最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活   作:百合好きなmerrick

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竜の生活その18「エルフの提案」

「一先ずあの白い肌のエルフは大丈夫。怪我は見た目ほど深くなかった。このまま安静にしてればすぐ良くなる」

 

 私達は白い肌のエルフを治療するため、2人のエルフを連れて家に帰った。白い肌のエルフはともかく、黒い肌のエルフも衰弱し切っている。どちらも深刻とは行かないまでも、危険な状態である事には違いなかったため、一旦家に連れ帰ったのだ。今はオルニスが白い肌のエルフの看病をしてくれて、私とカノンはもう一方のエルフの話を聞いていた。

 

「あ、ありがとうございます⋯⋯! あ、改めて。私はディニエル⋯⋯と言います。見ての通りダークエルフ⋯⋯です」

「カノンです。こちらこそよろしくお願いします⋯⋯!」

 

 そう言ってディニエルは深々と頭を下げ、感謝の意を伝えられる。カノンも釣られてか、同じように頭を深々と下げていた。そこまで頭を下げられると良い事をしてるはずなのに、なんだか申し訳ない気持ちが生まれる。が、感謝されてるのだから素直に喜ぶとしよう。

 

「気にしないで。この森は私のテリトリー。中に入った人は私の客も同然だから、治すのは当たり前。稀に招かれざる客もいるけど」

「さ、流石暴竜様です⋯⋯! 噂通りのお方⋯⋯!」

「噂? ってか暴竜呼びやめて。ティラノスでいいよ」

「す、すいませんっ! 分かりました、ティラノス様⋯⋯!」

 

 様付けされると昔を思い出して調子が狂う。でも、いちいち訂正していては、また謝られて余計に調子が狂う事になるだろうから、これ以上は何も言うまい。

 

「⋯⋯で、噂って?」

「あっ、そ、その⋯⋯この森には暴竜が住み、王国から身を守ってくれる。だから、もし逃げれたならここへ来れば助かる、という噂が奴隷達の間で流行っていて⋯⋯」

「奴隷の間で⋯⋯? 名残かな」

 

 昔助けた人の中にでも奴隷だった、もしくは奴隷になった人が居て、その人が広めた噂が今でも言い伝えとして残ってるのだろう。助けた人なんていちいち覚えてないし、今となっては真相は分からない。

 

「横槍を挟むようで悪いけど、奴隷って⋯⋯?」

「あっ、も、申し遅れました! 私、こう見えても奴隷として人間の国、アリアン王国で売られそうになっていて⋯⋯そんな時、偶然にもここを通った時に魔猪さんが奴隷商人の馬車に突撃し、助かったのです⋯⋯」

 

 そう言えば、近道だからとこの森は奴隷商人が通る道になっていたか。それが運悪く──いや、運良く私が竜になった時にかち合って、難を逃れたようだ。それにしても、人間は相変わらずだな。

 

「へぇー⋯⋯見た感じ奴隷なのは分かるけど、何をしたの? 悪い人には見えないけど⋯⋯」

「そ、その⋯⋯()()

「⋯⋯へ? な、何もしてないのに奴隷として売られそうになってたの!?」

「は、はい⋯⋯」

 

 カノンは闇を知っていても、まさかここまでとは予想していなかったらしい。

 

「国から遠い場所にも村はある。そんな村に奴隷商人達は侵略し、金品は貢ぎ物か懐に、生き残った人は奴隷として国へ売る。問題なのはそれを国が黙認し、受け入れてるという事。今ではようやく表に出てきて国際問題になってるけど、昔はもっと酷かった」

「わ、私やアリエルも、村から連れ去られた後、このように奴隷の証である焼き印を問答無用で付けられました」

 

 そう言ってボロボロの服をめくり、腹部を露わにする。おへそのちょうど真横には、痛々しい丸型の焼き印が付けられていた。

 

「こ、これは消す事ができず⋯⋯一生奴隷として扱われる証でもあります⋯⋯。だからこそ、私達は逃げてきたのです⋯⋯」

「⋯⋯住んでた村はどうなったの? もし無事なら──」

「も、燃やされました。す、全て⋯⋯跡形も残らず」

 

 その場に居る全員が息を呑む。まずいことを言ってしまったと後悔しても時すでに遅し。昔は気軽に破壊していた私でも、どうしようもない罪悪感に蝕まれた。

 

「ごめん。配慮が足らなかった」

「い、いえ! 謝らないでください⋯⋯! もう、済んだ事ですから⋯⋯」

 

 とか言いながらも、昔を思い出してか泣きそうな顔になってる。改めて、この顔を見ると後悔の念が溢れてくる。私も昔は、破壊していた側だから。

 

「⋯⋯もしかして『助けて』『連れて行って』って言った意味って、家が無いから?」

「は、はい⋯⋯。人間の国には行けませんし、ど、奴隷の証を付けられた今となっては⋯⋯もう何処にも気軽に行ける身では⋯⋯ないですから。だ、だから⋯⋯!」

「⋯⋯はぁ。分かった。分かったから泣かないで。⋯⋯いいよ。家に住まわせてほしい、って事だよね。今となっては、1人や2人、増えようともあまり変わらないから」

「ほ、本当ですか!?」

 

 我慢できなかったのか、ディニエルは目を涙でいっぱいにしながら、とてつもなく嬉しそうな笑顔で私の手を握る。

 

「あ、ありがとうございます⋯⋯!」

「お礼なんていいよ。でも、ずっとは流石に無理だからね? 他に安全な場所が見つかれば⋯⋯」

「は、はい⋯⋯! もちろんです! そ、それまで住ませてもらえれば⋯⋯!」

 

 念を押したけど、どうやら本当に住むつもりらしい。よくもまぁ、こんな私の傍に住みたいと思えるな。安全だから、という理由があるからだろうけど。⋯⋯他に選択肢はない、か。まぁ、問題は無い。

 

「⋯⋯ところで、それってディニエルだけで決めてもいいの? アリエルだっけ? その娘は?」

「も、元々はアリエルの提案なので⋯⋯だ、大丈夫ではあると思います⋯⋯!」

「そっか。⋯⋯一応、話が着いた事は言っておかないとね。アリエルの場所に行こうか。まだ寝てるかもしれないけど」

 

 そう促し、ディニエルとカノンを連れ、オルニスが看病するアリエルの元へ向かう。半ば、諦めた気持ちを胸に秘めて。




用語解説その18
『セリーナ王国』
イデアの一部を支配するエルフの王国。大陸内にある湖の中心に存在する王国であり、別名水の国。名前の意味は穏やかな。商人が多く居る王国でもある。国と言ってもどちらかと言えば独立した街みたいな場所。

ディニエル「わ、私達も昔はこの近くに住んでいました。けど⋯⋯」
ティラ「奴隷商人に捕まった、と。奴隷制度に関しては、ここは反対派だったね。エルフがよく奴隷にされるから無理もないけど」
カノン「奴隷なぁ⋯⋯私も好きじゃないかな、そういう制度は⋯⋯」
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