日本国召喚×不沈戦艦紀伊   作:明日をユメミル

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第30話

夜が明けて、ムー大陸周辺に太陽の光が降り注ぐ中、紀レイフォル沖南方海域付近。

 

 

「何とか間に合ったな」

 

 

 

海上自衛隊の艦隊はグレードウォールより一足先に同海域に到達しており、此処で敵を待ち構える態勢をとっている。

しらぬい、まやは紀伊の後方に位置しており、敵潜水艦や敵航空機の出現等に警戒しながら紀伊と付かず離れずの距離を保つ。

 

 

 

『対水上レーダー探知、本艦90度方向、25マイル!速度27ノット、数1。目標、大型艦級と思われます!』

 

 

朝日に照らされた紀伊の艦橋に報告が入った。

紀伊に装備されている対水上レーダーが北の方角から接近してくる大型の反応を捉えた。

見張り員が双眼鏡で前方90度方向を見据えると、水平線上に黒く、大きな影を視認した。

 

 

『目標視認!』

 

「艦級は分かるか?」

 

『目標は大和型に酷似!グレードアトラスター級と思われます!』

 

「役者は揃ったか。対水上戦闘、合戦用意!」

 

 

紀伊は直ぐ様、戦闘態勢に入った。

各部署の乗員達は何時もの如く、駆け足で部署への配置に就き、戦闘による防水と火災、負傷者の発生に備えて応急員と医療班も待機する。

 

 

『対水上戦闘、主砲左砲戦用意。観測機発艦!』

 

 

 

紀伊はその場で面舵を取り、艦首を右に向けて左舷側をグレードウォールに向ける。

後部飛行甲板からは主砲の着弾観測用のRQ-2J無人機が飛び立つ。

 

 

「観測機、目標上空に到達!」

 

「砲雷長、主砲射撃用意!交互撃ち方!砲撃諸元は無人機のデーターを使用!」

 

 

無人機から送られてくるデータを艦橋上の射撃指揮所に居る砲雷科の隊員が射撃指揮装置を使い敵との距離を計算しながら砲撃諸元を各砲塔へ送り、それに従って主砲と副砲が旋回、砲口をグレードウォールに向ける。

最初は交互撃ち方による修正しながらの射撃のため、3本の砲身のうち外側左右の砲身が仰角をとる。

 

 

「射撃用意よし!」

 

「撃ち方はじめ!」

 

 

その合図と同時に紀伊の主砲が射撃を開始した。

3基の主砲塔から6発の砲弾が撃ち出され、グレードウォールに向けて超音速で飛翔する。

 

 

 

「敵艦発砲!」

 

 

 

紀伊が発砲したと同時にグレードウォールも砲撃を仕掛けてきたが、回避はせず速度と針路は現状を維持させる。

 

 

「弾着、今っ!」

 

 

最初の砲撃から30秒後、紀伊の砲弾がグレードウォールの鼻先に着弾し6本の水柱が上がった。

 

 

「全砲、命中弾なし!」

 

「諸元修正!上げ角5」

 

 

直ぐ様、射撃諸元の修正が行われ旋回角と仰角が変更される。

 

 

「敵弾到達!」

 

 

その間にグレードウォールの砲弾が紀伊の左側より遥か手前に着弾した。

 

 

「敵さんも良い腕をしてるな」

 

「えぇ。ですが敵が針路と速度を一切変えないのが気になりますが」

 

 

この時点でグレードウォールは艦首を紀伊に向けたまま速度と針路を一切変えておらず、先程の射撃も艦首側の2基の主砲による水平射撃によるものだった。

 

 

「回避しようとする素振りは見せないか………何を考えてるんだ?」

 

「次弾装填完了!」

 

「撃て!」

 

 

2回目の射撃が開始された。

続けて放たれた3発の砲弾は先程よりも着弾位置がグレードウォールに近づいている。諸元修正が効いている証拠だった

 

 

「次の射撃で諸元修正完了します!」

 

「よし、撃ち続けろ!」

 

 

紀伊はグレードウォールへの砲撃を続行する。

第3射目に入ろうとしたその時、それまで矢のように真っ直ぐに向かってきていたグレードウォールに突如として動きが見られた。

 

 

『敵艦主砲、旋回しています!』

 

 

見張り員がグレードウォールの主砲塔が旋回しているのを確認した。この時、敵はようやく本腰を入れて来たのかと思ったが、グレードウォールの船体は未だに紀伊に向けられたままであるという奇妙な光景に松田は言い知れぬ不安感に襲われた。

 

 

 

「敵艦の主砲はどっちに向いている!」

 

『敵艦の主砲塔は………全てムー大陸方向に向いています!』

 

 

この報告に松田はグレードウォールの意図を察した。

 

 

「地上部隊への艦砲射撃か!?」

 

 

松田はグレードウォールの狙いが、海上から国連軍地上部隊へ対する艦砲射撃である事を確信した。

だがグレードウォールからは着弾観測機は1機も飛び立っておらず、着弾観測機無しで対地攻撃を実行しようとしているのである。

 

 

 

『司令!』

 

「どうした?」

 

『ムー大陸方向に見える山の頂上に発光信号のようなものが!』

 

「何っ!?」

 

 

見張り員からの叫びに、松田は双眼鏡で大陸方向に目を向ける。確かに、大陸方向に見える山地の中にある山の頂上から光が点滅しているように見えた。

 

 

「観測機を飛ばさなかった筈だ!山頂の敵部隊の着弾観測だ!」

 

「司令!」

 

「分かってる!目標変更、あの山に向けてトマホーク攻撃!」

 

 

 

 

 

 

 

グレードウォールの主砲が向けられているムー大陸方向に見える海岸線から少し奥には北から東へ一直線に山脈がある。

その山脈はレイフォルとヒノマワリ王国を跨ぐようにあり、その中に海を見渡せる程の高さを持つ標高数百メートル規模の山々が連なる場所がある。その中でも特に奧の方にある山頂からムー大陸内陸部と南方海域の双方を見渡せる山がある。

 

 

 

「隊長!グレードウォール視認しました!」

 

「よし、発光信号にて砲撃諸元を送れ」

 

「了解!」

 

 

その山の山頂に、グラ・バルカス帝国陸軍砲兵部隊が展開しており、そこからは国連軍のムー陸軍部隊によって占領されたレイフォリア南方にあるデスデモーナ基地が見える。観測員達はグレードウォールに向けて発光信号を使い、デスデモーナ基地の位置や距離などの砲撃諸元を送った。

 

 

 

「信号送りました!」

 

「よし!待避だ!」

 

 

観測員達はその場から斜面を駆け降り、山頂から少し下がった位置にある鍾乳洞へと待避した。

 

 

 

 

 

「アケイル司令、砲撃諸元来ました!」

 

 

観測部隊からの砲撃諸元を受け取ったグレードウォールは、その情報を頼りに砲撃準備を進める。

 

 

「敵艦から発砲炎!山頂に向けて飛翔中!」

 

「例の誘導弾と言う奴だな?だがもう遅い」

 

「長官、砲撃用意よし!」

 

 

砲撃準備が完了し、アケイルは息を大きく吸い込む。

 

 

「死んでいった友軍兵士達のために一矢報いるぞ……主砲、撃てぇぇぇぇぇい!!!!」

 

 

 

アケイルの合図でグレードウォールの46センチ砲9門が斉射で砲撃を開始し、艦周辺の海上に走った衝撃波が、海面に波紋を作り、それが一気に広がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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