日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第13話

レイフォルと結ぶ街道上にある国境の町『アルー』

 

 

普段なら数千人の住民達が居住しているこの町は今、グラ・バルカス帝国との最前線位置しており、国境の町と言う事もありムー陸軍の国境警備隊が常駐している。

4年前までは武装した国境警備隊に工兵隊、後方支援部隊を含めて300人程度の小さな部隊だったが、その後にグラ・バルカス帝国が出現し、パガンダやレイフォルを手中に入れ、実際に帝国軍側の国境警備隊が姿を表してから、規模と人員が大幅に増強され、現在は1500人規模にまで拡大されている。

 

 

今この町に民間人の姿はなく、ムーと陸上自衛隊の前線基地が置かれ、ムー軍兵士と自衛隊員しか居ない。

町の役所として利用されていた庁舎には、ムーと日本の連合部隊の本部が置かれ、会議室は司令部として利用されていた。

 

 

「敵が先に動いたか」

 

 

 

会議室内に大内田の声が響く。

 

 

「相手も人間だったと言う事だな。基地に籠りっぱなしで痺れを切らした上での暴挙だろう。大内田殿、グラ・バルカスの目的は何だと思いますか?」

 

 

 

大内田の隣に居た、ムー陸軍のアルー防衛隊司令官『マインド・ハッテン』少将が大内田に尋ねる。

 

 

 

「恐らく敵の狙いは、このアルーをムーへの侵攻の足掛かりにするためでしょう。地理的にも此処はムー本土への侵攻には都合が良いです」

 

「我々は当初の予定通りに?」

 

「えぇ。このまま敵にアルーを明け渡し、我々は後方の空洞山脈まで後退し、敵を所定の位置まで引き付けます!」

 

 

 

この日のために備えて、ムーと自衛隊は事前に敵侵攻作戦を頓挫させる作戦を練り上げていた。

アルーは元から地形的に防衛戦には向かないため、敵が侵攻してきた場合に備えて、後方のマルムッド山脈、通称『空洞山脈』と呼ばれる、魔石で構成され、そこかしこに穴がある特徴を持つその山に敵を誘い込み、待ち伏せ攻撃で敵機甲師団を一網打尽にすると言う作戦だった。

 

 

アルー内に居た陸上自衛隊第7師団とムー陸軍アルー防衛隊は撤退戦に向けて準備を始めた。

敵を引き付ける役の陸上自衛隊第7師団が誇る第71戦車連隊第1戦車中隊所属の10式戦車14両、第11普通科連隊、航空支援の第1対戦車ヘリコプター隊のAH-1S・AH-64Dが準備に入った。

また、後方のキールセキにあるエヌビア基地からは、航空自衛隊第3飛行隊のF-2、第203飛行隊のF-15が制空権確保と戦車連隊・ヘリ隊の支援のため次々と出撃していく。

 

 

 

「師団長、後退準備整いました!」

 

「よし!ハッテン少将、そちらは?」

 

「はい。こちらも準備は完了しました」

 

「では先に撤退してください!我々も後に続きます!」

 

「了解した!またキールセキで合いましょう!どうか御無事で」

 

「そちらも」

 

 

 

ハッテン少将は大内田に別れを告げて、アルー防衛隊の兵士を乗せたトラックに自ら乗り込み、先にアルーを後にした。

 

 

 

「さて、我々もロウリア戦以来の大暴れと行きますか!」

 

 

 

大内田も司令部を後にして、82式指揮通信車に乗り込む。

 

 

 

「師団長、エヌビア基地の空自司令部より、航空支援の飛行隊が間も無くこちらに到着するとの事です。それとムーの第11偵察隊が、グラ・バルカスの機甲師団を確認したとの連絡が入りました」

 

「偵察隊は?」

 

「既に撤収中で、後10分で我々と合流できるとの事です」

 

「よし。各部隊の状況は?」

 

「戦車、普通科は所定の位置で待機しています。ヘリ隊は既に敵機甲師団へ向けて前進中との事です。山脈後方で待機している特科と対舟艇対戦車隊も待機に入りました」

 

「準備完了だな………さて………吉と出るか凶と出るか」

 

 

 

 

 

 

その頃、アルーから飛び立った第1対戦車ヘリコプター隊は、敵機甲師団が侵攻してくる方角へ向けて飛行していた。

 

 

「久々の実戦だな」

 

 

 

隊の先頭を飛行するアパッチ隊を指揮する大塚は、ロウリア戦以来の実戦に興奮を隠せないでいた。

 

 

 

「えぇ。でもあの時と比べたらあんまり緊張しませんね」

 

「ロウリアの時は竜とか魔法とか、現実じゃあり得ないような物を使ってくる連中が相手だったからさ。今回は魔法と竜じゃなくて、戦車や装甲車が相手だからじゃないか?」

 

「そうかもしれませんね」

 

 

 

大塚の言う通り、第7師団に所属する全隊員がロウリア戦の時のような緊張感が無いのは、魔法やワイバーンなどお伽噺に出てくる物が相手だったからで、今回は魔法も無くワイバーンも飛んで来ない近代的て無機質な機甲師団相手である。各々が抱く緊張感に違いがあるのは当然の事である。

 

 

 

「1尉、間も無く空自が上空を通過していきます」

 

 

 

伊藤の言葉に、大塚は空を見上げる。空は厚い天雲で覆われ肉眼では見えないが、雲の上より遥か上空では、エヌビア基地から飛び立った203飛行隊と3飛行隊が飛行していた。

 

 

 

『こちらエクセル』

 

 

 

彼らの元へ、早期警戒機から無線報告が入った。

 

 

 

「こちらモールリーダー」

 

『貴隊より前方の空域に敵性航空機多数を探知、機数は大型機24機』

 

「了解。こちらでもレーダーで確認した」

 

『了解。間も無くEC-2による電波妨害が開始される。周波数を切り替え』

 

「了解」

 

 

データリンクによりリアルタイムで送られてくる警戒機からのレーダー情報が投影される多機能ディスプレイを見ながら、全機がEC-2による電波妨害に備えて無線の周波数を変更した。

 

 

『5、4、3、2、1、今!』

 

 

 

近くの空域で待機していたEC-2による電波妨害が開始された。

 

 

 

「さて……やるか!」

 

 

 

それを合図に、203飛行隊を指揮する本城2佐は3飛行隊より先に前進する。

 

 

「モールリーダーより全機に告ぐ!敵が有効射程に入り次第、攻撃開始!」

 

 

 

本城の指示にF-15J全機が目標をレーダーでロックし、胴体左右下のハードポイントに装着されたAAM-4空対空誘導弾のセーフティーを解除する。

 

 

 

「攻撃開始!」

 

 

 

合図と同時に、全機からAAM-4が発射された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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