日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第22話

輸送機から降下した特殊空挺連隊は暗闇の中、爆撃で炎上しているバルクルス基地からの光を頼りに向かって降りていく。

 

 

(この暗闇じゃ、コイツだけが頼りか)

 

 

今回の作戦で隊の指揮を勤める『チャーリー・へックウィズ』大尉は腕時計のデジタル高度計を見ながら現在の高度を確認する。

 

 

(頼むから誰も気付いてくれるなよ)

 

 

彼を含めた隊員達は敵がこちらを発見していない事を祈るが今の所、バルクルス基地からは銃撃は無く気付かれた様子は無い。

 

 

「見えた」

 

 

高度が下がり、暗視装置越しに基地全体が視界に入り所々で走り回る帝国兵の姿も見える。チャーリー達は比較的敵兵士の数が少ない基地の南側にある無人の兵舎近くに降り立てるよう落下傘を操作し、兵舎前へ向けて進路を変える。

 

 

(敵か)

 

 

真下に3人の敵兵の姿が見え、チャーリーと3人の隊員は片足のホルスターからサプレッサー付きのハンドガンを引き抜く。

 

 

「許せよ」

 

 

そう呟き引き金を引くと45ACP弾が撃ち出され、敵兵が倒れた。

 

 

成功(クリア)

 

 

敵兵を始末し、周囲の安全を確認して隊員達は遂にバルクルス基地に降り立った。第1空挺団仕込みの五点着地で怪我なく無事に目的地に着地した隊員達はパラシュートを急いで巻き取り、パラシュート入れに押し込む。

そして、直ぐにメインウェポンとなるMP5SD6を準備し、戦闘態勢を整えた。

 

 

 

「よし、ここで後続を待つぞ」

 

 

 

周囲の安全を確保し、後続の第1空挺団との合流を待つ。

 

 

 

「大尉、来ました」

 

 

 

チャーリーの部下の一人が上を指差し上を向くと、第1空挺団空挺レンジャー小隊が降りてくるのが見える。次々と降り立つ第1空挺団の五点着地から戦闘態勢への移行は、訓練で共に行動したチャーリー達でも感嘆する。

 

 

「チャーリー大尉、橋本です」

 

 

空挺レンジャー小隊の現場指揮官である橋本1尉がチャーリの元へ駆け寄ってくる。

 

 

 

「橋本1尉、今回は宜しく頼みます」

 

「こちらこそ。では改めて確認しましょう。我々は基地内の通信手段の無力化と陽動による貴隊の突入援護、貴隊は敵基地司令部の制圧で宜しいですね?」

 

「はい。では善は急げ。行きましょう!」

 

 

 

確認を終えて互いに行動を開始した。

空挺レンジャー小隊は周辺施設に向け、特殊空挺連隊は基地司令部に向かって別れた。

 

 

 

(確か見取り図ではこの先だな)

 

 

 

チャーリー達は頭の中に記憶している基地の見取り図を思い出しながら、暗視装置越しに司令部へ続く建物の壁を背に帝国兵の死角となる場所を素早く移動する。

彼等は帝国兵に見つからないよう足音を立てず、気配を殺しながら目的地へと足を進めるが、一向に敵兵の姿と気配は無い。何処にも敵が居ないのである。

 

 

(好都合だ)

 

 

肉眼ならまだしも、暗視装置を装備しているため夜間でも方向感覚を失う事なく、彼らは最適なルートを辿り目標へと近づく。

 

 

 

(見えた!)

 

 

 

基地司令部が置かれたコンクリート製の建物の近くに到達した。だがその建物は周囲をフェンスに覆われ、入り口には歩哨が2人立っており、奥には警備詰め所がある。

 

 

 

(やはり此処だけは警戒が厳重だな………時間だとそろそろか)

 

 

 

チャーリーは腕時計で時間を確認するとカウントを開始した。

 

 

(3…2…1!)

