基地へと突入した強襲部隊は、後方の本隊の基地突入支援のため基地正門を中心に突入口の確保に乗り出した。
「ラ・ドークを前面に!機銃と迫撃砲を準備!」
強襲部隊は正門を陣取り即席の防御陣地を構築すると、重機関銃と軽機関銃、軽迫撃砲を用意して基地からの迎撃に備える。
「前方敵戦車と敵歩兵接近!」
基地内から爆撃を逃れたハウンドⅡとシェイファーが姿を表した。その後ろから武装した歩兵もやって来る。
「来たぞ!」
「徹甲弾装填!」
前衛に出ていたラ・ドークの車長はぺリスコープ越しに砲塔左横の赤外線ライトに照らされたハウンドⅡに向けて砲手に砲撃指示を出すと、砲手は仰角ハンドルを回してハウンドⅡに照準を合わせ、装填手が弾薬庫から取り出した徹甲弾を装填する。
「装填よし!」
「照準よし!」
「撃て!」
砲手が引き金のペダルを踏み込む。
"ドンッ!"と言う砲撃音が響き、ラ・ドークの76ミリ砲から徹甲弾が撃ち出され、シェイファーⅡの前面装甲に直撃した。
「命中!」
歩兵支援のためのシェイファーⅡの薄い装甲はあっさりと貫かれ、弾薬庫に引火すると車体は大爆発、車内から発生した爆風と圧力により砲塔がビックリ箱のように飛び上がった。
「敵車両撃破!やった!」
「よし!こっちも撃て!」
強襲部隊の43式装甲車の12・7ミリ重機関銃が敵歩兵を薙ぎ払っていく。
「何なんだこの火力は!?アレは本当に機関銃なのか!」
「航空機関砲でも使ってるのか奴らは!」
ブローニングM2のコピー品であるガエタン12・7㎜重機関銃の50口径BMG弾は帝国軍の軽機関銃や重機関銃を遥かに凌ぐ破壊力を持ち、1発でも命中すれば手足や千切られるかの如く吹き飛ばされる。そんな弾薬を目の前から撃ち込まれる帝国軍歩兵は後退を余儀なくされる。
「通信手、本隊はまだか!」
「後10分で到着との事です!」
「分かった!皆、10分だ!10分持ちこたえるんだ!」
強襲部隊の指揮官は皆にそう指示を出す。
手持ちの弾薬の数は限られるため、迫撃砲も照明弾を打ち上げながら攻撃を支援し、ラ・ドークと42式装甲車も強襲部隊の兵士達の盾になりながら主砲と機銃攻撃の手を緩めなかった。
「舐めおって!こちらも撃ち返せ!」
流石に帝国軍側もやられてばかりではなく、手持ちの弾薬と兵の数を生かして果敢に反撃を仕掛ける。
「クソ!奴等、態勢を建て直して来やがった!」
「厄介だ!その前に何とか本隊が到着するのを祈るしかない!」
その時、帝国軍側に派手な爆発が起きた。
「来たぞ!本隊だ!」
それは全速力で駆けつけた本隊のラ・シャルマンからの砲撃だった。
「敵戦車だっ!大きいぞ!」
「あんなの虚仮威しだ!撃て!」
帝国兵は初めて目にするラ・シャルマンに驚きつつ、向かってくるラ・シャルマンに向けて帝国陸軍主力戦車ハウンドⅠで編成された戦車隊が突撃を開始する。
「撃て!」
57ミリ砲搭載型であるハウンドⅠの57ミリ砲が火を吹きラ・シャルマンに榴弾を見舞った。
「命中!」
「見た目程じゃないな!!」
砲弾はラ・シャルマンの車体前面装甲に直撃し、派手な爆発を上げて、帝国兵の誰もが敵戦車を撃破したと確信した。
「嘘だろっ!?」
そこには、直撃した部分に焦げ跡が付いただけで全くダメージを受けた様子の無いラ・シャルマンが居た。
「こんなの屁でもねぇ!徹甲弾装填!」
「了解!」
砲撃された車輌に乗っている若い戦車長は装填手に砲弾の装填を指示し、装填手が弾薬庫から黒色に塗装された徹甲弾を砲に装填する。
「装填完了!」
「撃て!」
ラ・シャルマンの52口径76ミリ砲が火を吹いた。ラ・ドークの砲よりも遥かに強力な砲声はハウンドの57ミリ砲よりも派手な轟音を響かせた。
徹甲弾はハウンドの車体前面の操縦手席に直撃、操縦手を失ったハウンドは行動を停止した。
「やったぜ!初の敵戦車撃破だ!」
「まだ敵は沢山居るぞ!このまま撃破数を増やしてやる!突撃!」
ラ・シャルマンの戦車隊は突撃を開始した。
76ミリ砲の轟音が響き渡り、帝国軍の防衛線に激しい砲撃を浴びせていく。
「敵戦車撃破!」
『3号車、敵戦車撃破!』
『8号車、こっちも敵戦車撃破!』
『6号車、やったぞ!』
ラ・シャルマンは圧倒的な火力と防御力に物を言わせハウンドや装甲車、トラックを次々と破壊していく。
