レイフォルより出撃してきた水上特別攻撃隊と上空援護の航空機群への迎撃のため、ムー大陸南方沖に展開していた日米合同艦隊は北上を開始し、迎撃態勢に入った。
『全機発艦!』
日米合同艦隊の最高戦力の一角である、新生合衆国海軍所属の原子力空母ロナルド・レーガンから、敵攻撃部隊の航空戦力撃滅と敵艦隊への攻撃のため艦載機のF/A-18E/Fスーパーホーネットを出撃させていく。
全長332メートル、最大幅89メートルを誇るニミッツ級原子力空母ロナルド・レーガン所属の第5空母航空団第27戦闘攻撃飛行隊(以後VFA-27)と第102戦闘攻撃飛行隊(以後VFA-102)所属のF/A-18E/Fが広いアングルドデッキで蒸気カタパルトに乗せられ、一瞬のうちに甲板から弾き飛ばされるように飛び立っていく。
先に飛び立っていくVFA-27は水上特別攻撃隊援護の航空部隊の殲滅を任務としており、出撃していくF/A-18Eの主翼と胴体下にはAIM-120アムラーム中距離ミサイルを最大搭載数で乗せて出撃している。
後続のVFA-102はグレードウォールに随伴している第63水雷戦隊の排除のため、主翼下にはAGM-84ハープーンミサイルが搭載されている。
日米合同艦隊の作戦は合衆国海軍航空部隊がミサイルによる弾幕攻撃で敵航空戦力と敵艦隊の中小艦艇を排除した後に、紀伊が敵グレードウォールを攻撃する作戦である。
これは第2次大戦レベルのグラ・バルカス帝国の戦力分析から産み出された戦術であり、数で勝るグラ・バルカス帝国に対して日米は彼等に対して遥かに有利に立っているアウトレンジ戦法を取り、ミサイルの飽和攻撃に紀伊型戦艦の能力を最大限に活かしている。
今回初めて実行させるこの戦術は、シミュレーションや演習では高い確率で成功を導き出しているものの、初めてとなる戦術に艦隊全体に緊張が走っていた。
「いよいよですな」
「あぁ…今回の戦闘が今後の優劣を左右する。必ず成功させなければ」
紀伊のCICにあるメインモニターから、ロナルド・レーガンより飛び立っていくVFA-27とVFA-102の両飛行隊を見つめながら、松田は作戦が上手く行く事を願いながら、敵戦艦との戦闘に備えて心を落ち着かせる。
「日が暮れたか」
グラ・バルカス帝国レイフォル方面軍第8航空団所属の『テイラー』大尉は愛機のアンタレスの操縦席から西の空に沈んでいく夕日を見ながらそう呟く。
水上特別攻撃隊への戦闘哨戒任務のため艦隊から先行し、数機のアンタレスを率いて周辺の海域を飛行していた。
「これじゃ何も見えないな」
日が暮れた後の夜間飛行はパイロットには非常にプレッシャーになる。
月明かりや星明かりがあればまだ楽ではあるが、昼間程視界が効かないため敵や味方を視認し辛い。
「ん?」
ふと前方から光のような点が見えた。
「何だ?」
光点は徐々に近づいてきており、テイラーは本能的にそれを交わそうと操縦桿を左に動かそうした瞬間、目の前から強烈な光と衝撃が走り、次の瞬間には熱と炎が体を包み込んで、テイラーはこの世から影も形も残さず消えてしまった。
『こちらロイヤル6、敵哨戒機を排除』
ロナルド・レーガンから飛び立ったVFA-27のホーネットはAIM-120によるロングレンジ攻撃でテイラー達を葬った。
彼らはデータリンクでメインディスプレイに投影されるレーダー情報や高度な電子機器のアシストにより夜間でも昼間と変わらない戦闘を繰り広げ、本命である敵航空部隊がE-2Dホークアイのレーダーに映るのを待つ。
『目標捕捉』
E-2Dのレーダーが敵航空部隊を捕捉しデータリンクでVFA-27のホーネットに対して攻撃する目標の分配と攻撃指示が飛ぶ。
『ターゲットレーダーインサイト、FOX-1、fire!』
続く
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