 

 

カウントが0になった瞬間、周囲の施設から光が消えた。

それと同時に爆発が各所で発生し、基地内に居た帝国兵達が爆発があった場所へと向かっていく。

 

 

 

(流石は日本国の精鋭だ……我々も負けてられん)

 

 

 

特殊空挺連隊と別行動を取っている空挺レンジャー小隊が基地の電力を賄っている発電施設の発電機を破壊、基地全体の電気関連機器が停止し辺りは真っ暗となる。闇夜の中、チャーリー達は暗視装置越しに司令部施設へと接近し、手にしていたMP5SD6を正門の警備兵に照準を合わせた。

 

 

カチンッ!

 

 

引き金を引くと警備兵が頭部から血を吹き倒れた。

 

 

(凄いなこの銃は)

 

 

MP5SD6の消音性に感心しつつ、ゲートを抉じ開けて内部に入り込む。警備詰め所の正門扉と裏門扉に取り付き 突入態勢に入った。

 

 

(行け)

 

 

ハンドサインで指示を出し、2人の隊員が扉をノックする。

 

 

 

『何だ?』

 

「交替だ。開けてくれ」

 

『そうか。ちょっと待ってろ』

 

 

 

中に居た警備兵が扉の鍵を開け、扉を開ける。

同時に隊員達は雪崩れ込むように詰所へ押し入り、中に居た警備兵を全員射殺する。

 

 

 

成功(クリア)

 

 

 

ここまで僅か3分。日米の特殊部隊から受けた厳しい訓練を耐え抜いたムーの精鋭は恐ろしい程の速度で司令部への出入口確保に成功した。

 

 

 

「警備詰め所を押さえた。第2小隊は通信室を押さえろ」

 

「了解」

 

 

 

第2小隊は隣にあった通信室に向かい、難なく制圧に成功。通信機の破壊、電話線を切断、基地司令部は他から完全に孤立した状態とさせた。

チャーリー達は基地司令部に関する情報が無いかを確認する。

 

 

 

「見取り図だ」

 

 

 

チャーリーは警備室内から司令部の見取り図を見つけ、机の上に広げた。

 

 

「こりゃいい収穫だ。敵司令部の制圧が楽になる」

 

 

 

見取り図には司令部施設の間取りや地下へ続く通路と非常口の位置細かく書かれていた。

チャーリーは全員を集め、司令部の見取り図を頭に記憶させる。

 

 

 

「よし。これより敵将の首を取りに行くぞ」

 

 

 

隊は警備詰め所から司令部の建物へと移動し、四方に展開、見取り図にあった入り口や非常口に就く。

 

 

 

「各部配置確認」

 

 

 

配置を確認し突入の準備に入った。入り口にある鋼鉄製の扉に爆薬を仕掛ける。

 

 

 

「爆薬設置完了」

 

「退避」

 

 

 

腕時計でカウントを始める。

 

 

 

「3…2…1!」

 

 

 

点火栓を捻ると爆薬が爆発し、扉が吹き飛んだ。

 

 

 

「突入!」

 

 

 

チャーリー達は突入を開始した。

突入した彼等は、複雑に入り組んでる通路を記憶した地図の通り、司令室がある方向へ走りながら奥へ奥へと進んでいく。

 

 

「!?」

 

 

その途中で、武装した帝国兵と出くわした。

チャーリーは迷う事なく帝国兵を射殺し、更に奥に進んでいく。

 

 

 

「あれだ!」

 

 

 

司令室と書かれた扉を発見し、スタングレネードを手に取りピンを引き抜いて安全レバー握り締める。

 

 

「マスターキーだ」

 

「了解!」

 

 

ポイントマンがショットガンでドアの蝶番を破壊、扉を蹴破る。

 

 

閃光弾(フラッシュ!)!」

 

 

そう叫びスタングレネードを投げ入れる。

その瞬間、室内から大音量の爆音が響き、それが収まると司令室へと突入した。

 

 

 

「ううっ……」

 

 

 

そこには、両目を両手で押さえながら床で転げ回るガオグゲルの姿があった。チャーリーは懐から敵将の写真を取り出し本人かどうかを確認し、捕獲対象を確認した。

チャーリーは彼の両手と両足を手錠で拘束し、目をアイマスクで覆い、口に自殺防止用の猿轡を噛ませる。

 

 

(撤収)

 

 

ハンドサインで撤収を指示、ガオグゲルを拘束した特殊空挺連隊は司令部から出た。

 

 

 

(下がれ!)

