日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

54 / 258
第8話

海上を全速力で航行するラ・カサミ改艦内では艦隊司令官室跡に設置されたCICで、ミニラルがヘッドセットを装着しメインモニターへ視線を向けている。

 

 

「艦長。対水上レーダー、目標を探知しました」

 

「位置は?」

 

「本艦前方280度、距離380、艦数24隻」

 

「情報通り、グラ・バルカス帝国の艦隊と見て間違いないな。対水上戦闘用意!」

 

「対水上戦闘用意っ!」

 

 

対水上戦闘用意が艦内放送で下命されベルが鳴り響くと、乗員達は駆け足で艦内を走り回りながら隔壁の緊急閉鎖を行い各々の配置に就く。

 

 

「各部配置よし」

 

「1分か……半年とはいえ、日本で受けた訓練の賜物だな」

 

 

ミニラル達はラ・カサミの改修工事中、海上自衛隊の練習艦を使った猛訓練を受けており、戦闘配備発令から艦内配置完了までの手順、ダメコン、更には電子機器を搭載するラ・カサミ改の扱える様に近代戦術に関する訓練を全て受けている。

たった半年間だけであるがミニラル達はすっかり海上自衛隊色に染まっており、そんな彼等に統括海軍は自衛隊や日本政府への感謝を込めてなのか、発令の掛け声から乗員達が着用するライフジャケットとヘルメット、作業服の色まで海上自衛隊に寄せている。

 

 

 

「この姿に恥じないよう、総員奮励せよ!」

 

 

 

新しい服に身を包んだミニラル達は日本で受けた訓練の成果を敵に見せつけるため、改めて気を引き締める。

 

 

「副長、この状況をどう見る?」

 

「はい。敵空母は日本がかつて保有していたとされるソウリュウ型空母とショウカク型空母と同等の性能を有していると考えます。この2隻には多数の航空機が搭載されていますので一番の脅威とし先に空母を潰すべきかと」

 

「よろしい。砲雷長、ハープーン攻撃用意」

 

「了解。対水上戦闘、ハープーン攻撃始め。目標敵空母 2、発射弾数2つ」

 

 

レーダー反応の大小から先ず最初に脅威となる目標を選定するため日本から提供された旧海軍の艦船に関するデータを基に、敵艦隊が使用している艦船の中で一番大型である空母を最大の脅威と判定、ハープーンによる攻撃態勢に入る。

 

 

 

「目標をロック、ハープーン発射用意よし!」

 

「ハープーン発射始め!」

 

「1、2、3、4番発射用意………撃てっ!」

 

 

 

発射ボタンが押されると、ラ・カサミ改の2本の煙突の間に設置された4連装ランチャー2基のうち1基から4発のハープーンが撃ち出され、目標目掛けて飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方イシュタムでは、空母の甲板上で攻撃隊の発進準備が行われており、イシュタム航空参謀『ネイト』は、空母シェアトから無線を使ってメイナードに報告する。

 

 

「司令、間も無く攻撃隊は発艦準備完了します」

 

「了解した」

 

「全て順調ですな」

 

「あぁ。順調過ぎて怖いくらいだよ」

 

 

ネイトは楽観的であるがメイナードは、作戦が上手く行きすぎている事に僅かであるが不安を感じている。

 

 

「ところで陸軍の爆撃隊はどうなってる?」

 

「最新の報告では、間も無くオタハイトに到達するとの事です」

 

「よし……陸軍に先を越される前に我々がマイカルに一撃を加えてやる!攻撃隊の発艦作業を急げ!」

 

 

 

イシュタムの将兵達の心には格下のムー相手になら余裕で勝てるとの慢心があった。その感情が後に彼等の命取りになる事になる事も知らずに………

 

 

 

 

「司令、攻撃隊発艦準備完了しました!」

 

「攻撃隊、出撃せよ!」

 

 

 

空母から攻撃隊が飛び立とうと滑走を始めた瞬間…

 

 

 

「前方12時方向より、低空で接近する目標ありっ!」

 

「何っ!対空戦闘っ!」

 

 

 

突然上がってきた報告に、メイナードは急いで対空戦闘を指示し、全艦から対空砲による砲撃が上がる。

 

 

「駄目だ!早すぎる!」

 

 

 

亜音速で接近してきたハープーンを捉えるのは非常に困難であり、4発のハープーンのうち2発は手前でホップアップ、残り2発は超低空飛行を維持したまま、シェアトと後方の小型空母へ突撃、命中と同時に爆発を生じさせ甲板と船体に大穴を開けた。

 

 

 

「やられた!被害報告急げ!」

 

 

 

メイナードは被害報告を求める。

 

 

 

「不明目標、本艦右舷と甲板に2発ずつ直撃!格納庫内と飛行甲板に火災発生、機関も停止!各所より浸水が発生中!」

 

 

 

2発のハープーンはシェアトに致命的なダメージを与えた。1発は木製の甲板を貫き格納庫内に突入すると大爆発を起こし、2発目のハープーンは超低空飛行で右舷の喫水に直撃し、大穴を開けて海水を艦内へ雪崩れ込ませる。

帝国の最新鋭空母であるシェアトと言えど格納庫内での大爆発からの火災と右舷からの浸水による同時多発のダメージ耐えられず、たちまち航行不能となる。

 

 

 

「被害甚大!ダメージコントロールが追い付かず、注排水装置も作動しません!現在、艦の傾斜角30度越えています!危険です!」

 

「クソ!艦を放棄する!総員退……」

 

 

 

 

直後、格納庫で起きていた火災は、格納されていた魚雷と予備の燃料に引火し大爆発を起こした。

 

 

 

「ウワァァ!!!」

 

 

 

シェアトは一瞬で炎に包まれ、ネイトとメイナードを含めた艦橋に居た幹部達は艦橋から数十メートル下の海面へ落下し、コンクリートに叩きつけられたかのような衝撃を受けた。

乗員達は各々の判断で艦から脱出していき、やがてシェアトは炎上しながら転覆、赤く塗装された艦底を真上に向けながら艦首から海中へ姿を消した。

 

 

 

 

 

 

続く




皆様からのご意見とご感想お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。