クワ・トイネからの援軍要請に駆けつけた陸上自衛隊第7師団と第1空挺団は、海上自衛隊の輸送艦や民間の輸送船による連日のピストン輸送で、ほぼ全ての戦力がダイダル平野に集結した。
「陸将、第7師団全部隊集結完了しました」
「うむ」
第7師団を率いる『大内田和樹』陸将は、師団本部が置かれた指揮所で師団全部隊の集結と配置が完了した報告を受ける。
「では、そちらはどうですか?」
大内田は隣に居た第1空挺団を率いる『山下秀一』陸将補に問い掛ける。
「こちらも既に集結しています」
「結構!」
部隊指揮官級での部隊の現状について報告を行っていると、平野に建設された滑走路方向から轟音が聞こえてきた。
「どうやら例の"連中"もおいでなすったようだ」
大内田と山下は指揮所から出て、滑走路に向かった。
南方向の空から、編隊を組んだ2機のC2輸送機、1機のC-130Hが着陸態勢に入っており、作られたばかりの滑走路に一番槍として次々と着陸していく。
着陸を終えて待機場所に移動したC2の貨物室にある扉が開かれると、黒いベレー帽を被り、顔を隠すようにサングラスをかけた自衛官達が次々と降りてきた。その自衛官らの迷彩服の左胸ポケットには、十数万人の陸上自衛官の中でも彼らにしか授けられない『特殊作戦き章』が縫い付けられている。
そして最後に降りてきた指揮官と思われる一人の自衛官が大内田達の元にやって来た
「待ちくたびれたぞ、内海1佐」
「申し訳ありません。駐屯地から追っかけ共に追跡されないように遠回りしていたもので。特殊作戦群、第1、第2中隊、只今到着しました!」
彼らは、この作戦の重要な切り札となる陸上自衛隊の特殊部隊『特殊作戦群』だ。
日本全国の陸上自衛隊の部隊から厳しい審査や選抜訓練を経て選び抜かれた隊員で構成された当部隊は厳重な情報管理体制下に置かれており、詳しい実態はほぼベールに包まれている。
そんな彼らを率いる『内海真』1等陸佐指揮下の特殊作戦群2個中隊が此処に派遣されたのは第1空挺団と第7師団と連携し、作戦の最終段階で"ある"重要な任務に就くためであった。
「ここなら変な追っかけ共も居ないし、気を使う必要はないから安心してくれ」
「はい。では我々は作戦に向けての準備がありますので、これで失礼します」
そう言って内海ら特殊作戦群は基地の一角にある専用のエリアへと去っていった。
「他の連中も張り切ってるな」
滑走路とは逆の方向にあるヘリパッドでは、AH-1S、AH-64D、CH-47J、UH-1、UH-60Jといった、陸上自衛隊の航空戦力を担うヘリコプターが点検を兼ねて暖気運転を行っており、航空自衛隊のE2Cホークアイ2機が飛び立っていく。
この作戦には陸上自衛隊第1ヘリコプター団、第4対戦車ヘリコプター隊、航空自衛隊第201飛行隊、第3飛行隊、第501飛行隊、第4輸送飛行隊第402飛行隊、飛行警戒監視群第603飛行隊が参加している。
「そう言えば、クワ・トイネからの情報によるとギム方面から避難してくる難民がこちらに向かってきているとの事です。彼等の処遇についてはどうしますか?」
大内田の副官がそう尋ねてきた。
「無論、保護する。彼等はロウ……武装勢力によって被害を受けた同盟国人だからな」
「分かりました。では偵察に出る各部隊には避難民を発見した場合は保護を最優先にするよう伝えます」
「頼む。それと保護した避難民達の受け入れ態勢も怠るなよ」
「了解!」
ロウリアとの戦闘態勢が整いつつある中、大内田は東の空へと沈んでいく夕日を見つめる。
「…………………」
続く
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