日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第9話

ハルナガ京のグラ・バルカス帝国軍施設への攻撃を終えた爆撃隊の後方を、2機のC-2輸送機が飛行していた。

2機のC-2にはそれぞれ航空自衛隊所属を示す日の丸が描かれている。

 

 

『降下5分前!』

 

「1番機ぃぃ、行くぞ!」

 

「「「「おぅ!」」」」

 

「行くぞ!」

 

「「「「「おぅ!」」」」

 

「立てぇぇい!」

 

 

C-2の機内で待機していた第1空挺団本部中隊所属の隊員達はバルクルス戦以来の実戦に興奮と緊張感を抱きつつ、重いパラシュートを背負い互いに装具の点検を行い、降下扉の前に並んで待機する。

 

 

『コンボイ1番機、用意よし、用意よし、用意よし。用意、用意、用意………降下!降下!降下!』

 

 

ランプが青に変わり、隊員達は夜空の中、降下していき、第1空挺団2個中隊180名分のパラシュートがハルナガ京の空を舞う。隊員達はパラシュートを操作しながら、降下予定地点に設定されたハルナガ京の南にある牧場付近へ向けて降下していく。

ハルナガ京は爆撃であちこちから火の手が上がり、住民と帝国兵の注意は完全にその場所へ向いているため、降下地点に設定された場所へ向けて空挺団が降下している事に誰一人気付いていない。

 

 

 

「誰も気付いてくれるなよ」

 

 

隊を指揮する橋本2佐は空中で下を見ながら誰にも気付かれない事を祈りつつ、降下予定地点である牧場へと降り立った。

降下した隊員達も次々と牧場へと降り立ち、パラシュートを仕舞うと直ぐに隊を編成する。

 

 

「これより隊を3つの小隊に分ける。各小隊は予定通り、飛行場、正統府、ヒノマワリの王城の制圧だ。各小隊は先に潜入しているタスクフォースの連中と共に動く事になるが作戦通りに行動してくれ。特にヒノマワリ王城担当の第3小隊は城内に王女の関係者が捕らえられている事と、それを敵の精鋭部隊が守っている事に留意してくれ」

 

 

橋本は各小隊指揮官にそう伝え、自身も第1小隊全員にその旨を伝える。

 

 

「よし、これより移動を開始する」

 

 

第1空挺団は3つに分かれ、それぞれのルートから目標へと向かっていった。

 

 

 

 

 

その頃、爆撃を受けた飛行場では陸軍兵士達が消火作業を行っていた。

地下司令室から出てきていたオール・ブーツは燃え盛る飛行場を見て立ち尽くしていた。

 

 

「………………」

 

 

オール・ブーツが見ていたのは飛行場の奥にある1棟の格納庫だった。

崩落してしまっていた格納庫から整備員達が破壊されたスタークラウドを引き出していた。

 

 

「主任、スタークラウドは完全に破壊されました。修理は不可能かと」

 

 

連絡兵の報告にオール・ブーツはその場に崩れ落ち、膝立ちになる。

 

 

(どうする……スタークラウドが使えないのでは逃げようがない………どう逃げる?空路が使えないのでは、陸路か?しかし此処からレイフォルまでは直線で500キロは離れてる。徒歩ではどう頑張っても数日以上は掛かる……最悪此処を放棄してでも)

 

 

 

彼は尚もこの場から逃げる事を考えるが同時に、最悪の場合はヒノマワリ王国を手放す事も考える。そして暫く考えた後、指示を下す。

 

 

 

「敵による大規模侵攻が考えられる。恐らく敵が来る筈だ!ハルダール川に掛かる橋を全て爆破しろ!それと、王城に待機している"彼ら"にも敵の侵攻に備えるよう下命せよ」

 

 

その言葉に誰もが反応した。

オール・ブーツの性格をよく知っている彼らは、普段から自分以外の人間を見下す性格の彼がまともな指示を下す所を見て、一瞬だけ戸惑ったが直ぐに思考を切り替えてその命令を実行をしようとする。

 

 

「報告!!東の空に信号弾が上がりました!」

 

「信号弾だと!数は?」

 

「5つです!」

 

「5つだと!?」

 

 

有線と無線等の通信手段が絶たれた時の緊急用通信手段として信号弾を使う事になっており、ヒノマワリに駐留している帝国軍は信号弾の数で状況を知らせる手順になっている。

打ち上げられた信号弾の数は5つ、これは敵の大規模侵攻を確認したとの合図である。

 

 

「馬鹿な……早すぎるぞ!空爆と同時に地上部隊による侵攻……有り得ない!そんな事をしてのけるなど、この世界の蛮族などには不可能だ!有り得ん!」

 

 

元からこの世界の人間を見下していたオール・ブーツは彼らがそんな作戦を実行できる力があるなどと想像すらしていなかった。

 

 

「直ぐに車を燃料満タンで用意しろ!私が直接レイフォルに向かって応援要請をしてくる!」

 

 

その時、その場に居た全員の顔がひきつった。

オール・ブーツは適当な理由をつけて最高責任者であるにも関わらず此処から逃げようとしているのを感じ取ったのだった。

しかし、此処の最高責任者である彼の命令には誰も逆らえないため、何も言わず兵士達はトラック1台となけなしの燃料を用意し始めた。

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルナガ京から東に20キロ離れたハルダール川の南岸にある草原地帯には、バルクルス基地から飛んできた航空自衛隊のC-130HとC-2輸送機、新生合衆国空軍のC-17グローブマスター輸送機、C-130J輸送機が合計10機程降り立っていた。

 

各輸送機からは陸上自衛隊の16式機動戦闘車、軽装甲機動車、96式装輪装甲車、高機動車、重迫牽引車、トラック、空挺団普通科大隊の隊員が降り立つ。更に周辺には陸上自衛隊と合衆国陸軍のヘリ部隊が待機している。

グラ・バルカスが彼らを大規模部隊と誤認したのは、夜間で新月による光が無いため、輸送機と車両の影から大規模部隊と勘違いしたからであった。

 

 

しかしこれも、彼らの狙いだった。

 

 

「信号弾が上がりましたね」

 

「あぁ。彼らが我々を大規模部隊だと誤認してくれれば良いが」

 

 

輸送機部隊と第1空挺団普通科大隊はハルナガ京に入った空挺団本部中隊とタスクフォース332、バルクルス基地からやってくる地上部隊から敵の目を逸らすために、敢えて見せつけるように堂々と部隊展開を行っており、今の所は思惑通りに進んでいる。

 

 

 

「さて、我々は派手に動くとするか」

 

 

 

 

 

続く




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