日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第12話

グラ・バルカス帝国による、オタハイとマイカルへの直接攻撃を退けてから3ヶ月が経過した。

 

 

 

ムーの隣国で、かつては列強国の一角だったが、グラ・バルカス帝国の領土となった『レイフォル』の首都、レイフォリアから南へ南下し、ムーとの国境近くに『バルクルス』と言う土地がある。

今、この地にはグラ・バルカス帝国の最前線基地である『バルクルス基地』が建設されている。

近代技術の枠を集めて造られた堅固なこの前線基地には、帝国陸軍第8軍団、第4機甲師団、第3師団が駐留している。

 

 

今日この日、基地では普段の訓練とは違った雰囲気があった。

基地に駐留している全部隊の車両や航空機や施設を眺められる航空管制塔から3人の将校の姿があった。

 

 

3人の将校のうち、50代後半で痩身中背の風貌を持つ第8軍団団長の『ガオグゲル・キンリーバレッジ』中将、40代後半のがっちりとした体格を持つ第4機甲師団師団長の『ボーグ・フラッツ』少将の2人が、基地司令を努める60代前半の老将校『ムーア・ワドル』大将に詰め寄っていた。

 

 

「中将、話とは何だ?」

 

「はい。閣下にお越し頂いたのは他でもありません。我が軍団によるムー国侵攻作戦のご許可を頂きにきました」

 

「何だと!?」

 

 

ガオグゲルからの突然の申し出にワドルは驚愕の表情を見せ、そして座っていた席から立ち上がる。

 

 

「ならん!本国から許可があるまで、ムーへの軍事作戦は禁止するとの通達があったのを忘れたのか?」

 

「えぇ、それは重々承知です」

 

「なら何故、そのような話を?」

 

「それは至極簡単であります。今やムーは日本国による支援にて着実に強化されつつあります。異界の蛮族共が力をつける前にムーを落とすのです。そうすれば我が帝国は世界制覇への道を進む事が出来るのです」

 

「日本国は我が帝国が誇る最新鋭艦の超巨大戦艦を沈め、更には帝国の航空技術の枠を集めて開発されたグティ・マウンすらも退けた。そんな力を持った相手と手を組んでいるムーに対して悪戯に進攻しようなら相手を刺激して手痛いしっぺ返しを喰らうぞ!」

 

「閣下らしくもありませんな。かつての戦争で帝国陸軍を幾度もの勝利に導いた方の言葉とは思えません」

 

 

 

ガオグゲルの言葉にワドルは長年の経験から、言い知れぬ違和感を感じた。

 

 

 

「中将、誰に唆された?」

 

「はて…何の事でしょうか?私は自分の考えを申してるだけです」

 

「中将、私は君の上官を何年やっていると思っている?ワシに隠し事が出来ると思っているのか?」

 

「………………」

 

「中将、君を一時的に第8軍団副団長職を解く。ボーグ少将、彼を営倉へ」

 

 

 

ワドルはガオグゲルの隣に居たボーグに命令する。

ボーグはガオグゲルの後ろに回り、彼の両手を拘束するしようとする。

 

 

 

しかしその瞬間………

 

 

 

「営倉……いや、営倉と言う名の地獄へ行くのは貴方ですよ」

 

 

 

ガオグゲルはそう呟くと、ボーグに拘束されそうになっていた両手で腰のホルスターから拳銃を引き抜き、ワドルに向けると何の迷いもなく引き金を引いた。

 

 

 

バンッ!バンッ!バンッ!

 

 

 

3発の銃声が響き、ワドルは糸が着れた人形のように床に倒れ付した。

 

 

 

「貴様!」

 

 

 

扉の両隣に居た警備兵が慌てて拳銃を引き抜こうしたが、ガオグゲルに続いてとボーグも拳銃を引き抜き、2人が同時に振り向き警備兵を射殺した。

それと同時に、扉が勢いよく開けられ、完全武装した帝国兵数人が入ってくる。

 

 

 

「中将、少将、ご無事ですか?」

 

「あぁ……基地内はどうだ?」

 

「既に我々の同志達が押さえました。基地に籠っていて不満が積もっていた連中が大半でしたから、案外早くいきました」

 

「そうか………」

 

 

 

ガオグゲルは管制塔から出て、基地に所属する全部隊の兵士が整列している広場へと降り立ち、彼らの目の前にある整列台に立ち、両手を広げて高らかに笑いだした。

 

 

 

「フフフ………ハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

 

基地中に彼の笑い声が響き渡る。

 

 

 

「今から諸君達は私の指揮下に入る事になった!闘志に満ちた諸君達は軟弱なワドルの指揮より、私の指揮に入りたいと思っている筈だ!違うかぁ!」

 

「「「「「「「「「「オォォォォォ!!!!!!!」」」」」」」」

 

 

 

ガオグゲルの声に負けないよう、兵士達は腹の底から大声を出して応える。

 

 

 

「諸君達は戦いが好きか!戦争が好きか!」

 

「「「「「「「「「「オォォォォォォォォォォ!!!!」」」」」」」」」

 

「よし気に入った!その勢いを忘れないうちに、我々はムーを落とすぞ!私は諸君達に勝利を与える事を約束しよう!!」

 

 

 

最早、彼等を止められる者は誰も居なかった。

 

 

 

「これより我々はムーの国境の町、アルーを奪いに行くぞ!!第4機甲師団は直ちに出撃だぁ!」

 

 

 

ボーグの合図で、第4機甲師団に所属する全ての兵士達は、戦車、装甲車、トラックに乗り込みエンジンを始動させ、隊列を成しながら、アルーへ向けて進軍を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




オリキャラの『ワドル』とガオグゲルのクーデターシーンの元ネタ……分かる人って居るのかなぁ?


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