「司令、ムーの試作機が敵機25機を撃墜したとの連絡が入りました」
X1とX2による戦果報告は直ぐに統括軍経由で護衛艦隊へ入った。
「敵の現在位置は?」
「ムーと空自の警戒機からの情報によると北西より高度を上げ、ここオタハイトに向けて接近中です」
「100機中、25機落としてるから残りは75機……防げるか?」
「艦隊全艦と陸自と空自の防空能力を全力発揮させれば恐らく問題ないかと」
「だが敵の数が数だ。最悪本艦も迎撃に参加する事になるな」
空自の警戒機からの情報はデータリンクにより常にリアルタイムで護衛艦隊全艦のCICに送られており、各護衛艦や紀伊の乗員達は対空戦闘に備えてモニターを注視し、火器管制システムのセーフティーを解除する。
『まや』CIC
「艦長、SPY目標捕捉」
最新鋭の護衛艦まやのSPY-1レーダーが敵の重爆隊をその強力なレーダーで捕捉した。CICの正面に備えられた大型のメインモニターに多数の光点が映し出される。
「対空戦闘用意」
『対空戦闘用意!』
まや艦長の青山1佐が対空戦闘指示を発令し、艦内に緊張が走った。
薄暗いCICのメインスクリーンには敵爆撃隊のドットが表示されており、多数のドットがまやの射程距離圏に入った。
「目標射程内に入る。艦長、攻撃します」
「了解」
「SM-2攻撃始め、CIC指示の目標!」
「了解。近づく目標、SM-2攻撃用意」
今回は敵の数が多いため目標の割り振りは全自動モードでコンピューターによる選定が行われ、コンピューターが選出した驚異度の高い目標に向けてデータ入力が行われ、瞬時に完了する。
「SM-2攻撃はじめ!」
「攻撃始め!」
ミサイル発射担当員がボタンを押すとMk41VLSからSM-2が発射された。
打ち上げられたSM-2はまやの最大誘導数となる12発。事前に入力された位置情報に従い敵爆撃隊が飛行している方向へ飛び去っていく。
「目標命中まで5…4…3…用意、今っ!」
超音速のミサイルを迎撃できるSM-2は敵爆撃隊の飛行エリアに突入、レーダースクリーンに映し出されていたミサイルと敵爆撃機のドットが重なり消滅していく。
「本艦のSM-2、目標に全弾命中。敵12機を撃墜」
「続いて第2射、射撃用意!」
続けてコンピューターによる目標の選定とデータ入力が行われ、再び12発のSM-2が発射された。
結果は1射目と同じで12発は全て目標に命中し、最初と合わせて24機を攻撃開始から5分で瞬く間に撃墜した。
「撃ち方やめ!」
まやは搭載していたSM-2の半数を撃ちきり、残っている1斉射分は不測の事態に備えて取っておく事となった。
迎撃が航空自衛隊に引き継がれると、オタハイト基地で待機していた高射隊の03式中距離地対空誘導弾とホーク地対空ミサイルが戦闘態勢に入った。
「目標捜索始め」
最初に射程距離が長い03式による攻撃のため、国産のフェイズドアレイレーダーを搭載したレーダー管制車が目標の捜索に入った。
「レーダー目標捕捉、発射用意よし」
「撃ち方始め」
垂直を向いた6連装ランチャーから03式誘導弾が放たれた。3両のランチャーから放たれた15発はレーダー車からの誘導に従い敵爆撃隊の方向へ向かっていく。
「どうなってるんだ!」
ベティッツはコックピットで頭を抱えながら怒鳴り散らす。
彼らにとって未知の航空機であるX1とX2の迎撃を乗り切り、高高度飛行のまま目標に近付くとまた友軍機が落とされた。しかも先程のような戦闘機の姿は何処にも無く、突然24機が爆発してしまったのだ。
信じられない光景にベティッツを含めた、爆撃隊の隊員の間に不安が広がっていく。
「我が方の残存機は?」
「51機です」
「半分やられたか…………」
既に彼ら爆撃隊には、本土を飛び立った時のような威容は見られず、隊員達にあった余裕ムードは何処にも無かった。
「大佐、どうしますか?」
「どうもこうも……撤退して皇帝陛下の顔に泥を塗るような事はしたくない。このまま目標に向かうぞ!」
「しかし大佐、既に我が隊は戦力の5割を失っています。戦力5割の損失は……」
「部隊の壊滅を意味すると言いたいのか?」
「………」
「今回の作戦は只の作戦ではない!撤退は論外だ!今回の作戦の成否によって帝国の今後が左右されると思えっ!」
ベティッツ大佐は部下にそう言い聞かせる。
「全機に告ぐ!作戦に変更はない!このままオタハイトを……」
その瞬間、右を飛行していた1機が爆散した。続いて、後ろに居た機と右斜め下に居た機が同時に爆発した。
「またかっ!」
オタハイト方向から放たれた03式誘導弾は爆撃隊に容赦なく襲いかかり、叩き落としていく。
この攻撃で15機が撃墜され、爆撃隊の残存機数は36機のみとなった。
「我々は無敵の筈……何故だ……何故こんな事に……」
続く
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