日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第3話

「司令、本国より緊急連絡です」

 

「緊急連絡?」

 

 

ムー国首都オタハイトの港に停泊している紀伊の艦長室で松田は副官より本国からの緊急通信の報告を受けていた。

 

 

「監視衛星が敵本土より正体不明の超大型機の編隊と小規模の艦隊がムー大陸方向へ向けて進出してきているの確認したとの事です」

 

「敵の規模は?」

 

「えぇ、戦艦1、空母1を中心とした機動部隊。飛行編隊は超大型機に護衛と思われる戦闘機が合計100機程です」

 

 

机の上のタブレット端末に目を向ける。

防衛省から送られてきた複数の衛星画像を画面をスクロールしながら確認する松田。

 

 

「この大型機は爆撃機だな。恐らくムー本土に対する戦略爆撃を目論んでいるのだろうが……敵艦隊が気になるな。向こうの位置は?」

 

「艦隊の方は北回りでマイカル方面へ、爆撃機は帝国本土からムー大陸へ一直線で向かってきます。予測では艦隊の方が先にマイカルに到達します」

 

 

それを聞いた松田は考える。

 

 

「先に敵艦隊がマイカルに到達する………敵の狙いは工業都市マイカルの壊滅が目的だろうが、彼等にとったら首都のオタハイトへの攻撃が心理的にも戦略的にも大きい筈だ……敵艦隊の戦力なら艦隊を2分したとしてもオタハイトとマイカルは同時に叩けるのに何故オタハイト攻撃を爆撃機のみでやるんだ?」

 

「………………もしかしたら爆撃機の狙いは我々ではないのでしょうか?敵は高高度爆撃で本艦を含めた当艦隊へ攻撃を?」

 

「爆撃機で対艦攻撃……この紀伊が旅順に居た時に敵の爆撃機部隊による攻撃を受けた記録がある。あり得なくもないな」

 

 

 

危機感を覚えた松田は直ちに、ムー統括軍に敵襲の連絡を入れ、艦隊全艦と陸自と空自の部隊にも戦闘態勢に入るよう通達を行った。

 

 

 

「展開急げ!倉庫からありったけの弾薬を出せ!」

 

「在庫一斉処分のつもりでいけ!」

 

 

オタハイト郊外にある統括軍オタハイト基地の航空自衛隊オタハイト基地分遣隊基地高射隊の隊員達は防空用に持ち込んでいた03式中距離地対空誘導弾、ホーク地対空ミサイル、VADSと81式&11式近距離地対空誘導弾を展開し基地一帯に防空網を敷いた。

 

 

「発射器上げ!」

 

 

 

一方、輸送艦おおすみが停泊しているオタハイト港では陸上自衛隊第7師団の高射特科隊が展開を始めていた。

空自の高射隊による迎撃をすり抜けた敵爆撃機と護衛戦闘機に備えて81式と11式短SAM、87式自走高射機関砲、おおすみの甲板では陸自隊員が91式携帯地対空誘導弾を携えて待機する。

 

 

 

 

基地と港、そして護衛艦隊と合わせて3重の防空網が張られ敵襲に備える。

 

 

 

「司令、陸自と空自は配置に就きました!艦隊全艦も対空戦闘配置にて待機!」

 

「了解。ムーの方は?」

 

「市民の避難が開始されています。ムーの北部にあるレーダーサイトは既に敵編隊を補足し、進路上にある空軍基地にスクランブルを要請しているとの事です」

 

「早いな」

 

「連中はウチを真似てスクランブル訓練をミッチリとやったそうですからね……ところでマイカルに向かった敵艦隊の事が……」

 

「分かってる。向こうはラ・カサミと分遣隊に任せよう………」

 

 

 

松田達は向かってくる敵爆撃隊に対する備えを整えて、待ち続ける。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、オタハイトより北東にある空軍基地では……

 

 

「マイラスさん!ADCOCよりの報告で大陸北東から敵の爆撃隊が向かってきているとの事です」

 

 

基地通信員がマイラスにそう告げる。

マイラスは待ってましたと言わんばかりに動き出す。

 

 

「丁度良い!司令、またとないチャンスです!試作機の実戦テストを行いたいと思うのですが」

 

 

