日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第6話

オタハイト基地から敵爆撃機隊に向けて撃ち出されていた03式は装填していた分を撃ち尽くし、再装填作業に入った。

 

 

「目標捕捉、攻撃用意よし!」

 

「撃て!」

 

 

 

再装填中の03式に続き、陸自が保有する古めかしい見た目の改良型ホーク地対空ミサイルが打ち上げられる。

4連装ランチャーからホークが煙を吐きながら1発ずつ打ち出されていき、レーダーによるセミアクティブ誘導により目標に向けて放たれた。

 

 

 

「司令、敵爆撃機は空自の03式地対空誘導弾によって15機撃墜との報告あり」

 

「敵残存機数は?」

 

「36機です。現在03式は再装填中で、陸自のホーク地対空ミサイルが迎撃中です」

 

 

データリンクにより、まやのレーダーと同期しているCICのメインスクリーン上には敵機とホークの点が急速に距離を詰め、双方の点が重なると同時にスクリーン上から消失していく。

 

 

 

「今回持ち込んだホークの数はそんなに多くはない。仮に全弾命中した場合、向かってくる敵機は16機。ホークと03式の再装填作業は最短でも30分、敵がオタハイトに到達するのが先か……」

 

「陸自の防空火器と合わせて効率よく迎撃するには高度10000に以下に敵を引き摺り降ろすしかありませんが、向こうは高高度からの爆撃で本艦に当てれるのでしょうか?」

 

「この狭いオタハイト湾内なら本艦は格好の標的だ、敵はそれを分かってこんな強行策を取ってきたんだ。当たらなくても至近弾で被害を受ける可能性がある。かつてのこの艦も旅順でB29の爆撃を受けた時にそうなったからな」

 

 

 

松田の言う通り、紀伊は太戦中に母港である旅順港に停泊中、B29による絨毯爆撃を受けて、至近弾によりバルジが損傷、甲板に居た乗員にも多数の死者を出している。

幸いにも当時の紀伊艦長による回避操艦と、ドックで建造中だった尾張の参戦により撃沈は逃れている。

今回のグラ・バルカスによる爆撃も偶然か、その旅順爆撃の時と状況が酷似している。

 

 

 

「艦隊を沖に待避させますか?」

 

「無駄だ。相手の狙いが本艦だとしたら、仮に沖へ逃げたとしても必ず追い付かれるし、敵が目標を本艦からオタハイトに変えてしまえば、ムーを守るためにここまでやってきた我々の存在意義が無くなってしまう………敵が高高度に居るなら、無理にでも引き摺り降ろすまでだ」

 

 

 

その時、報告が舞い込んできた。

 

 

「司令っ!敵爆撃機隊、山脈を越えて、オタハイトに侵入しつつあり!」

 

「来たか!陸自に迎撃用意を通達っ!」

 

 

03式とホークの迎撃を切り抜けた敵爆撃隊がオタハイトに迫る。

松田からの司令でオタハイト港に待機していた陸自高射隊がミサイルをオタハイト上空に向ける。

 

 

「敵機、目視にて視認っ!」

 

 

艦外にあるカメラ映像がCICのメインモニターに写し出される。

カメラはオタハイト北にある山脈を悠々と越えてやってきたグティ・マウンの姿を捉えた。

 

 

 

「報告通りだ。デカイな………」

 

 

グティ・マウンの数にアメリカ空軍のB52戦略爆撃機を見慣れている松田達ですら圧倒される。しかしそんな事などお構い無しとばかりに敵爆撃隊に向けて紀伊の主砲が向けられる。

 

 

「艦長、目標は間も無く主砲の有効射程圏に入ります」

 

「全主砲発射用意っ!最大仰角、時限信管、高度13000で起爆するよう設定!」

 

 

今回使用される3式改の時限信管調停が行われ、全砲弾が装填される。

 

 

「全主砲、3式改装填完了っ!」

 

 

射撃指揮所に居る、砲術士は緊張した面持ちで主砲の引き金に指を掛け目標との距離を測距する。

 

 

 

「撃ち方始めぇっ!撃てぇ!」

 

 

 

合図と同時に砲術士が引き金を引いた瞬間、紀伊の全主砲が一斉に火を吹き、雷のような轟音と衝撃波がオタハイトに響いた。

撃ち出された砲弾は、爆撃隊に向かって上昇していく。

 

 

「敵戦艦砲撃!」

 

「回避!」

 

 

編隊の隙間をすり抜けて爆撃隊の直上に到達した瞬間、3式改の時限信管が作動し砲弾が炸裂した。

 

 

 

『なんだこれは!?』

 

 

 

炸裂した砲弾から、酸化マグネシウムにより摂氏数千度の火の塊となったゴム片が雨のように爆撃隊に降り注ぐ。熱に弱いジュラルミンがボディに使われているグティ・マウン4機が瞬く間に炎上した。