 

 

 

しかし其処には異変に気が付いた基地警備隊が司令部を囲むように展開しており、脱出しようとしていたチャーリー達に銃撃を浴びせてきた。しかしチャーリーの指示が僅かに早く、急いで遮蔽物に隠れる。

 

 

 

「大尉」

 

「日本で覚えた訓練を思い出せ。こう言う場合はどうするかを」

 

 

 

チャーリーは警備隊に向けて、大声で呼び掛けた。

 

 

 

「直ぐに射撃を中止しろ!さもなければ貴様らの大事な上官殿を殺す事になるぞ!」

 

 

 

そう呼び掛け、両手を拘束したガオグゲルを立たせ、後頭部に拳銃の銃口を押し付けながら、物陰から姿を表した。

 

 

 

「軍団長!?射撃中止!」

 

 

 

警備隊の指揮官が射撃を中止させた。チャーリーの背後から部下の隊員達が出てくると、お互いに銃口を向け合う。

 

 

 

「蛮族どもめ!汚いぞ!!」

 

「おおいに結構、汚い仕事は我々の専売特許でね。ここで無駄な口喧嘩をする気はない、そこを退いてもらおう」

 

「断る!軍団長を解放し降伏しろ!」

 

「それは出来ない相談だ。だがどうしても解放して欲しいなら、"少しだけ"返してやろう」

 

「少しだけ?どういう言う事だ?」

 

「こう言う事だ」

 

 

チャーリーはナイフを取り出し、ガオグゲルの左手の薬指の第1関節に押し付けた。

 

 

「暴れないほうがいい。さもないと上手く切れないからな」

 

 

チャーリーはナイフを強く押し付けた。

 

 

 

「ほれ、少し返すぞ」

 

 

そう言ってチャーリーは、警備隊にピンク色の細長い物体を投げる。

 

 

 

「これは……指!?」

 

 

 

彼の目の前に転がったのは、一見すれば紛れもない人間の指に見えが、実際は日本の某ディスカウントストアで販売されているドッキリ用の玩具だ。

使えるものは何でも使うのが特殊空挺連隊のモットーで、玩具でさえも利用してしまう。現に警備隊長には充分本物に見えているのか体が震えている。

 

 

 

「ほれ、早く退いてくれないと軍団長はジャンケンでグーしかだせなくなるぞ」

 

「貴様ぁぁ!」

 

 

 

彼のやり方に怒りを覚えた警備隊の兵が銃を構えて引き金を引こうとした時、銃を持っていた彼の右手が突然弾け飛んだ。

 

 

 

「うわぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

彼の腕を吹き飛ばしたのは、待機していた狙撃班の狙撃によるものだった。

 

 

 

「くっ!…………道を開けろ!」

 

 

 

警備隊の副官はこれ以上ガオグゲルや警備隊に危害が及んでは不味いと部下に道を開けるように指示、命令に従った警備隊は入り口から下がる。

 

 

 

「協力感謝する」

 

 

 

チャーリーは一言そう述べて、駆け足で司令部施設から離れていく。

 

 

 

 

「追え!!」

 

 

 

警備隊も後を追い掛ける。

 

 

 

「撃て!」

 

 

後を追いながら警備隊が撃ち込んできた。

 

 

「応戦!」

 

 

チャーリー達も応戦しスナイパーチームの援護射撃も加わる。特殊空挺連隊のメインウェポンであるMP5SD6からの射撃に警備隊は次々と撃ち倒されていく。

 

 

「グレネード!」

 

 

チャーリーの部下の1人が警備隊に向けて手榴弾を投げつける。目の前に落ちてきた手榴弾に警備隊は慌ててその場に伏せ、爆発から逃れる。

 

 

 

「撃て!」

 

 

 

その時、橋本ら空挺レンジャー小隊が姿を表した。

小隊は89式小銃とMINIMI軽機関銃を構えて、警備隊に向けて射撃を開始した。ヘルメットに取り付けられたJGVS/V8暗視装置と小銃に装着されているレーザーサイトの組み合わせで光が少ない夜間でも目標に向けて確実に銃弾を撃ち込んでいく空挺レンジャー小隊。

 

 

