日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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ムー大陸戦乱編
第1話


バルクルスの戦い、バルクルス衝突を乗り切ったムーは、グラ・バルカス帝国に対する本格的な反抗作戦に向けて、軍事力の強化を図っていた。

バルクルス衝突後、ムー統括軍は軍の近代化を目指し、急速な発展遂げていき、バルクルス衝突から数ヵ月後の年を跨いだ中央暦1643年、ムー陸軍には様々な新兵器が導入されていく。

 

 

『大隊前進!』

 

 

ムー陸軍に新設された機甲教導大隊の本部が置かれた、アルビオン陸軍基地では、バルクルス衝突直後に制式採用されたムー初の主力戦車『42式中戦車 ラ・シャルマン』を使用した慣熟訓練が行われている。

 

 

 

『全車、そのまま隊列を維持したまま射撃場へ移動せよ!』

 

 

 

広大な演習場をディーゼルエンジンの音を響かせながら、演習場を駆け巡っていた。

ラ・シャルマンを受領した機甲教導大隊は毎日のように訓練に打ち込んでおり、練度向上に勤めている。

 

 

『前方2時方向に敵影視認!』

 

『各車、散開!』

 

 

アグレッサー役を勤める鹵獲したシェイファーとハウンドで編成されたアグレッサー部隊が動き出し、戦車隊はその場で散開する。

 

 

『来たぞ!ジグザグに動け!』

 

 

砲撃の的にならない様、各車の操縦手は車体をジグザグに動かす。

 

 

『装填手、想定徹甲弾!』

 

『了解!』

 

 

装填手がラ・シャルマンの75ミリ戦車砲に青色に塗装された演習用のペイント弾を装填する。このペイント弾は弾頭内部に水性塗料が詰まったボールが4個詰まっており、目標に命中すると弾頭が割れて中のペイントボールが破裂し水性塗料を付着させ、撃破判定を取る事ができる。

しかしそれでも砲弾の重さと弾道特性は実弾と同じなため、安全に実戦を想定した訓練を行うためにはこれが欠かせなかった。

 

 

『各車、連中をビビらせてやれ!』

 

 

砲手が照準器を覗き込みながら、足で砲塔旋回ペダル、片手で砲身の仰角ハンドルを操作し目標に向けて砲塔と砲身を向ける。

照準器に写し出される十字線に目標を合わせる。

 

 

 

『撃て!』

 

 

車体が動いたままの状態で全ての車両の砲手が砲の引き金となっている旋回ペダルの横にあるトリガーペダルを踏み込むと、ズドンッ!と言う発射音と共に砲弾が発射され、砲身が後退すると同時に空薬莢を排出する。

放たれたペイント弾は鹵獲戦車隊の鼻先の地面に直撃し、赤い塗料を撒き散らす。

 

 

 

『うわぁっ!いきなり一斉射かよぉ!』

 

 

 

 

鹵獲戦車隊は一斉砲撃に驚いたのか、整っていた隊列が乱れる。

 

 

『よぉし!奴らビビリあがった!大隊、砲撃しながら前身!』

 

 

 

 

戦車隊は砲撃しながら前身し、弾幕砲撃で鹵獲戦車隊を押し返していく。

そんな中でラ・シャルマンの装填手は次から次へとやってくる砲撃指示に従い、身体の疲労を蓄積させながらも弾薬庫からペイント弾を取り出して砲に装填の動作を繰り返す。

 

 

『このままじゃ足回りが不味い!これ以上は無茶です!』

 

『馬鹿野郎!誰が駆け足って言った?そのままアクセルペダルは踏み続け、エンジン全開だぁ!!』

 

『クソぉぉ!!』

 

 

 

操縦手は車体をアクセルを踏み続け、速度を緩めない。

ラ・シャルマンのマフラーから黒煙が大量に吐き出され、辺りに排気ガスを撒き散らしながらも、相手を押し続ける。

 

 

『6号車被弾!』

 

『14号車被弾!』

 

 

鹵獲戦車からも無論反撃され、何両かのラ・シャルマンにペイント弾が命中し、遠くに居る判定官から撃破判定と損傷判定が下される。

 

 

『止まるな!やられた奴は放っておけ!!』

 

 

ラ・シャルマン戦車隊は砲撃を続けながら、敵役を押し返えしていく。

双方でペイント弾が飛び交い、訓練が終わる頃にはほぼ全ての車両がペイント弾で真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

一方で、演習場の一角では防空部隊が戦闘訓練を行っていた。

 

 

 

『左前方、敵機接近!』

 

 

