日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第11話

ハルナガ京の東にあるハルダール川東岸に展開していた空挺普通科大隊は、予め用意していた91式戦車橋を使い対岸へ渡っていた。

川幅15メートルあるハルダール川に91式戦車橋が橋を架けその上を車両が次々と渡り対岸へ展開する。

 

 

「1佐、間も無く全部隊の渡河完了します」

 

「よし。渡河完了と共に東門へ前進するぞ」

 

 

82式指揮通信車から空挺普通科大隊の指揮をとる『近江孝文』1佐は部隊の渡河を見守りながら指揮を執り続ける。

 

 

『車両前進、前へ!』

 

 

 

30分掛けて渡河が終わった普通科大隊は、ハルナガ京東門へ向けて移動を開始した。

彼等の上空をアパッチ、コブラが大隊に先だって東門に向かっていく。

 

 

 

 

 

『バルクルス戦以来だからな。腕が鈍ってなきゃ良いが』

 

 

攻撃隊を指揮するアパッチに乗り込む大塚は機内通信用無線越しにそう言う。

前席に座っている伊藤は火器管制装置のテストをしながら答える。

 

 

『今回はバルクルス戦の時とは違うんですから気合い入れてくださいよ。今回の敵は対空火器だって持ってるんですから』

 

『分かってる。こんな所でソマリアの再現は御免だからな』

 

 

アパッチやコブラに装備されている各種センサーは新月の夜でもパイロットに有効な情報を提供し、特にアパッチのパイロットのヘルメットに装着されている片眼式の小型ディスプレイIHADSには、機首のセンサーカメラと連動し夜間の視界を写し出す。

緑一色に見える景色の中で地平線の向こうに、一際大きい高く横に長い壁のような物が見えてきた。

 

 

『そろそろだな。全機、攻撃態勢!』

 

 

大塚は無線で全機に攻撃態勢の指示を送る。攻撃隊はその場で停止しホバリングに入った。

攻撃隊の後方に控えていたOH-1が強行偵察のためホバリングで攻撃待機をしていた攻撃隊を追い越して東門へ向けて突き進む。

 

 

 

 

 

「前方より敵機接近!」

 

 

東門にて待機していたシーン部隊は高速で接近してくる2機のOH-1を確認し、軽機関銃と重機関銃、そして最大火力となる25ミリ3連装機関砲を構える。

 

 

「早いな。日本の回転翼機は速度と機動力に優れていると聞く。恐らく普通に撃っても当たらんだろう」

 

「ではどう対処しますか?」

 

「普通に撃って当たらんのな弾幕射撃で開口を作って誘い込め、そこを狙い撃ちだ」

 

「了解」

 

 

シーンは事前に自衛隊の装備に関する情報を得ていたため、弾幕射撃をしながら敢えて弾幕が薄い箇所を造りそこに誘い込んだ所を精密射撃で撃破しようと考える。

 

 

「射撃用意」

 

 

シーンの合図で部隊の兵士達は機関砲の引き金に指と足を掛ける。

 

 

「う……」

 

 

撃て!と言おうとした瞬間、2機のOH-1は突然その場から一気に上昇し機関砲と機銃の射角外に出た

 

 

「読んでいたか!?」

 

 

流石のシーンもOH-1の動きに驚いた。

戦闘機とは異なる機動性、そしてその速度性能は事前情報以上の能力を持っていたのかと悟った。

上昇を掛けたOH-1は前傾姿勢の状態で城壁へ接近し、そのまま左右に1機ずつ分かれて、独特なローター音を響かせながら壁に沿って横滑りさせる。

 

 

「横に滑るのか!?」

 

 

ヘリコプターの構造を知らないシーン部隊はOH-1の圧倒的な機動性に驚愕する。日本の優れた航空技術の粋を集めて開発されたOH-1の機動性は通常のヘリコプターとは一線を画しており、その能力を遺憾無く発揮している。

 

 

「撃て!射撃開始!」

 

 

シーン部隊の兵士達はOH-1に向けて射撃するが、滑らかに、そして素早く飛行するOH-1を捉えられず当たらなかった。

 

 

「すばしっこい奴め!」

 

 

シーン部隊に所属する兵士は皆、厳しい選抜訓練を合格したエリートな屈強者ばかりが揃えられており、射撃技術も他の陸軍部隊よりも抜きん出ている。しかしそんな彼らを以てしてもOH-1に銃弾を当てるのは非常に困難だった。

 

 

「えぇい!当たれぇい!」

 

 

シーンも軽機関銃を手にしてOH-1に攻撃を仕掛けるが、無駄な努力と言える。

 

 

 

 

その直後、城壁に爆音と衝撃波が伝播した。

 

 

「何だ!」

 

 

振り返ると、機関砲陣地が次々と爆発に見舞われ機関砲ごと兵士達が吹き飛ばされていく。

 

 

「あれは!?」

 

 

直前まで彼はOH-1に気を取られて気がついてなかったが、城壁の正面から少し離れた位置にOH-1とは別のヘリコプターが空中でホバリングしているのが見えた。

 

 

「謀られた!あの2機は囮か!」

 

 

OH-1は城壁に対空火器が揃えられている事とその位置を攻撃隊に送り続けており、その情報を元にコブラのTOWミサイルによる精密攻撃が行われていたのであった。

 

 

『発射!』

 

 

機関砲の射程距離外からコブラの左右にあるスタブウィングから有線で繋がれたTOWミサイルがガンナーの誘導により、城壁上に設置されていた対空機関砲陣地を正確に捉え次々と無力化していく。

 

 

 

「こちらが不利か。攻撃中止!後退する!」

 

「了解!各員後退!」

 

 

 

流石に特殊部隊なだけあって、頭の切り替えは早いシーン部隊は直ぐに射撃を止め足早に城壁から降り、王城と正統府庁舎へ向けて後退を開始した。

 

 

『敵部隊後退した模様』

 

 

OH-1からの情報に大塚は敵の動きに違和感を感じた。

 

 

『奴さん達、今までの敵とは違って頭が切れるな』

 

『持久戦に持ち込む気でしょうか?』

 

『奴さん達も必死なんだろう。だが此処で後退されたら後々面倒だ。追撃する!』

 

『了解!』

 

 

大塚はシーン部隊の動きから練度の高い部隊で、地の利がある彼等が優位になってしまうと判断し追撃を指示した。攻撃隊はその場から一気に前進を開始する。

城壁を通過した攻撃隊はそのままハルナガ京へと入り、後退していくシーン部隊の追尾を開始した。

 

 

『目標発見!』

 

 

後退するシーン部隊をOH-1が追尾していたため、攻撃機隊は彼らを捕捉する。

 

 

『射撃開始!』

 

 

アパッチとコブラから機関砲による攻撃が開始された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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