マイラスの提案に基地司令は驚いた表情を浮かべ、マイラスに反論する。

 

 

「しかしアレはまだ試作の段階的だろ?実績も無い機体を出して、万が一にも試作機に何かがあればどうする?」

 

 

基地司令は試作機を預かる身として、ムーの希望の光とも言える次世代機の試作機を易々と実戦に出せる判断は当然下せる筈もない。しかしそんな基地司令の心情を理解しているのかしていないのかマイラスは基地司令に詰め寄る。

 

 

「こんな機会は2度もありません!実戦も立派なテストです!」

 

「ダメだ。リスクが大きすぎる」

 

「技術開発にはリスクは付き物です!それに、今回の機を逃せば試作機の開発は益々遠退きます。あの試作機の技術はグラ・バルカスだけではなく今後現れるとされている魔法帝国に対する貴重な戦力にも成り得ます!」

 

「しかし………」

 

「どうかお願いします!!」

 

 

マイラスは基地司令に土下座をする勢いで頭を下げる。彼のその姿勢に司令は腕を組んで考える。

 

 

 

「分かった……………許可しよう!責任は私が取ろう!」

 

「ありがとうございます!」

 

 

マイラスの指示で基地司令官は直ちに準備と、X-1とX-2の発進準備を指示する。

マイラスとともにムーの技術者や防衛装備庁から出向している技官達も無線や計測機器を機体に設置しデータ収集の準備も進める。

 

 

「回せぇ!」

 

 

耐Gスーツを着込んだパイロットと整備員達は航空自衛隊の松島基地でT-4練習機を使って行われた訓練と手順に従ってエンジン始動手順を踏んでいく。

電源車のエアコンプレッサーと発電機から伸びるケーブルを機体に接続していき、パイロット達はコックピットでヘルメットを被りながら計器類を注視する。

 

 

 

「エンジンスタート!!」

 

 

 

パイロットがスタータースイッチを入れると、X1とX2のジェットエンジンが唸りを上げる。

 

 

 

「エンジン回転数良好、温度正常。機体各部異常無し!」

 

 

 

整備員達はケーブルを外し、機体の最終チェックを終えてから搭載しているロケット弾の安全ピンを引き抜き、車輪止めを外す。

 

 

 

『X1-1、taxing、go』

 

『X1-2、taxing、go』

 

 

 

管制塔からの誘導に従い、滑走路に移動する。

 

 

 

「こちら管制塔、X1-1、離陸を許可します」

 

『X1-1了解。cleared for takeoff!』

 

 

 

X-1の1号機がアフターバーナーを点火しエンジンノズルから赤い噴射炎を出しながら、アスファルトで舗装された滑走路を走り、機首を上に向けながら離陸していく。

 

 

 

「X1-2、離陸を許可します」

 

『X1-2了解。cleared for takeoff!』

 

 

2号機が後に続くように轟音を上げながら離陸していき、2機とも目標方向に向かって飛び去っていく。

 

 

 

「クゥッ!」

 

 

先に離陸したX1-1のパイロット『マルコ』少尉はX1の加速によるGに強烈な圧迫感を感じつつも、日本でやった耐G訓練通りに耐G動作を行い、操縦桿とスロットルレバーを手にしながら計器と外を両方に目を配る。

 

 

 

「高度6000……6500……7000……7500……8000……8500……9000……9500………10000っ!凄い上昇力だ」

 

 

以前に乗っていたマリンでは絶対に到達できない領域に来たマルコはX1の上昇力と加速力に驚きつつも無線の回線を開ける。

 

 

『こちらノースアイ』

 

 

直後、北方のSOCからの通信が入った。

 

 

『これより貴隊の誘導を行う。敵編隊は貴隊より北東方向、距離100』

 

『復唱、現位置より北東方向、距離100。了解した。誘導に感謝する』

 

 

レーダーサイトから伝えらた敵の位置情報を元に機体を北東方向に向けるX-1の2機。

レーダーサイトによる誘導により索敵の手間が無くなった事で接敵までの時間短縮が出来る。

 

 

「何処だ?」

 

 

レーダーサイトからの誘導を受けながら、目標地点付近に到達すると、辺りを見回しながら後ろを飛ぶ僚機と共に敵機を探す。

 

 

 