日本との技術交流で日本から提供された資料内の米陸軍が使用していた傑作自走高射機関砲『M42ダスター』を元にした『42式自走高射機関砲』が空に睨みを効かせる。

彼らの上空を10機程の小型の無人標的機が旋回飛行をしており、その動きに合わせて機関砲の砲身が動く。

 

 

『目標捕捉!射撃用意…………』

 

 

射撃手兼照準手が光学照準器を使って、目標を追いながら引き金のフットペダルに足を掛ける。

 

 

『撃て!』

 

 

その瞬間、車体を隠していた叢から削岩機のような発射音が響き渡る。旋回手がハンドルを回して標的機を追いかけるように砲塔を旋回させ、曳光弾が放つ複数の光点が空に広がる。

 

 

『命中!2機撃墜!』

 

 

放たれた100発近い砲弾が2機の標的機を撃墜した。

 

 

『浮かれるな!次弾装填!』

 

 

射撃を終えたと同時に装填手が空になった弾倉を外し、次の弾倉をセットする。

その間を12・7ミリ機関銃を4基備えたM55対空機関銃のコピー品を載せたトラックが姿を表して曳光弾による弾幕攻撃が放たれる。

 

 

 

『装填よし!』

 

『射撃!用意………撃て!』

 

 

 

再び射撃が開始され、追尾しながらの修正射撃を行いながら標的機を着実に撃墜していく。

 

 

 

 

 

このように彼等が訓練に熱を入れているのには愛国心もあるが、その他にも理由があった。

 

今から少し遡る事、半年前の1642年6月のバルクルス衝突から1ヶ月後の7月、ムー、日本、アメリカ、マギカライヒ共同体は、グラ・バルカスから属国の脅迫を浮けていたヒノマワリ王国から脱出してきた王国の要人達によってムーの支援で建国されたヒノマワリ亡命政府との間である協議が行われたのである。

 

その協議の内容は、グラ・バルカス帝国に対する本格的な反抗作戦についての内容だった。

既に、第2文明圏に影響力を持ち始めつつあるグラ・バルカス帝国の魔の手から第2文明圏を守るための戦略会議に於いて議題に上がったのは、グラ・バルカス帝国軍の新世界に対する一大軍事拠点となっている状態のレイフォルについてだった。

 

かつてグラ・バルカス帝国の外交官を手に掛けた事件を起こし、今回のグラ・バルカス問題の元凶とも言えるパガンダ王国は2年前の戦争で2ヶ国ともグラ・バルカスによって滅亡に追い込まれ、今やグラ・バルカス帝国領としてレイフォル州、パガンダ州として名前を変えている。

特にレイフォルは第2文明圏の盟主とも言えるムーの隣国でもあるため、グラ・バルカスにとっては戦略的にも戦術的にも第2文明圏侵攻の要ともいえる一大軍事拠点として日々拡大しつつある。

 

日本の人工衛星が、グラ・バルカス帝国本土から多数の輸送船で編成された大小の輸送船団がレイフォルの行き来しているのを確認しており、特にバルクルス衝突以降はそれが顕著である。レイフォルの港にも艦艇や輸送船が増え、埠頭にも多数の戦車や軍事物資が荷揚げされているのも確認されている。

レイフォルに展開しているグラ・バルカス帝国軍の増強は第2文明圏各国に危機感を抱かせ、レイフォルを奪還、グラ・バルカス帝国をムー大陸から一掃しなければという意見がムー議会で出始めた。

 

それに合わせて日本とアメリカを交えた3か国協議が開催されたのである。

 

 

 

 

 

その協議は各国から様々な意見が出され、その内容を慎重に精査しながら約1ヶ月間にも及び、1642年7月頃には、反抗作戦に関する戦略が纏まった。

 

 

その作戦の内容は主に以下の通りである。

 

 

・『第2文明圏の盟主であるムーを筆頭に軍事力の強化と一層の近代化と、その期間は少なくとも1643年の中頃まで掛かると想定し反抗作戦開始は1643年9月から11月の間に開始』

 

・『反抗作戦開始までの期間はグラ・バルカス帝国軍の軍事力強化の阻止と監視、情報収集を中心としその役を日本とアメリカの2か国が担う事』

 

・『ムー本土に於ける、自衛隊、新生合衆国軍の活動拠点の整備』

 

・『3か国による軍事演習や共同訓練の開催』

 

 

この4つの内容に従い第2文明圏各国と日本とアメリカは直ぐに動き出した。

ムーを含めた第2文明圏各国は軍事力の強化と近代化に勤め、日本とアメリカはグラ・バルカス帝国軍に対する補給線分断のための航路封鎖作戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

続く




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