前線偵察に出発した第1偵察大隊第1中隊は、目的地である帝国軍デスデモーナ基地へと到達していた。
中隊から選出された偵察小隊はデスデモーナから南へ僅か5キロの地点に存在する林の中で、デスデモーナ基地を偵察していた。
「今の所、動きはありません」
偵察小隊は新型のアクティブ式暗視装置を駆使し新月で星明かりの無い暗闇の中から、基地の動きを細かく記録し、後方に居る本隊へ向けて無線で報告していく。
「しかし大掛かりな装置ばかりだな」
第1偵察大隊に配備されている偵察機材は他の偵察部隊よりも優先して最新の物が支給されており、今彼等が使用している暗視装置も地球世界由来の技術を先進技術立証室が実用化したもので、ムーにとっては超最新技術であるがそれを真っ先に支給されている事から、彼等が優遇されている事が分かる。
「しかしよく見えますな、この暗視装置と言うのは」
「まさか連中も、目には見えない光を当てられているとは夢にも思うまい」
アクティブ式暗視装置と連動している大型赤外線投光器から発せられるライトの光はフィルターにより人の目には見えないが、装置内のスコープには投光器から発せられる不可視光に照らされた基地がハッキリと見えており、偵察隊はスコープ越しに見える基地の情報を細かく報告していく。
「隊長、他の中隊も配置に就きました」
「よし。じゃあ例のアレ持ってこい」
小隊を率いる『リサーチ・レッグ』大尉は部下にある物を用意させる。
「気を付けろ。借り物なんだからな」
部下達はバッグの中からレンズがついた箱型の形状をしたレーザー誘導装置と3脚を取り出す。
今回の作戦、彼等の任務は偵察ではあるが同時に航空部隊の爆撃誘導も行うため、自衛隊から借りたレーザー目標指示装置を慎重に設置する。
「設置完了」
「よし。後は時間までゆっくりするか」
彼等の他に、残り3箇所の帝国軍基地へ展開している各中隊も航空部隊による爆撃誘導を担当しているため、予定ではほぼ同時刻に目標上空に合衆国空軍の戦闘爆撃機による精密爆撃が実施される事になっている。偵察大隊にとっても初となる爆撃誘導に緊張していた。
「隊長、間も無くです」
「よし」
時間となりレーザー誘導装置の電源を入れ、目標となる基地内の兵舎と車両格納庫、弾薬庫へとレーザー光線を照射する。
「慌てるな。訓練通りにすれば大丈夫だ」
少し慣れないながらも自衛隊から施された訓練通り、手順に従いながら誘導装置を操作する。
「用意よし」
「了解。こちらレッドアイ、スタンバイオールグリーン」
通信兵が無線機を使って、航空自衛隊のE-767AWACSに向けて呼び掛ける。
『了解。これより無線封鎖を開始する』
この直後、EC-2による電波妨害が開始され、敵の通信とレーダーシステムは完全に無効化された。
「来た」
上空にジェット機特有の音が響く。
「こちらレッドアイ、target mark」
『ボマー、ドロップ redy……now!』
数十秒後には爆弾が落下してくる落下音が聞こえてくる。
「命中!」
秒読みの後、GBU-58LJDAMがデスデモーナ基地の兵舎と車両格納庫に直撃。爆炎が暗闇を照らし出した。
「おぉ………」
「流石だ。戦果確認」
すかさず戦果確認を行う。
暗視装置で目標と目標周辺の被害を確認を行うと、スコープ越しに、破壊された車両格納庫と兵舎、兵員が慌ただしく動き回ってるのが見える。
『ボマー、次弾投弾完了』
更に基地内に爆炎が走る。次に破壊されたのは車両用燃料貯蔵庫と弾薬庫で、最初の爆撃よりも派手な爆発と衝撃波が走る。
「命中!」
「こちらレッドアイ、目標は木材に戻った」
『ボマー了解、誘導感謝する。RTB』
目標は完全に破壊された事からF-2は帰投していき、護衛のF-15Jが制空権を確保のため留まる。
「さて、次の仕事に移るか」
偵察小隊は次の目的である基地制圧に備えて準備を開始する。
後方で待機していたラ・ドークと42式装甲車が動き出した。
『車両前進、前へ!』
ラ・ドークを先頭に強襲部隊の兵士を乗せた42式が木や叢を掻き分けながら、森から飛び出し基地の真正面から突撃を開始した。
「砲手、目標敵基地正門!撃て!」
ラ・ドークが基地へ向けて砲撃し、基地正門を吹き飛ばす。
『突入!』
車両部隊は吹き飛ばした正門から基地内へと突入した。
続く
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