日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第14話

ムー侵攻部隊支援のため、バルクルス基地から出撃した第1次攻撃隊はアルーへ向けて飛行していた。

 

戦闘機隊のアンタレス16機、旧日本陸軍4式重爆『飛龍』に酷似した『ベガ』型双発爆撃機24機で編成された第1次攻撃隊を指揮する『ドミー・リットル』大佐は、指揮官機仕様のベガの操縦席で葉巻を咥え優越感に浸っていた。

 

 

(こんな楽な作戦は無い……ムーの迎撃機も対空砲も届かず、レーダー照準で天候にも左右されない。これで任務を終えたらまた英雄になれるのだから堪えられん)

 

 

 

リットルは陸軍爆撃隊でも凄腕の爆撃隊指揮官として知名度が高く、彼に憧れて爆撃機搭乗員になる者も多い。

自信と勇気に満ち溢れる性格ながら、適格な指揮で幾度もの戦いでもその能力を遺憾なく発揮している。

実際に転移前のケイン神王国との戦争でも、海軍の空母に爆撃機を乗せて、敵国の首都の直接爆撃を見事に完遂させる伝説を打ち立てている。

 

 

 

「ご機嫌ですね大佐」

 

 

 

横に座って、機体を操縦していた副官が声を掛ける。

 

 

 

「分かるか?ここがケイン神王国の領空なら迎撃機が上がって来て、一々進路を変えなかきゃならなかったが、ムーには我々に追い付ける迎撃機も、撃ち落とす事が出来る対空砲も無いんだ。こんな楽で余裕がある任務が今まであったか?」

 

「確かに……でも………」

 

「どうしたんだ?」

 

「噂で聞いたのですが、本国の特別爆撃連隊所属のグティ・マウン100機が日本艦隊へ爆撃に行って、全機未帰還だったと聞きましたが………」

 

「あぁ、例のあの話か………ヘンッ!機体の性能に助けられてた奴らには荷が重かっただけの話さ。大体、高高度からの対艦攻撃なんて例が無い。そんな見通しの甘い作戦に見栄はって出たから最後は特攻なんて馬鹿な事しやがる。アーリ・トリガーのタコ野郎に俺がその事指摘してやったら顔を真っ赤にして地団駄踏んで悔しがってたな」

 

 

 

リットルは特別爆撃連隊の失敗を鼻で笑いながら、操縦桿を握り続ける。

 

 

 

「さっさとこんな任務終わらせて帰ろうぜ」

 

「そうですね」

 

 

 

そう言って、視線を前方に向ける。

太陽の光が降り注ぐ青空の中を飛行する攻撃隊。視線を前方に一点集中させていると、遥か前方から光のような物が一瞬だけ見えた。

 

 

「何だ…」

 

 

何事かと思い、体を前に寄せて視線を凝らす。

 

 

「ん?」

 

 

リットルの視線に1本の"何か"が写った。

 

 

「なん……」

 

 

直後、操縦席前面が突然光に覆われ、瞬時に強力な衝撃波が操縦席の窓を突き破り、高熱の熱線と破片が飛び込み、リットルと副官、機関士の体を引き裂き、爆弾倉に仕舞われていた3発の250キロ爆弾に引火し、機体は大爆発で四散した。

 

 

 

『指揮官機被弾!』

 

 

リットルの乗っていた指揮官機が爆発したのを合図に、攻撃隊のベガやアンタレスが次々と爆発していく。

 

 

 

『何だ!何が………ザザッ』

 

『4番機被弾!』

 

『10番機もやられた!あぁ、6番と2番、9番機もやられたぞ!』

 

『右主翼被弾!制御不能!制御不能!』

 

 

 

被弾したベガとアンタレスは四散したり、主翼を捥がれたりして次々と雲の中へと消えていく。

第1次攻撃隊は何処からか分からない謎の攻撃にパニックとなり、大混乱となる。

 

 

 

「こちら第1次攻撃隊、7番機!現在我が隊は正体不明の攻撃を受けている!指揮官機以下、損害多数!」

 

 

 

見かねた7番機が無線で基地に報告を入れるが、何故か無線が通じず、雑音しか聞こえない。

 

 

 

「無線が通じません!」

 

「こんな時に!」

 

 

自衛隊による電子妨害により、攻撃隊や地上部隊の無線連絡機能は完全に麻痺状態である。そんな中に実行された第203飛行隊から放たれたAAM-4による攻撃は、飛翔速度マッハ4と言う、グラ・バルカス帝国の常識からしたら反則とも言える性能に、彼等の誰一人として理解できる者は居なかった。

 

 

『ターゲットα(ベガ)、22機撃墜。ターゲットΔ(アンタレス)10機撃墜確認。残存機、α2機、Δ6機』

 

 

 

早期警戒機からの報告に、本城達は戦いの主導権を握った事を感じた。

 

 

 

「モールリーダーより全機へ、これより仕上げに掛かる!行くぞ!」

 

 

 

203飛行隊は残りの敵機を片付けるべく、アフターバーナーを点火させ、超音速で敵残存機に向かって突き進む。

 

 

 

「ターゲットインサイト!モール、エンゲージ(交戦開始!)!」

 

 

 

本城達は残りのベガ2機、アンタレス6機に向かって空中戦を仕掛ける。

先にベガをAAM-5で片付けてから、アンタレスに食らいつく。

 

 

 

「ここはお前等の空じゃねぇんだよ!」

 

 

 

本城は逃げようとするアンタレスに向かってAAM-4を発射し1機を撃ち落とすと、もう1機をバルカン砲で粉砕した。

 

 

『ヒィィィィ!化け物だ!』

 

『クソォォォォォ!!勝てるかよ、こんなの相手に!』

 

『パイロットになんてなるんじゃなかった!』

 

『オカアチャァァン!!!』

 

 

 

アンタレスのパイロット達は、一騎当千とも言えるイーグルの戦闘能力の前に戦意を損失して、必死に逃げ回る。

しかし奮闘空しく、たった10分間で第1次攻撃隊は誰一人として生存者は無く文字通り全滅した。

制空権を確保した203飛行隊は、後方のヘリ隊に作戦成功の合図を送った。

 

 

 

「1尉!空自がやってくれました!」

 

「よし!狩りの時間だ!行くぞ!」

 

 

 

第1対戦車ヘリコプター隊は、隊列を整えて、第4機甲師団へと迫る。

 

 

 

 

 

続く




『ドミー・リットル』の元ネタは、アメリカ陸軍航空隊のジミー・ドーリットル大佐です。



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