日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第6話

バルクルス基地から飛び立ったマリン改のスクランブル機は、領空侵犯をしてきたグラ・バルカス帝国の航空部隊に追い回されていた。

 

 

「ちぃっ!」

 

 

数で勝るアンタレスに後ろを取られ、銃撃を受けるが、何とか紙一重で交わしながら逃げに徹する。

 

 

「アグレッサー部隊との訓練が役に立ったな」

 

 

マリン改に乗り込むパイロット達は、鹵獲アンタレスを装備するアグレッサー部隊との空戦訓練を受けていたため、直ぐに撃ち落とされる様な事は無かったが、1機のマリン改に対してアンタレスは3機で襲いかかってくるため、自分達がアンタレスの攻撃から回避するのが精一杯だった。

 

 

「時間の問題だな」

 

 

パイロットは最早時間の問題だと思った。

オリジナルのマリンと比べれば燃費が悪化しているマリン改の燃料タンクは3割程に減ってしまっており、これ以上追い回されると燃料切れで墜落する危険がある。

 

 

「まだか!?アイツらはまだなのか!?」

 

 

管制塔からは最新鋭機のマリンⅡが離陸したとの連絡があったため、早く来てくれと願う。

 

 

 

『こちら剣閃隊!よく頑張った!後は任せろ!』

 

 

 

ふと、無線機と繋がっているヘッドセットから声が聞こえてきた。

 

 

 

「中尉!」

 

 

 

上を見上げると、こちらへ向けて急降下を仕掛けてくるマリンⅡの飛行隊の姿が見えた。

 

 

 

『全機、奴らを追っ払え!』

 

 

 

飛行隊はマリン改を追い回していたアンタレスへ向け主翼の20ミリ機関砲4門による一斉射撃を見舞った。

マリン改に気を取られていた1機のアンタレスに20ミリ弾の雨が降り注ぎ、瞬く間に火を吹いて墜ちていく。

 

 

 

「感謝する!後は任せた!」

 

 

その隙にマリン改2機は剣閃隊に後を任せて、バルクルス基地方面へと去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とか間に合ったな」

 

 

ギリギリの処で間に合えた事にパーテリムは安堵する。バルクルス基地方面へと帰っていく友軍機を見送ると思考を切り替えた。

 

 

「さて、お前達の相手は我々だ!交戦開始(エンゲージ!)!」

 

 

剣閃隊はグラ・バルカスの飛行隊との空中戦に突入した。マリンⅡの心臓である複列18気筒エンジンが寸胴なマリンⅡをアンタレスを上回る速度にまで引き上げる。対するアンタレスは得意の巴戦に持ち込もうとしても、マリンⅡの加速に置いていかれてしまい、背後に回り込もうとしても旋回速度が速いマリンⅡに後ろを取られる。

 

 

「落ちろ!」

 

 

パーテリムは照準機でアンタレスを捉え、スロットルレバーにある機関砲のトリガーを引いた。

7・7ミリ機関銃よりも強力な20ミリ機関砲4門が一斉に火を吹き、装填されている徹甲弾と榴弾が防弾が施されている筈のアンタレスの胴体と主翼外板、燃料タンクを引き裂き大穴をあける。更には尾翼の上端を吹き飛ばし、機体は一瞬のうちに炎上、そのまま地面へ向けて堕ちていった。

 

 

「ん?」

 

 

ふと背後からの気配を感じて操縦桿を右に向けての思いきり倒し、機体を右へ大きく振った瞬間、曳光弾独特の光線がキャノピー越しに見えた。

振り返ると、アンタレスが2機が銃撃を仕掛けてきていた。

 

 

「やるな!なら勝負だ!」

 

 

パーテリムは操縦桿を手前に引き、スロットルレバーを前に押してエンジン出力を徐々に上げながら機首を90度真上にさせて上昇させる。

 

 

「さて、着いてこれるかな?」

 

 

計器盤の高度計の針がグルグル周りながら高度を示し、タコメーターの針もレッドゾーンに近づき、温度計の表示が氷点下に近づく。

電熱服越しから、若干の肌寒さを感じながら後ろを振り向くと、追い掛けてきていたアンタレスとの距離はかなり離れていた。

 

 

「やはり向こうは高高度性能が良くないか」

 

 

パーテリムはスロットルレバーを手前に引いてエンジン出力を一気に下げる。エンジン出力が下がった機体はそのまま一瞬だけ宙に浮いたように空中で動きを止め、次の瞬間には重力に従って機体は地面へ向けて降下を始めた。

 

 

「ふん!」

 

 

スロットルレバーを再び前に押し込みエンジン出力を上げ機体を加速させ、追い掛けてきていたアンタレスをヘッドオンで捉えた。

 

 

「喰らえ!」

 

 

引き金を引くと機関砲が放たれ、砲弾は吸い込まれるようにアンタレスに直撃し、互いにギリギリの距離で擦れ違う。

後ろを振り返ると、機関砲が直撃したアンタレスは煙を吐き、次の瞬間には炎上していた。

 

 

 

「お?アイツらも頑張ってるな」

 

 

 

パーテリムにも負けず劣らず、剣閃隊はマリンⅡの性能を見事に生かしていた。

一撃離脱を徹底し、アンタレスが得意とする巴戦に引き込まれないように、攻撃を仕掛けては高速で離脱していく。

 

 

 

『隊長!』

 

「どうした?」

 

『敵爆撃機が基地方面に!』

 

 

部下からの無線で基地方向へ向けて視線を向けると、ベガ型双発機が護衛のアンタレスにパーテリム達が引き付けられている間にバルクルス方面へと向かって低空飛行を行っていた。

パーテリムは残りのアンタレス数を見て、直ぐに爆撃機の追撃を指示する。

 

 

 

「偶数番機は続け!残りはアンタレスを引き付けていてくれ!」

 

 

パーテリムは偶数の番号が振られたマリンⅡを率いて、爆撃機を追い掛ける。

 

 

「気をつけろ!奴の胴体の上と側面には入るな!下方から狙え!」

 

 

鹵獲されたベガの情報から機体側面と上面、前面、尾部からの攻撃は危険と判断し、機関砲が向いていない下方からの攻撃を指示する。

剣閃隊は急降下で一気に爆撃機の真下に入ると、そのまま機首を上げて下方から突き上げるように迫る。

 

 

『貰った!』

 

 

20ミリ機関砲から放たれる徹甲弾が頑丈な機体外板を引き裂き与圧されていた機内から装備品と搭乗員が外に吸いだされるのが見えた。

 

 

「悪く思うなよ」

 

 

空中分解しながら墜落していくベガを見ながらそう呟くパーテリム。

 

 

 

 

 

 

空中戦は結果はムー側の大勝利に終わった。

出撃したマリンⅡとマリン改には損傷機はあったものの全機帰還し、マリンⅡの初陣は華々しい結果を叩き出し、この結果からムーはマリンⅡの性能に満足し本格的な量産を開始する事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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