「敵戦車に撃ち込め!」
帝国軍の対戦車砲部隊はラ・シャルマンに向けて57㎜砲と47㎜砲といった火砲で攻撃してくる。しかし、ラ・シャルマンの車体前面と側面には増加装甲が施されており渾身の砲撃はあっけなく防がれてしまう。
「嘘だろ!?この距離で47㎜が通じないなんて!」
「次弾装填急げ!早くし……」
直後、ラ・シャルマンから反撃され対戦車砲ごと帝国兵が吹き飛んだ。
「対戦車砲が…クソ!」
「敵装甲車接近!大きいぞ!」
ラ・シャルマンの後方から43式装甲車が機銃を撃ちながら全速力で迫ってきた。
「来たぁ!!」
「伏せろぉ!」
防御陣地に積み上げられた防御壁代わりの土嚢を踏み潰し、陣地内に突入した。
「撃て」
ムー兵が車内からガンポートにサブマシンガンの銃口を突っ込み周りに居る帝国兵を排除する。装甲車は次々と敵陣地へ突入し辺りに機銃掃射を加えていく。
「今だ!降車!」
車体後方のドアが開くと、狭い車内から解き放たれたムー兵が降りてくる。
手にしている新型銃である44式短機関銃と43式軽機関銃で帝国兵を攻撃する。
「喰らぇぇぇぇぇ!!」
「おらぁぁぁぁぁぁ!!!」
44式短機関銃のドラムマガジンに装填されている70発の7㎜拳銃弾が毎分600発の発射速度で鉄の雨を帝国兵に浴びせられた。
ボルトアクション歩兵銃を上回る発射速度で大量の弾をばら蒔かれた帝国兵達は次々と蜂の巣にされていく。
「奴ら短機関銃もってやがるのか!?反則だろ!」
「こっちの機関銃はどうした!」
「ダメだ!みんな弾切れだ!」
既に帝国側の機関銃陣地の軽機関銃や重機関銃は弾を使い果たしかけており、勇敢な機関銃手がムー兵を何人か倒したが、直ぐに反撃され機関銃そのものを奪われて自分達に降り注いでくる。
更に悪い事に、ムーにも帝国軍と同じように分隊支援火器である43式軽機関銃があり、帝国軍のモノがマガジン式やクリップ給弾式であるのに対してムーの軽機関銃である43式軽機関銃はベルト給弾式のため長時間の射撃が可能であり発射速度も上回っている。
「進め!」
ムー兵達は装甲車と戦車からの支援を受け短機関銃や軽機関銃を手に機動力と火力を生かして防衛陣地の中を突き抜けるように走る。
「奴等を止めろ!通すな!」
「畜生!!止まれ!」
それを止めようと帝国兵は手にしている武器を手にムー兵に立ち向かう。
「グァバ!!」
「ギャャャャ!!」
しかし帝国兵達にとって悪手だったのは接近戦に持ち込もうとしたためコンパクトな短機関銃にあっさりと制圧される。
「コイツを喰らえ!」
中にはストックを切り詰めてソードオフに改造したショットガンを装備したムー兵が帝国兵に対して至近距離から銃撃を加える。装填されていた対魔獣用の散弾やスラッグ弾といった対人用としては過剰ともいえる弾薬を撃ち込まれた不運な帝国兵は身体中に穴を開けられ血を吹き出しながら倒れる。
「散弾銃なんて卑怯だぞ蛮族!」
「黙れ!」
思わず抗議してきた帝国兵に対してもムー兵は容赦せず、そのまま散弾を撃ち込み一撃で制圧する。
「駄目だ!もう保たない!」
「弾が切れた!誰か弾をくれ!」
既に帝国軍側は弾薬も尽き、指揮統率も不可能になっており、帝国兵も武器を捨てて両手を挙げて降参する者や、死んだフリをして逃れようとする者、背中を向けて撤退しようとした所を撃たれる者など、最早戦う意思がある帝国兵が少なくなっていた。
「よし!この先だ!」
防衛陣地を突破し、遂にムー軍は基地の司令部の目と鼻の先へと到達した。
「あれが基地司令部だ!」
「撃て!」
陣地を突き抜けてきたラ・シャルマンが司令部の建物へ向けて砲撃する。砲撃により建物の壁に大穴が開けられ、そこをムー兵達が突入していく。
「制圧したぞ!」
突入から僅か30分、デスデモーナ基地に国連軍の旗が上がり、完全に国連軍の占領下に置かれる事となった。
それと同時刻、他の帝国軍前線基地も国連軍の攻撃を前に呆気なく壊滅、グラ・バルカス帝国レイフォル方面軍の陸軍部隊は戦線を縮小、レイフォリアのラルス・フィルマイナ基地に追い詰められる事となった。
続く
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