「ん?……居た!」

 

 

下を見ると厚い雲の切れ目からグティ・マウンの巨大な影が見えた。彼らに与えられていた事前の情報では敵爆撃機隊には護衛の戦闘機隊が居たが、航続距離の問題により既に本土へ引き返しており、グティ・マウンは丸裸の状態で飛行している。

 

 

「敵機確認っ!見えるか?」

 

『確認した!しかし何て大きさだ……俺達はまるで小魚だぞ』

 

「情けない事言うな!奴等が巨像なら、こっちは毒蛇だと思え!奴等今なら油断している………行くぞ!」

 

 

 

操縦桿を下に倒し、敵爆撃隊の直上から一気に急降下を仕掛けた。

 

 

 

 

 

頭上から脅威が迫っている事に気付いていない特別爆撃機連隊の前衛隊はトラブルに見舞われていた。

 

 

 

「無線の不調は直らないのか?」

 

 

 

爆撃隊の前衛隊グティ・マウン18番機の機長は無線士に尋ねる。

 

 

「はい、ノイズが酷く何も機能しません」

 

「爆撃手、そっちはどうだ?」

 

『こちらは問題ありません』

 

「クソ……ツイてない」

 

 

機長は不運な出来事に悪態をつく。

 

 

「無線士、発光信号で指揮官機に無線故障を伝えろ」

 

「了解っ!」

 

 

無線士が発光機を使おうとした時、機銃上部後方と尾部の機銃手達から連絡が入った。

 

 

『機長!後方上空に敵機!』

 

『こちらでも確認!早い!突っ込んできます!』

 

「寝惚けるな!俺達は今、高度10000を飛んでるんだぞ!」

 

「しかし機長……」

 

「しかしもお菓子もあるか……俺達より高く飛べる航空機なんてムーにある筈がない」

 

 

 

機長は見晴らしの良いコックピットの天井にある視察窓から上を見上げる。

しかし報告通り、後方から高速で急降下を仕掛け向かってくるX-1の姿が見えると機長の本能が警鐘を鳴らした。

 

 

 

「クソッ!ムーの新型機かっ!?そんなバカな………ウワァァ!!」

 

 

 

直後、機銃掃射が始まった。

30㎜機関砲に混合装填されていた徹甲弾と榴弾は18番機胴体上部の装甲を貫通、その穴から榴弾が雪崩れ込み爆発と衝撃で機体に大穴を開けた。

 

 

『おいっ!18番機がやられたぞ!』

 

 

火を噴いて落ちていく18番機に気を取られる他のグティ・マウン搭乗員達は直ぐ様、銃座による機銃掃射で迎え撃つがX-1の速度と機動性の前に、照準が合わせられない。

 

 

 

『恐ろしく早い奴だっ!』

 

『相手は2機だけだ!各機、弾幕を張るんだ!』

 

 

 

前衛隊は弾幕射撃を行うが震電はその弾幕の死角から接近し、すれ違い様にもう1機のグティ・マウンを撃墜する。

 

 

『いかんっ!消火器だっ!』

 

『こっちにも来やがった!』

 

 

マルコらは日本でT-4とF-4EJ改を使用した訓練で培った対爆撃機向けの戦術を使い、グティ・マウンの死角となる機体真正面と真上から機関砲攻撃を仕掛け続ける。

 

 

「凄い威力だ!あの化け物爆撃機が虫みたいに落ちていくぞ!」

 

 

震電に使用されている30㎜機関砲に使用されている砲弾は装甲車や戦車に大きなダメージを与える程の威力があるため、多少の防弾装備しかないグティマウンなど只の標的でしかなかった。

 

 

「ん?弾切れか」

 

 

機関砲の弾が切れ、マルコ機は3機、X2は2機を撃墜した。

 

 

「弾切れだ!後は後続に任せて帰投するぞ!」

 

『了解っ!』

 

 

 

任務を終えたマルコらは爆撃隊から離れていく。

 

 

「お」

 

 

帰還中、基地から飛び立ったX-2が4機が上がってきていた。マルコは上昇していくX-2に向けて敬礼する。

 

 

「後は頼んだぜ」

 

 

 

 

 

 

続く




今後暫くはグティ・マウンへのフルボッコが続きます。

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