つ火器管制システムの自動ロックオン機能は、接近してくるシリウスとリゲルを片っ端からロックオンし、速射砲とシースパローが次々と撃ち出される。

 

 

「クソ!こっちの戦艦もかよ!」

 

 

 

正確無比を誇り、ミサイル以下の速度しかない雷撃隊のシリウスを一方的に撃墜していく。

 

 

 

 

「艦爆隊、急降下!」

 

 

 

一方で、紀伊と尾張の真上から仕掛けようとしていたシリウス隊は急降下爆撃の態勢に入った。

 

 

 

「敵機直上っ!!」

 

「やはりそう来るか……見張りっ!敵機が爆弾倉の扉を開いたら教えろっ!例のアレをやるぞ!」

 

「了解っ!」

 

 

 

第1艦橋上の防空指揮所に居た見張り員は双眼鏡を使って、降下してくるシリウスの動きに目を張る。

シリウスが爆弾倉を開いた瞬間、見張り員はCICに報告を入れる。

 

 

 

 

「取り舵一杯っ!」

 

 

 

松田の合図と同時に司令塔の操舵手が舵輪を勢い良く回すと、紀伊の船体は艦首からゆっくり右へと回頭する。

 

 

 

「うぉぉっ!避けやがった!」

 

 

 

既に爆撃態勢に入っていたリゲル隊は紀伊が予想外の方向へ回避したのを見て、慌てて爆弾を捨てて機首上げをするが、間に合わなかった機体が海面に激突する。

 

 

 

「今のを避けたのか?第2小隊、もう一度仕掛けろっ!』

 

 

 

別のシリウスが再び紀伊に爆撃を仕掛けようと降下を始める。

 

 

 

「敵機、再接近っ!!」

 

「面舵一杯っ!」

 

 

 

今度は右に向けて回頭し、投下された爆弾は全て海面に着水する。

 

 

 

「クソっ!何て嫌味な艦だ!爆撃をしようとしたら嫌なほう嫌な方へと回避しやがる!」

 

 

 

悔しそうに紀伊から距離を取っていくリゲル隊を見ながら、松田は息を吐く。

 

 

 

 

「うまくいったな」

 

「えぇ。流石は艦長の祖父、松田千秋少将の回避戦術ですな。」

 

 

 

かつて松田の祖父であり、紀伊の初代艦長を勤めた松田千秋少将が編み出した回避戦術。

それは、急降下を仕掛けてくる敵機が爆撃態勢に入り爆弾を落とそうとした瞬間に艦を左右のどちらかに向けて舵を切り、爆弾を投下しようとしたタイミングで艦が舵を切った方向に向きを変えて回避する方法である。

これは一度急降下に入ったら針路変更と爆弾等の重量物を抱えたままだと機首上げできず失速してしまう急降下爆撃機の弱点を突いた回避術であるが、タイミングが少しでも狂うと失敗する可能性も持っているため見張り員や操舵手、艦長との間での高度な連携が必要とされる。

 

この戦術が可能なのは世界屈指の実力を持つ海上自衛隊による厳しい訓練による賜物で、しかもそれを確立した松田千秋の子孫が指揮する紀伊だからこそである。

 

 

 

 

 

一方で『尾張』でも、神の指揮で敵攻撃隊との戦闘に入っていた。

 

 

 

「敵機っ!右舷より3機、左舷より5機接近っ!」

 

「よぉし!速射砲、全力射撃じゃっ!」

 

 

 

張り上げるような神の指揮で、速射砲とCIWSがシリウスとリゲルを一方的に撃墜していく。

 

 

 

「む?紀伊もきばっとっと!!」

 

 

 

隣で奮戦している紀伊を見て乗員に歓喜を促す。

 

 

 

「我々も負っくな!!」

 

 

 

既にこの攻撃で敵攻撃隊は損耗が激しくなっており、運良く無事な機も爆弾と魚雷を使い果たし、機銃しか残っていない。

 

 

『何て事だ………あんな的のようなデカブツに1発も……』

 

 

日頃からの猛訓練で身につけた技術が全く通用しなかった攻撃隊の乗員らは目下の巨艦へ屈辱を味わされた事への恨みなのか、それとも怒りからなのか、恐ろしいまでの視線を向ける。

 

 

 

『もう爆弾も魚雷も使い果たした………母艦へと帰投する!』

 

 

 

ろくに役目も果たせず攻撃隊残存機は渋々と言った雰囲気のまま現場より離脱していく。

 

 

 

「敵機、離脱していきます。」

 

「先ずは凌いだな…………敵艦隊の動きは?」

 

「敵戦艦部隊増速っ!海峡入り口より向かってきます!」

 

「次は艦隊決戦か…………よし!各艦は対水上戦闘に移行っ!いよいよ敵戦艦との一騎討ちだ!」

 

 

 

 

 

その頃、フォーク海峡入り口に到達していた戦艦部隊旗艦グレード・アトラスターでは、今作戦の指揮を執るカイザル・ローランド大将とラクスタルが空母艦載機による航空攻撃失敗の報告を受けていた。

 

 

 

「攻撃隊は日本艦隊に被害を与えられずか……」

 

「想定外の事態です。まさかあの数の攻撃隊を壊滅させるなんて、日本艦隊はどんな方法で……」

 

「どんな方法を使ったにせよ、敵が態勢を立て直す前に何とか艦隊戦に持ち込むぞ」

 

 

 

こう言うカイザルであるが、内心本人も相手がどんな方法で攻撃してくるか分からない事に不安を覚えるが、軍人である彼に出来るのは作戦遂行のため最善を尽くす事のみと覚悟を決める。

 

 

 

「よし!前衛の高速戦艦部隊司令のアルカイド提督に、海峡突入の信号を送れっ!」

 

 

 

 

カイザルは前衛を勤めるオリオン級巡洋戦艦(金剛型に酷似)6隻で編成された高速戦艦部隊に暗号を送る。

 

 

 

 

前衛高速戦艦部隊旗艦、オリオン級戦艦『ベテルギウス』

 

 

 

「海峡へ突入セヨか………」

 

 

元東征艦隊司令で、本作戦では前衛部隊の司令を勤めるアルカイド・ベルツァー中将は、カイザルから海峡突入の暗号を受け取り、興奮したような表情を見せる。

 

 

 

「よし!全艦に通達っ!これより我々は敵日本艦隊殲滅のため、一番槍として海峡に突入するっ!」

 

 

 

ベテルギウス以下のオリオン級全艦は、速度を上げ、持ち前の速力に物を言わせて海峡へと突入していく。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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