アルーとキールセキ防衛に成功した陸上自衛隊は、降伏したボーグらに治療と、尋問を行っていた。
大内田らはキールセキ駐屯地から再びアルーへと戻り、合わせて第7師団本隊とムー陸軍も移動していた。
「ではこれより、バルクルス基地攻略作戦について説明いたします」
大内田は指揮所に集まっていたムー軍の幹部達に、次なる作戦の説明を始める。
「現在、レイフォルとの国境から十数キロ地点に設けられたバルクルス基地があります。航空自衛隊による偵察と捕虜とした敵機甲師団の指揮官や兵士達全員からの聞き取りから、陸軍1個師団、戦闘機と爆撃機で編成された2個航空団が駐留していると判断いたしました。周辺の地形と基地構造を精査し、脅威となる敵師団を基地から引き摺り出し、空となった基地司令部を制圧したいと考えています」
「大内田殿、基地から出てきた敵の部隊に対しては?」
「それは我々第7師団が担当します。敵基地司令部制圧は貴国の特殊部隊にお任せしたいのですがお願い出来ますか?」
「しかし敵の兵力差を考えれば貴国の第1空挺団が適していると思うのですが…」
「我々は飽くまで援軍の立場であり、貴国の国民の感情と政治的な意味合いを含め敵司令部の制圧は貴国にお任せしたいのです。第1空挺団は特殊空挺部隊の援護にまわりますのでお願いします」
大内田らは作戦立案の段階で自分達の立場を考え、あまり前に出過ぎず、重要部分に関してはムーに任せる事にしていたのである。
大内田からの願いにマクゲイル大佐は満面の笑みで応えた。
「承知しました!貴国の精鋭である第1空挺団に鍛えられた我が軍の特殊空挺部隊なら完璧に任務を完遂出来るでしょう!」
「ご理解ありがとうございます。では早速、準備を始めましょう」
第7師団とムー陸軍はバルクルス基地攻略に向けての準備に入り、脅威となる航空兵力の動きが制限される夜間に作戦が実行される事となった。
それから1日半後の、午後11時30分
ムー軍ドーソン基地では、航空自衛隊所属のC-2・C-130H輸送機、F-2とF-15が暖気運転を行っていた。
陸上自衛隊の施設部隊によって整備された滑走路の一角で駐機している輸送機には陸上自衛隊第1空挺団の隊員と、ムー陸軍の切り札となる者達が乗り込んでいた。
「いいか!我々は祖国にとって初の特殊部隊となる!この一年間、我々は泥を啜る思いで厳しい訓練に耐え、誰一人として欠ける事なく精鋭の仲間入りとなった!」
今回が初の実戦となるムー陸軍初の近代的特殊部隊『第22特殊空挺連隊』
彼等は日本が転移してくる遥か以前の中央暦1582年に陸軍内で編成されていた200名からなる人員で編成された陸軍『第22遊撃連隊』を起源としている。
ムー陸軍内では遊撃戦闘と隠密偵察を主任務とし、創設当時のムー大陸内で起きていた南北戦争でゲリラ戦や情報収集、敵地潜入と強襲、ゲリラ戦等の非正規戦闘任務を担い、陸軍最精鋭と言われている。
南北戦争終結後は、第2文明圏の同盟国の正規軍に対する特殊・ゲリラ戦闘訓練、要人警護、レイフォルへの非正規軍事作戦等を展開し多方面で活躍していた。
そんな折、日本が転移してくる直前にこの世界に転移してきたグラ・バルカス帝国へ対する軍事的脅威の増大と軍の近代化計画が増進された事により、日本国と新生合衆国との国交開設と同時に2か国へ訓練のため人員を派遣、部隊は各々、陸上自衛隊の第1空挺団と特殊作戦群から空挺降下過程や空挺レンジャー訓練過程を受けた後、警視庁SAT、最後に新生合衆国の実戦経験豊富な特殊部隊からも各種戦闘訓練と指導を受けている。
一年足らずで近代特殊作戦部隊へと変貌し、この作戦の1ヶ月前に部隊は『第22特殊空挺連隊』へと再編され、上級単位も新たに組織された陸軍特殊作戦コマンドの指揮下に置かれている。
彼らは、久方振りとなる実戦に緊張しているが指揮官は、そんな彼等に勇気を見せる。
「我々に技術を伝授してくれた日本国と新生合衆国の誠意に応えるため、必ず作戦を成功させるぞ!」
「「「「「おぅっ!」」」」」
簡便に締め括られると、部隊はC-2輸送機へと次々に搭乗していく。
『間も無く午前0時をお知らせします』
時報が作戦開始2時間前の午前0時を指すと、第1空挺団と特殊空挺連隊を乗せた輸送機は離陸態勢に入った。
バルクルス基地爆撃を担当するF-2と爆弾を満載したBP-3C、制空権確保と護衛を担当するF-15が先にドーソン基地を出発していき、その後に輸送機が続く。
そしてほぼ同じ時刻、アルーでも……
「陸将、時間です」
「よし!これよりバルクルス基地に向かう!」
バルクルス基地の敵師団を注意を引き付ける第7師団はアルーよりバルクルス方面に向けて進撃を開始した。
続く
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