 

 

 

『うわぁっ!火がっ!火がっ!』

 

『消火器だ!急げっ!燃え落ちるぞ!』

 

 

 

炎上した4機が一気に高度を下げた。

 

 

「今だっ!撃てぇ!」

 

 

おおすみの甲板に居た陸自高射隊がグティ・マウンが射程距離に入ったタイミングで81式短距離地対空誘導弾を発射した。放たれた10発の誘導弾は炎上するグティ・マウン4機に命中した。

 

 

「いかん!全機、高度を上げろっ!」

 

 

 

ベティッツは慌てて高度を上げるよう指示し、12機のグティ・マウンは高度を上げようとする。

 

 

 

 

「次弾、15500で起爆調停」

 

 

 

2斉射目の砲弾が装填され、砲身の仰角が上げられる。

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

2斉射目が放たれた。

9発の3式改が再び直上で爆発し、5機が炎上する。

 

 

「隊長っ!5機が被弾っ!高度が急激に落ちていきますっ!」

 

「何っ!?」

 

 

ベティッツは落ちていく5機へ損傷確認と、退避の指示を出そうと、コックピットに置いてあった無線機のスイッチを入れる。

 

 

 

『高度低下っ!落ちる!落ちる!』

 

『エンジン、出力維持出来ないっ!』

 

『こちら7番機、機体炎上っ!火災止まらないっ!』

 

 

 

無線のスピーカーの向こうからは、落ちていく5機のグティ・マウンの乗員の悲鳴が聞こえてくる。

 

 

 

やがて爆音と共に、悲鳴は途絶え雑音だけとなる。

 

 

 

「馬鹿な……こんな事が……」

 

 

 

7機のみとなった爆撃隊に最早、作戦を続ける能力は無くなり、無敵と信じていた自身の隊が壊滅に追い込まれたベティッツは怒りと悔しさに震える。

 

 

 

「こうなれば取るべき選択は1つしか無い!全機、これより敵艦に向かって突撃っ!」

 

 

 

ベティッツは最後の手段である体当たりを仕掛けるため、機体を急降下させた。

 

 

 

「敵機、急降下してきます!」

 

「全兵装使用自由っ!各艦対空戦闘、攻撃始めっ!」

 

 

 

おおすみの陸自高射隊と艦隊から対空攻撃が始まる。同時に再装填が終わった03式とホークからの攻撃も加わった。

 

 

「ウォォォォォォッッッ!!」

 

 

ミサイル、速射砲、機銃といった、ありとあらゆる攻撃に晒された7機は瞬く間に撃墜されていく。

高度が1000以下になる頃には、グティ・マウンはベティッツ機のみとなり、被弾して機体が炎上する中、ベティッツは操縦桿とスロットルを握り続け、紀伊目掛けて突撃を仕掛ける。

 

 

 

「お……おのれぇ~!!!この化け物めぇぇ!!」

 

 

 

機内に一人残されたベティッツは火災で身体中に走る痛みと熱さに苦しみながら、霞んでいく視界に紀伊を捉えながら意識を失った。

 

 

 

「衝撃に備え!」

 

 

 

機内の火災が爆弾倉に搭載されていた大型爆弾に引火、ベティッツ機は紀伊の後方直上で爆散、爆風と大量の破片が紀伊に降り注ぐ。

 

 

 

「被害報告!」

 

『後部飛行甲板に敵航空機の残骸落下!第3砲塔右舷01甲板に火災発生中!自動消火装置作動中!』

 

「衛星通信システム機能不全、メインシステム緊急停止!サブシステムに切り替える!」

 

「CIWS2番砲機能停止!速射砲8番、9番、10番にも損傷認める!下部弾薬庫緊急閉鎖、総員退避!火器管制システム緊急停止!」

 

 

 

紀伊の被害は瞬く間に広がったが、訓練された乗員らによってそれ以上の被害拡大は食い止められ、応急員達は火災発生現場の消火作業、損傷箇所の確認、弾薬庫などの危険物がある区画の閉鎖などを実行する。

 

 

 

 

 

 

「敵機、全機撃墜を確認…………やりました!」

 

「「「「「うぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」」」」」

 

 

 

戦いを見守っていたオタハイト市民とムーの首都防衛隊の軍人達は、勝利に沸いた。

 

 

 

松田は被害報告を受けながら、目の前の危機が去った事に安堵した。

 

 

「何とか凌いだな……」

 

「司令、マイカルの方も片付いたようです」

 

 

 

同時に上がってきた報告に、松田は艦長席にもたれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




次回はマイカルでの戦いです

皆様からのご意見とご感想お待ちしております。
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