フレイアの屋敷の上空に到着した航空自衛隊のUH-60Jブラックホーク3機と陸上自衛隊のCH-47Jチヌークは屋敷の真上でホバリングに入った。
先ず先に航空救難団を乗せたブラックホーク1機が低空でホバリングに入り、機内から航空自衛隊の航空救難団2個分隊10名が降下準備に入った。
『降下開始!』
一番最初の隊員が降りようとした時、機体に火花が散った。
『12時方向に敵影視認!』
ブラックホークのパイロットが屋敷の北にある裏門前にシーン部隊が到着し、攻撃を仕掛けてきた。降りようとしていた救難団の隊員は慌てて機内へと待避する。
『降下中止!一時離脱する!』
ジェロニモ6を撃墜させた敵部隊の練度とロケットランチャーによる攻撃が予想された事から万が一の二次被害を避けるため降下を中止し一時離脱した。
「不味いな……これじゃ降下は出来ないそ」
大村は敵の攻撃で降下出来ないのを見て、もどかしく思った。
膠着状態が続くと思われたその時、一歩遅れでタスクフォース332と空挺第3小隊が屋敷の正門から入ってきた。
「騎兵隊の到着だ!」
駆け付けてきたタスクフォース332と空挺第3小隊は大村とフレイア達の元へとやって来た。
「大丈夫か?」
「脱出準備は出来ているんだが、裏門に敵が居てヘリが降りられないみたいだ!!奴らを追っ払ってくれ!」
「了解!」
部隊はヘリを安全に降ろせるように裏門へと走ると、タスクフォースの隊員は屋敷の屋根の上に陣取り、空挺第3小隊はその場で小銃の銃口に06式小銃擲弾を装着し、小銃を地面に立てて銃口を真上に向ける。
『撃て!』
先ず先に小銃擲弾が放たれ、塀越しに敵部隊の頭上に降り注ぐと次々と爆発する。
「うわっ!」
「ギャア!!!!」
手榴弾と同じ威力がある小銃擲弾の破壊力にシーン部隊と駐留部隊の兵士達は混乱する。
「撃て!」
続けて塀の上と屋敷の屋根の上からタスクフォースが射撃を開始した。
タスクフォースの隊員達のメインウェポンであるHK416、M4A1に装着されているレーザーサイトからの不可視光線がナイトビジョン越しに帝国兵を捉えてピンポイントで撃ち倒していく。
「上からだ!屋根の上から撃たれてる!」
「クソ!アレを使え!」
シーン部隊の小隊長がそう指示を出すと、後ろに控えていた兵士がジェロニモ6を撃ち落としたあの対戦車砲を構える。
「奥にRPGを持ったヤツが居るぞ!」
『了解』
タスクフォースのスナイパーチームが対人狙撃銃で対戦車砲を構えた兵士を狙撃、射手が倒されて発射される前に仕留めた。
『Target down。next target、enemycomand』
『rager』
続けて、指揮官らしき人物を狙撃で撃ち抜く。
「小隊長がやられた!敵に狙撃手がいるぞ!」
シーン部隊は相手からの狙撃に気付いて姿勢を低くし、塀の裏に隠れた。
『Red hawk、頼む』
『Rager』
今度は対人狙撃銃よりも大きな射撃音が鳴り響くと、壁に大穴が開いて隠れていた敵兵を吹き飛ばした。
『target down』
スナイパーチームの別の狙撃手が対物狙撃銃を使い、壁ごと敵兵を撃ち抜いていた。
「クソ!これじゃ何も出来ないではないか!」
敵部隊はタスクフォースの予想以上の能力に混乱し始めた。
今まで過酷な戦場を渡り歩いていたシーン部隊にとって、敵の特殊部隊が自分達の予想を上回る練度を持ち、尚且つ一方的に押されている今の状況は屈辱と言えた。
「仕方無い!これより撤退する!」
敵部隊は指揮官戦死による戦闘続行不可能と判断し即座に後退を始める。
それを察知した空挺第3小隊屋はタスクフォースの援護で裏門を開けて外に出ると、畳み掛けるように絶大な火力を浴びせる。
「後退!後退!後退!」
駐屯部隊の兵達も自衛隊の火力を前に後退を開始し、シーン部隊と基地駐留部隊は正統府へと引き返していった。
「敵コマンドの判断が早かったな。今までの帝国兵とは大違いだ」
安全が確保されると、空中で待機していたヘリが墜落地点の真上でホバリングを開始した。
『降下開始!』
ロープか垂らされ、航空救難団の隊員がラペリング降下で次々と墜落地点へと降り立っていく。
航空救難団全員が地面に降り立つと、直ぐに大村と清水の所に駆け寄ってきた。
「大丈夫か?」
「あぁ、両足が折れてるみたいだ。自力では降りられそうにない」
「分かった。直ぐに出してやるからな!」
救難団は状況確認を行う。
大村と清水の両名の両足は墜落の衝撃で骨折しており、それ例外に打撲も認められたため、自力での移動は不可能と判断した。
「仕方ない!チェーンソーを持ってこい!担架と固定具も忘れるな!」
救難団の指揮官の冷静な指示で隊員達はチェーンソーと担架が用意される。
「救出部隊が来た!」
遅れて、正門の奥から空挺普通科連隊の救出部隊の姿が見えた。
軽装甲機動車と高機動車で編成された救出部隊は正門で停止し中に入る。
「この2人を機体から運び出したいから手伝ってくれ!」
「分かった!」
救出部隊も加わり、大村と清水の救助作業が開始される。
その間に1機目のチヌークが広い庭に着陸し、保護されたフレイア王女と他の使用人らは彼等に促される形でチヌークへと乗り込んでいき数名程の隊員が護衛として乗り込んでいく。
「よし!ゆっくりと引き出せ」
チェーンソーでコックピットのコンソールを切断し、広がった空間から救難団と救助部隊の隊員に支えられる形で大村と清水が運び出される。
機外へ出された2人は担架に載せられ、フレイア王女達の乗り込むチヌークへと乗せられる。
「出してくれ!」
2人を乗せたチヌークは現場から飛び立つと、そのまま安全地帯に向けて飛び去っていく。
「そうか、成功したか」
バルクルス基地の指揮所でパイロットとフレイア王女の救助作戦が成功した報告がもたらされ大内田達は安堵する。
「これで心置きなく戦えますね」
「あぁ………現場に残ったタスクフォースと空挺の連中はどうします?」
「作戦目標の一つは達成できた。残りの作戦の増援に回ってもらおう」
「了解!」
現場に残ったタスクフォースと空挺第3小隊は、飛行場と正統府の制圧任務に当たっている空挺第1・第2小隊、タスクフォース2個小隊の増援に回る指示が出された。
命令を受けた彼等は2機のチヌークに分乗し、割り当てられた場所へと向かった。
続く
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