日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第10話

ハルナガ京の市街地を移動している第1空挺団本部中隊第1小隊は飛行場に向かっていた。

彼らの回りには住民達が住んでいる家屋や倉庫などの建物が点在しているが、第1小隊が移動している地点は食糧難によって住民が地方へ疎開したり、グラ・バルカスによる弾圧に耐えられず他国へ逃げ出してしまい殆どが空き家となっている。

橋本達は建物の壁を背に周囲を警戒しながら小走りで飛行場へ向けて一直線に向かう。

 

 

「誰か!」

 

 

彼等の目の前に複数の人影が現れた。第1小隊は動きを止めると、その人影に向けて手にしていた89式小銃の銃口を向けた。

 

 

「桜島の桜は今日も咲いてて綺麗でしょうね」

 

 

人影の中の一人がそう言うと、橋本は銃口を下げるとこう返した。

 

 

「桜島に桜は1本もありませんよ」

 

 

そう言うと橋本はハンドサインで部下に銃口を下げさせる。

すると人影はゆっくりと近づき、橋本達が装備しているV8暗視装置越しにフェイスペイントで顔を真っ黒に塗り、黒一色の戦闘服にM4カービンを装備した男達が視界に入った。

 

 

「タスクフォース332の者です。敵の飛行場は此処から直線で3キロ。これから誘導するのでついてきてください」

 

「了解、誘導感謝する。小隊続け」

 

 

タスクフォース332の隊員と合流した第1小隊は飛行場へ向けて走り出す。

 

 

 

暗闇の中、ヘルメットに装着しているV8を頼りに、ハルナガ京の市街地を走り抜けると、市街地と飛行場を隔てる林にたどり着いた。

 

 

「敵の注意は完全に東に向いている。此処からなら奇襲には丁度良いな」

 

 

第1小隊は林の中へ入ると直ぐに飛行場への突入準備に入った。

重機関銃を背負っていた隊員は3脚を広げてその上にブローニングM2を取り付けて弾薬を装填し銃口を飛行場へ向け、60ミリ迫撃砲を背負っていた隊員は迫撃砲の角度を調整し飛行場の真上から砲弾を撃ち込めるようにする。

そして、小銃で武装した橋本達は敵に発見されないよう、匍匐前進で林から出ると、飛行場を囲んでいる有刺鉄線やフェンスを工具で切断し、そこから一人ずつ穴を潜って中に入る。

 

 

「周囲に敵影なし」

 

「よし。見取り図を」

 

 

部下が衛星写真を元に作成された飛行場の見取り図を広げる。

 

 

「此処から更に隊を3つに分ける。1分隊は格納庫、2分隊は弾薬庫と兵舎、3分隊は陽動だ。良いな?」

 

「「「了解」」」

 

「よし。配置が終わったら合図があるまで待機だ」

 

 

 

その頃、ハルナガ京の東にある東門ではヒノマワリ王国に駐留している陸軍部隊と、"ある部隊"がハルダール川の対岸に現れた敵の陸上部隊からの侵攻に備えて戦闘態勢を整えていた。

 

 

「隊長!偵察隊から報告です!」

 

 

連絡兵がある一人の軍人に報告にやって来た。

その男は他の帝国陸軍兵士とは違う異質な雰囲気を持ち、多くの修羅場を潜ってきたと言っても過言ではない雰囲気を醸し出していた。

 

 

「敵の部隊が動き始めたそうです!」

 

「そうか。それで我がシーン部隊の配置はどうだ?」

 

「配置は完了しています。敵部隊に戦車らしき車両が確認されているので、対戦車砲も配置に着けています」

 

「分かった。我が名を冠した精鋭の実力を見せる時が来たな」

 

 

彼が言うシーン部隊とは、帝国陸軍が誇る特務部隊であり、その任務は暗殺から重火器を使った本格的な陸戦まで何でもこなす一種の特殊部隊であり、部隊名であるシーンとはこの隊を率いる隊長の名前から取られており、そのシーンと言う男こそ、彼であった。

 

 

「橋の爆破用意は?」

 

「既に爆薬の設置は完了しています。敵が橋を渡った瞬間に爆破して、彼らを深い川底に沈めてやります」

 

「それでいい。少しでも敵の戦力を潰せれば」

 

 

シーンはハルダール川の水深から考えて、敵が必ず橋を渡ってやって来るだろうと睨み、橋桁に爆薬を設置させており、彼らが橋を渡ろうとした瞬間に爆破して深い川底に敵を沈めてやろうと考えていた。

 

しかし、彼の考えを裏切る報告が入ってきた。

 

 

「隊長!大変です!」

 

「どうした?」

 

「敵が……敵が、川に橋を架けて渡ってきています!」

 

「なんだと!?どういう事だ?」

 

「それが……敵は長さ20メートル程の橋を搭載した履帯付きの車両を使用しており、川にその橋を架けて車両を通しているのです」

 

 

その報告に普段は冷静なシーンは驚いた表情を浮かべる。

 

 

 

「架橋戦車か」

 

 

 

川に架けられたのは陸上自衛隊の91式戦車橋で、空挺団普通科大隊が施設科部隊から拝借したものであった。

橋には予め爆薬が仕掛けられていると踏んで予め輸送機に載せて運び込んでいたのであった。

 

 

「これで分かったぞ。敵は相当強い……恐らく我々に匹敵か同等と言っても過言ではない。だがそれを分かっていても我々のやる事は変わらん!!敵は確かに強いが、敵は我々と同じ人間には違いない!必ず隙がある!そこを付けこむ事が出来れば勝機はある!各員はそれを頭の隅に置きながら、各々のやるべき事をやるんだ!」

 

 

シーンの言葉に勇気付けられたシーン部隊の兵士は士気を高め、向かってくる敵に備えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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