最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活 作:百合好きなmerrick
竜の生活その10「小さな雛の竜」
「ねぇ、ここに暴竜が棲んでるって聞いたんだけど⋯⋯知らないかな?」
空から私よりも背の高い銀髪の少女が舞い降り、地面に降り立つ。その肩まで届く髪はシュシュで1つに纏め、ポニーテールにしていた。私を見る目は青に限りなく近い緑色──俗に言う
「ねぇ、聞いてる? ここに棲む暴竜って知らないー? それとも、貴女がそうだったりする?」
無邪気な笑顔を見せながら、少女は私に近付いてくる。
その少女の魔力は明らかに人のそれではない。人の姿を取った
そもそもこの娘の目的が私というだけであって、殺しに来たのかも分からない。ここは慎重に接するべきか。
「⋯⋯そうだよ。私が暴竜ティラノス。私の縄ば⋯⋯家に何か用事でも?」
「ううん。家に用事は無いよ。オルニスはね、暴竜に用事があるの」
「オルニス⋯⋯?」
「あ、オルニスはオルニスの名前! ねぇ、暴竜⋯⋯」
オルニスと名乗る少女との距離が縮まる。家に何かあってはいけないと、私はオルニスを警戒する素振りを見せながら、家から徐々に離れる。
「何かな、オルニス。早く言ってほしいな」
「そうなの? じゃ、遠慮無く──私と戦おっ!」
「状況読めな⋯⋯っ!」
オルニスは急に歩く速度を速め、何も持たずに突進する。ある程度近付くと、飛び上がって右手を振り落とした。
危険を感じ取って慌てて転がり回避する。私が立っていた場所に変化は無いが、オルニスの手は鋭い爪を露わにしていた。更に左手には、青白い魔力が集まっている。
「ちょっ──理由くらい聞かせてくれたってよくない?」
「⋯⋯凍っちゃお。
私の質問にも答えず、青白い何かを私に向かって投げた。飛び上がって逃げようとするも、地面で着弾したそれが氷の塊となって広がり、その一部が私の左足に纏わりつく。
「動け⋯⋯!? 氷⋯⋯!?」
「あれ? 呆気ないね。
オルニスが手を私の足元にに向けた瞬間、氷が徐々に身体に侵食していく。ものの数秒で氷は足を覆い、身動きが取れなくなる。
後10秒もすれば、氷は全身を覆う事になるだろう。
「ちっ⋯⋯! めんどくさい!」
身体中に魔力を巡らせる。勘を取り戻したくないけど、今は退かせる方が大切だ。
「──燃えろ!」
叫びとともに魔力を放出する。その刹那、爆発したかのような大きな音を出して、熱い魔力が吹き荒れる。それは氷を溶かし、辺りを焦がし、手足と尻尾を重点的に、身体中へ視覚化された炎として纏われる。傍から見れば、さながら炎の鎧でも着ているように見えるかもしれない。
だけど、実際は
「わぉ。流石暴竜。火竜だったんだね。しかも、相性が悪いっ。ピンチだね」
「そうだね。早く諦めて。私は戦いたくない」
「お断り! もう少し力を見せて!」
次は両手に魔力を集中させ、猪突猛進に真っ直ぐと突き進む。
「はぁ、いいよ。⋯⋯来い。今だけ力の差を見せてやる」
「ふふっ。うん、お願い! 私に見せて!」
オルニスは手が触れる距離まで急接近する。すると、両手を前に突き出した。
「
手に氷を纏わせ、それを盾にして突進してきた。
当たれば凍るだろうし痛そうだからと、私は横に避ける。
「あれ? って、熱っ!? ──いった!?」
そして、尻尾をオルニスの身体に巻き付け、そのまま地面に叩きつけた。
「油断したね。これで終わりだ」
地面に伏せるオルニスに巻き付けた尻尾を離さずに、手と首を掴んで拘束する。未だに炎が溢れ出て、オルニスの肌を焼いている。本来は女性相手にこんな真似はしたくないが、
「あ、熱い! 熱いから止めて!」
「もう戦いやめる?」
「こ、降参! ただ暴竜様の力を見たかっただけだから、もう戦わない! ほ、ほら、人で戦ったし、ね? 本気じゃないよ?」
「ティラノスー。大きな音したけど⋯⋯え、何その状況。どんなプレイ?」
騒ぎを聞き付けたらしく、カノンがエプロン姿で外に出てきた。手にはフライ返しと、今朝見た姿と全く同じだ。
「プレイとかじゃないから。安心して、料理の続きして」
「暴竜様、そろそろ炎消してくれないと、一生ものの傷になっちゃう。ううん、暴竜様に付けられた傷なら、絶対に消えない名誉になるけど」
「⋯⋯それは色々と困る。分かった。消そう」
攻めに来た相手とはいえ、女性の肌に生涯癒えぬ傷を付けるなんて責任が重い。ついでに言うと、この娘の気持ちもなんか重い気がする。
色々と背負い切れないからと、体の力を抜いて、身体中の炎を消した。が、拘束は外さない。
「さて、話を聞こうか。私の縄張りにどうして入った?」
「オルニスが竜って気付いてるんだね。流石、暴竜様。じゃ、話すね。でも、その前に⋯⋯」
と、何か口に出す前に、オルニスのお腹が鳴る。そして、恥ずかしそうに頬を赤めた。
「お腹空いちゃった。暴竜様、後で食料調達手伝うから、一緒にご飯食べてもいい?」
「⋯⋯飢えた竜程凶暴なものは無い。いいよ、話は後で聞く」
オルニスに巻き付けた尻尾を離し、手を掴んで立ち上がらせる。そして、一緒に家の中へと入っていった。
用語解説その10
『通貨』
地域によって異なるが、基本はアリアン王国が発行する『ガネ』。一部の地域や国では使えないものの、そこは大陸の5割を支配する国。使えない場所も大抵は融通が効く。しかし、それよりも流通してる通貨が『物』。要は物々交換である。それこそ高価な品は高額だったりそれ相応の物と交換される。
カノン「そう言えば、ティラノスはこんな場所に住んでどうやって過ごしてるの?」
ティラ「自給自足。主に魔猪の肉と水さえあれば生きられる。自然が溢れてるから食べれる植物も豊富」
カノン「知ってたけど魔猪涙目」