最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活 作:百合好きなmerrick
オルニスが家に来てから1週間程経った。今私達は、家の前の広場にて、カノンの魔術の練習をしていた。それが何故か──
『ティラノスお姉様! オルニスの姿を見てください!』
──オルニスの竜姿お披露目会と化していた。本来はカノンの魔術練習の片手間だったはずが、いつの間にかお披露目会の方がメインと化していた。
魔霧の森に囲まれた広場の中で、一際目立つ銀色の鱗と碧色の目を持つ大きな竜の姿。前足は翼と一体化しており、後ろ足は前足よりも太い。俗に言う『ワイバーン』という姿の竜。その竜から咆哮とも呼べる大きな声がする。
「オルニス凄いね! すごっくカッコイイよー!」
『ふふーん、カノン! 見て! こんなアクロバティックな飛行もできますよ!』
オルニスはそう言って、空中で一回転、宙返りをする。カノンはオルニスを見ながら、感嘆の声を上げていた。
カノンからすれば、生まれて初めて見る竜。その大きさに、美しさに圧倒され、心躍るのも仕方ない。楽しそうに飛ぶオルニスやそれをはしゃいで見るカノンを見ているだけで、微笑ましくなる。
『ティラノスお姉様! 一緒に竜になりましょう!』
「⋯⋯ううん。オルニスだけでも充分大きくて洗濯物が乾かないし、私はやめとくよ」
オルニスの全長は少なくとも40mを超える。まだまだ竜としては小さい方だが、それでも充分日を遮っている。私も竜になれば、それこそ完全に日光を遮る事になるだろう。本当はそれとは別の理由で、竜になりたくないだけなのだけど。
『オルニスはちょっとくらいなら大丈夫だと思います!』
「私もオルニスに賛成かなぁ。竜になると言っても、少しだけでしょ? なら大丈夫大丈夫」
「ぐるぅ⋯⋯分かった。本当にちょっとだけだよ」
竜になっても家を壊さないように、空高く飛び上がる。家を巻き込まないある程度の高さまで行くと、身体中に魔力を巡らせた。
すると、私に流れる全ての血液が熱く煮え滾った。それに呼応するように身体中が白く発光していく。魔力は皮膚から溢れ出て、大きく形を変える。手足は巨大化し、翼は大きく広がっていった。
『グルゥ⋯⋯グルォォォォ!』
そして私は、魔霧の森の広場を埋め尽くす程の大きな姿になった。
久しぶりの本来の姿に、眠っていた本能が蘇る。気持ちを抑えようと首を上げ、大きく咆哮する。
「う、うわぉ⋯⋯! す、凄い! ティラノス! 凄いよー! ⋯⋯聞こえてるー!?」
『ティラノスお姉様! 流石です! ⋯⋯オルニスの事、見えてます?』
『⋯⋯うん、聞こえてるし、見えてるよ。こうして見ると、小さく見えるね』
頭の先から尻尾の先までまで、全長約130m。片翼だけでも開長は約70m。オルニスの約3倍、人間時の私の約100倍の大きさ。4つ足で翼を持つ、所謂『ドラゴン』と呼ばれる種類の竜。全身を覆う鱗は金色で、目だけが赤い。それが今の私だ。
あまりに大きく、気を付けないと周りの物を壊してしまうから、あまりこの姿になりたくなかった。それにしても、この姿になると全ての物が小さく見える。それとオルニスと身長が逆転できてなんか嬉しい。
『ティラノスお姉様が大きいからですよ。オルニスよりも大きくてビックリしました』
『私よりも大きい竜も居るよ。昔、今の私より一回り大きな竜と戦った事がある。もちろん勝ったけど、その時はかなり辛い戦いだった。⋯⋯そろそろ戻っていい? 竜になってると、何か破壊しそうで怖い』
「うん! 戻っていいよー!」
『なら、オルニスも戻ります!』
空中でオルニスと一緒に人の姿へと戻り、カノンが待つ地へと向かう。
またもや身長が逆転したが、致し方あるまい。潔くこの身長差を受け入れよう。この身体だと牛乳を幾ら飲んでも成長しないし。
「あ、ティラノスお姉様! たまにはみんなで獣狩りに行きましょう!」
地面に降り立ったと思えば突然オルニスがそんな提案をしてきた。
提案を聞いたところで、家にはもう数日程度の食料しか無い事を事を思い出した。大抵は食欲旺盛なオルニスのせいだけど。まぁ、何にせよ、そろそろ狩りに行こうと思ってたわけだし、提案に乗るとするか。
「たまにはそれもいいね。じゃあ、支度をしてみんなで行こう」
「やったー! カノン、一緒に頑張りましょう!」
「だね! ティラノスもいっぱい狩ってねー」
「私を誰だと思ってる? 10匹程度なら余裕」
「さっすがー! じゃあ、汚れてもいい服着てくるね」
カノンはそう言い残して家に戻る。私はオルニスと談笑しながらカノンを待つ事にした。
竜の本能は抑える事ができず。
用語解説その14
『エルフ』
魔術が得意な種族。海の近くに集落を作ることが多く、この大陸にもエルフだけの国が海の近くにあるという。また、自然と心を通う力を持つという。また、エルフには似た種族が多く、ダークエルフやローエルフなどの種族がいる。
種族特徴→エルフ耳、暗視、森の加護(木々の言葉を聴ける)、水の加護(水中でも息ができる)
ティラ「この近くでエルフを見る事は少ない」
カノン「エルフ達の国ってアリアン王国と敵対してるしね。それにエルフの人って人間嫌いが多いし。それもこれも、奴隷制度のせいだけど⋯⋯」
オルニス「人間達は他の種族に喧嘩売るのが好きですからね。オルニス達の種族は買うのが好きですけど」
ティラ「いや充分売ってると思う」