急遽変更された救助作戦に従いハルナガ京内に展開している各部隊は行動を開始していた。
王城からはタスクフォース332、空挺団本部第3小隊が、ハルナガ京東門方向からは航空救難団を載せたCH-47Jチヌークが3機とUH-60Jブラックホーク4機、東からは空挺普通科から編成された救助部隊が墜落地点へと向かっている。
一方で、正統府と飛行場がある北エリアからは撃墜したジェロニモ6の確認と捕虜確保のためシーンから命令を受けたシーン部隊とヒノマワリ駐屯の帝国陸軍による合同部隊50名が墜落地点へと向かってきている。
双方とも墜落地点から30分以内の位置に来ているため、お互いにとっては分単位で早く到着する事を目的としているため、一刻も早く現場にたどり着こうと必死になっていた。
「こちらタスクフォース3-1、現在墜落地点より2キロ地点を移動中!到着まで後10分!」
タスクフォースに所属している全員は厳しい選抜訓練を経て特殊部隊となった強者揃いのため、走りながら本部と連絡をとりつつ全く疲れた表情を見せる事なく走り続ける。
「負けるな!急げ!急げ!急げ!」
空挺第3小隊も日頃の厳しい訓練で身につけた体力に物を言わせ、タスクフォースの面々よりも遥かに重い装備とパラシュートと纏いながらも速度を落とす事なく、走り続ける。
一方で、墜落地点へ向かっているシーン部隊は……
「早くしろ!走れ!走らんか!」
1個小隊50名は指揮官に急かされるように走っていた。彼等の手には帝国陸軍で採用されたばかりのサブマシンガンや、ジェロニモ6のテイルローターを吹き飛ばした携帯式対戦車砲があり、重要任務を担うシーン部隊ならではの装備だった。
しかし、それらの最新鋭装備を手にしているのはシーン部隊のみであり彼等の後に続く陸軍兵は従来のボルトアクションライフルのみしか持っていなかった。
これはシーン部隊と駐留部隊は任務の特性が違うと言う事もあるが、日米による通商破壊により前線部隊であるヒノマワリ王国駐留部隊の兵員は物資や食料不足が同時に重なり、慢性的な訓練不足に陥っていた。そのため練度不足に陥り、特別訓練を受けているシーン部隊とは対照的に駐屯部隊の兵員の顔に疲労感が浮かんでいた。
「チクショウ………連中化け物かよ……皆涼しい顔してやがる」
「なんてったって、あのシーン部隊だからな………俺達とは潜ってきた修羅場が違うんだろうぜ……」
シーン部隊から徐々に離されていく駐留部隊。そんな彼等を見向きもせず走り続けるシーン部隊は一直線に墜落地点を目指す。
墜落地点ではフレイア王女達が脱出準備を終えて庭に集まっていた。
「脱出の準備、整いました」
彼女達は最低限必要な物が入った鞄を手にしている。使用人達も着替えや最低限の仕事道具が入った鞄のみを携行しており、脱出に必要ない物は屋敷に置いている。
「分かりました。予定では間も無くですね」
大村は腕時計で時間を確認すると再び信号拳銃に信号弾を装填すると、空に打ち上げた。
「どうだ?」
それから3分後、複数のヘリコプターのローターが回転する音が聞こえてきた。
「来た!」
東の空からチヌーク3機とブラックホーク3機がやって来た。
「助かったぞ!」
続く
皆様からのご意見とご感想お待ちしております