日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第14話

「私はヒノマワリ王国第3王女、フレイアと申します」

 

 

優雅なお辞儀でそう名乗った彼女はヒノマワリ王国の王族でも高い位に立つフレイア。

目の前の女性がまさかのヒノマワリ王国の王族であり、しかも一介の自衛官である自分達の目の前に居る事に大村と清水は驚きを隠せなかった。

 

 

「まさか…………」

 

「王族だなんて………」

 

 

2人は慌ててフレイアに自衛隊式の敬礼をして返した。

 

 

「畏まらなくても大丈夫ですよ。王女と言っても今はその権利はありませんから」

 

「どう言う事でしょうか?差し障りが無ければで構わないのですがお教え願いないでしょうか?」

 

「はい」

 

 

フレイアは話を始めた。

 

 

「お二人もご存じの通り、この国はグラ・バルカス帝国の支配によって国王陛下と殿下、そして私を含めた王族は彼等の傀儡となってしまいました。私達は民を守るために彼等から課される不条理な条件を呑まざる得なかったのです」

 

 

フレイアは涙を浮かべながら一呼吸置いて話を続ける。

 

 

「ですが昨年、グラ・バルカス帝国の前線基地として我が国の領内に建設されたバルクルス基地が陥落したとの話がもたらされました。それに関して私たち王族は持てる情報網を動員し、ムー国をはじめとした第2文明圏各国と日本国が大きく関わっている事と同時にグラ・バルカスの支配下に置かれていた第2文明圏各国が彼等からの支配から離れているとも知りました」

 

 

彼女の話に、帝国の目を盗んでそこまでの情報を得られるヒノマワリの情報網の深さに2人は感嘆する。

 

 

「私たち王族の誰かをヒノマワリからムーに亡命させる計画を帝国に知られないように密かに立てました。そして無事に国王陛下と殿下をムーに脱出させる事に成功したのです」

 

 

彼女の話を聞き清水がある事を思い出した。

 

 

「そう言えばこの作戦にヒノマワリ王国の重要人物救出って話がありましたけど……」

 

 

 

大村と清水は作戦前のブリーフィングで上層部からそう言う話を聞かされて、この作戦でヒノマワリ王国解放と同時に実行される予定であった国内に取り残されている王族の救出作戦で救出目標が目の前の彼女だった事を知った。

 

 

「あれ?確か事前の情報では王族は城に居るって…」

 

「それは昨日までの情報です。私を含めた姉妹と使用人達は彼等の指示によって昨日、私の私邸であるこの屋敷に監視付きで事実上の幽閉状態にあったのです」

 

 

 

すると、奥からタイミング良く2人の女性が前に出てきた。

 

 

「貴女方は…」

 

 

現れたのはフレイアと背丈も見た目も同じなヒノマワリ王国第2王女である『ソーラ』と、フレイアとソーラの一番上の姉でありヒノマワリ第1王女の『フローミネンス』だった。

 

 

「………まてよ!グラ・バルカスによる監視付きで幽閉されていたなら……」

 

「ご安心ください」

 

 

フレイアが指差した方向を見ると、墜落した時にアパッチのローターブレードで吹き飛ばされた正門の瓦礫の隙間から2本の腕が見えた。

 

 

「心配は無いみたいだ」

 

 

 

取りあえずは、直ぐに敵に知られる事は無いと安堵する。

 

 

 

「でも奴等が俺らを撃墜したのを知ってる筈ですし、監視兵からの報告が無いと知れば」

 

「だが救出部隊が近くに来ている気配が無い。助けを呼ぶにも無線が使えない。唯一あるとしたら信号拳銃が1丁と信号弾が2~3発だけだ」

 

 

清水は機体が墜落した時に味方に墜落地点を知らせるために用意されていた53式信号拳銃と信号弾3発を取り出す。

しかし、信号弾を打ち上げるには味方が近づいてきたタイミングで打ち上げるしか無い。

 

 

「ん?」

 

 

ふと何処からか聞き覚えのある音が聞こえてきた。風を切るような断続的な音に大村の表情が変わった。

 

 

「この音は?」

 

「心配ありません。あれは味方が近づいて来ている音です」

 

 

清水が不安そうにしているフレイア達に心配しないように呼び掛ける。

段々と近づいてくるその音に大村は53式に夜間用の信号弾を装填する。

 

 

「頼む!気付いてくれ!」

 

 

銃口を空に向けて引き金を引くと、信号弾が打ち上げられ、月夜の空に酸化マグネシウムが放つ強力な光が灯された。

 

 

「どうだ?」

 

 

 

6秒間発光し続けた光は徐々に小さくなっていき、大村と清水は味方が気付いてくれるように祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『前方に信号弾!墜落地点を確認した!』

 

 

信号弾光はハルナガ京の西エリアを捜索をしていた1機のコブラが捉えた。

 

 

『こちらスター41、これより墜落現場に急行する!』

 

 

墜落地点を確認したOH-1は速度を上げ、信号弾が上がった地点に全速力で向かい、フレイアの屋敷の目の前に墜落しているジェロニモ6を確認した。

 

 

『こちらスター41!ジェロニモ6を確認!』

 

 

屋敷の前でホバリングするOH-1に大村と清水の表情は一気に明るくなる。OH-1が屋敷の真上に到達すると自分達は無事であると示すため手を大きく振った。

 

 

『パイロット2名の生存確認!民間人数名も確認した!敵意は無い模様!』

 

 

その報告にバルクルス基地の指揮所内に安堵の空気が漂う。

 

 

「了解。スター41、現場に着陸しパイロットの現状を確認せよ」

 

『スター41了解』

 

 

 

指揮所から命令を受けたOH-1はフレイア達の目の前でダウンウォッシュによる強烈な風圧を撒きながらゆっくりと着陸した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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