グラ・バルカス帝国の植民地として最大規模を誇るレイフォル州レイフォリアにある陸海軍統合基地『ラルス・フィルマイナ』がある。
此処は、レイフォルに駐留する陸海軍の部隊を統合指揮が出来るだけの規模を誇り、基地内の建物は幾何学的に並べられており、基地内には飛行場と陸軍基地があり、レイフォル方面軍の総力が揃っている。
そんな基地の地下深くには、統合司令室がある。
其処には、この基地の長であり、レイフォル守備隊の最高指揮官を勤める『ファンターレ・ラルグス』をはじめとしたレイフォル方面軍の司令官級の人間が詰めていた。今彼等は、この狭い司令室内で慌てた様子で奔走していた。
「まだヒノマワリとの連絡はとれんのか!?」
「ありません!こちらから呼び掛けているのですが、応答がありません!」
陸海軍の将校達はヒノマワリの友軍基地からの無線報告が来ず、有線で呼び掛けても応答がなく、連絡兵もやって来ない事から何か異常事態が起きたのでは無いかと、情報収集に務めていた。
しかし、燃料不足と兵の練度不足から中々情報が集められず、唯一分かっている事と言えばヒノマワリがムーや日本、新生合衆国による連合軍からの攻撃を受けているという事だけだった。
「失礼します!」
そこへ、陸軍将校の一人であるランボールが入ってきた。その場に居た者全員の視線が彼に集まる。
「ランボールよ、何か分かったか?」
ファンターレがランボールに問い掛ける。
「はい。つい先程、シーン大佐の副官が帰還して参りました」
「そうか。で、ヒノマワリでは何が起きたんだ?」
「は………」
ランボールは皆の視線が気になり、言葉に詰まる。それを見かねたファンターレが宥めるように言った。
「構わん………話してくれ」
「はい………ヒノマワリ王国はムー、マギカライヒ、日本、アメリカの連合軍の総攻撃を受け、壊滅したとの事です」
その言葉にその場が静まり返る。
「やはり………覚悟はしていたが。で、戻ってきた副官は今どうしてる?」
「はい。負傷していた様で、今医務室で手当てを受けています」
「そうか。彼には良く帰ってきてくれたと伝えておいてくれ」
「はい」
ヒノマワリ王国失陥という現実が彼等にのし掛かる。
「さて皆、いよいよ敵との本格的な衝突が現実味を帯びてきた。分かっていると思うが、敵はとても……否、とんでもなく強く精強だ。既に第4師団は壊滅し、バルクルス基地は奪われ、ヒノマワリも失陥した。この基地は敵の通商破壊により弾薬と燃料も満足とは言えない量しかない」
「「「「「………………………」」」」」
「しかし幸いな事に、大規模な軍事作戦が出来るだけの備蓄はあり、空輸によりごく僅かではあるが武器弾薬が本土から運び込まれてきている。しかし今の我々にとっては燃料1滴、そしてこの銃の弾1発とて貴重だ」
ファンターレはベルトの右腰から提げていたホルスターからルガーP08のようなトグルアクション式の帝国軍制式自動拳銃『ガリー01』を引き抜き、マガジンから1発の銃弾を取り出す。
「物資は満足が行く程は無いが、諸君も知っての通り、この基地は帝国の技術の粋を集めて作られている。万が一にも敵が進撃してこようとも、この基地を陥とす事は至難の業だ!この基地が陥落するような事があれば祖国は敵の手の届く範囲に堕ち、多数の臣民や皇帝陛下の御身が危機に晒される事になる!だがそれも我々が敵に出血を強いる事で、本土の安全を守る事に繋がるのだ!」
彼の言葉に緊張で張り詰めていた将校達の顔が少し緩む。
「敵が何時攻めてくるのかは分からんが、少なくとも近いうちなのは確かだ。それまでに我々は持てる戦力を以て敵の侵攻を食い止める必要がある!それには準備が必要だ!直ちに陸海軍全部隊に戦闘態勢を取るように伝えろ!基地とレイフォル周辺空域にも警戒機を飛ばし、ヒノマワリ方面に偵察隊を出せ!本土との連絡を密にするのも忘れるな!」
「「「「「はっ!」」」」」
ファンターレの命令は直ちに全部隊に伝えられ、レイフォル方面軍全部隊は警戒態勢から戦闘態勢に入り、国連軍による侵攻に備える。
続く