「クソ!夜間なのになんて正確なんだ!」

 

 

副警備隊長はマズルフラッシュが見える方向へ向けて拳銃を撃ち、警備兵もライフルを使って応戦するが現代的な夜間装備を持っていない警備隊は数が少ない相手にかなり不利な状況である。

 

 

 

「各員、射撃しつつLZに後退!」

 

「行くぞ!」

 

 

特殊空挺連隊と空挺レンジャー小隊は交代しながら応戦しつつ足早に後退していく。

 

 

『こちらイヌワシ、位置に就いた』

 

 

橋本のインカムに声が流れてきた。

 

 

「了解!確認した!」

 

 

闇夜に紛れて陸上自衛隊第1ヘリコプター団第1ヘリコプター群第103飛行隊に所属する黒一色の塗装が施された3機のCH-47Jと護衛のUH-60Jが飛来した。しかしこのままでは着陸出来ないため、警備隊を排除する必要があるため橋本はポーチから小型のストロボライトを取り出して、再度ヘリに呼び掛ける。

 

 

「これより目標マークする!」

 

『了解、待機する』

 

 

攻撃のため上空待機する第103飛行隊のUH-60Jには新生合衆国軍から援助として提供されたM134DミニガンとGAU-19が搭載されており、空挺レンジャー小隊がストロボの光を使って目標をマーク、ガンナーが暗視装置越しにストロボライトで照射された敵に銃口を向ける。

 

 

 

「敵航空機視認!!」

 

「例のヘリコプターとやらか!戦闘機程早くはない筈だ!撃て!!」

 

 

 

警備隊は向かってくるヘリに向けて射撃を仕掛けるが、彼らの努力もそこまでだった。

 

 

 

 

『こちらスーパー61、攻撃開始!』

 

 

 

ガンナーがトリガーを引くと、ミニガン、GAU-19が射撃を開始する。

 

 

グォォォォォォォォォォォ!!!!

 

バァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

 

 

 

大雨のように降り注ぐ大口径の銃弾の雨に晒された警備隊の兵士達は瞬く間に蜂の巣にされる。通常の弾丸に混じって放たれる曳光弾の光がまるで光線の光のように延びているように見え、地面や周囲の建物の壁に直撃した弾が跳ねているのも見える。

 

 

『コンボイ1、着陸する!』

 

 

回収役のCH-47JAにもミニガンが搭載されており、左右のハッチかは2人のガンナーが機銃掃射で敵を寄せ付けないようにしつつ、機体が着陸する。

 

 

「搭乗急げ!」

 

 

空挺連隊とレンジャー小隊は既に開かれていた後部のランチドアから機内へと駆け込んでいく。

 

 

 

 

「各分隊長、人員掌握!」

 

 

 

点呼が行われ、全員がヘリに乗り込んだ事が確認された。

 

 

 

「全員乗ったぞ!出してくれ!」

 

「了解!離脱する!」

 

 

 

空挺レンジャー小隊と特殊空挺連隊を回収したCH-47JAは機銃掃射を前傾姿勢の状態で一気に上昇、護衛役のUH-60JAも後に続く様に現場から離脱していく。

 

 

 

 

 

 

機銃掃射が完全に止んだタイミングで警備隊の生存者らはその場で立ち上がった。

 

 

「クソっ!みすみす敵を取り逃がすとはなんたる失態!」

 

 

残された警備隊副隊長は手にしていた拳銃を地面に叩きつけ、地団駄を踏みながら去っていくヘリを睨み付ける。

 

 

 

 

 

基地から離脱したチヌークの機内では、隊員達が床に座り込みながら、開いたままのランプドアからバルクルス基地を見ていた。

 

 

 

「何とか全員無事でしたな」

 

「まったくだ………訓練で理解していたつもりだが初めての経験だったな」

 

 

ヘリのエンジン音が響く中、作戦に参加した日本とムー双方の精鋭達が安堵した様子である。

特殊空挺連隊の面々はヘリを使用した初のヘリボーン作戦での実戦を終えて、緊張の糸が解れていた。

 

 

「しかし良い経験になったな……これを今後に生かさなければな」

 

 

チャーリーは暗闇に消えていくバルクルス基地を眺めながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

続く




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