最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活 作:百合好きなmerrick
エルフとダークエルフの姉妹が来た次の日。オルニスの魔術のお陰もあって、傷が癒え、疲れが取れた2人は昨日の今日だというのに、元気いっぱいに湖を泳ぐほど回復していた。そんな2人に物置部屋と化していたオルニスの隣の二部屋を貸すと、早速部屋の模様替えに取り掛かっていた。
「ティラー、本棚ないか? 本棚。ディニエルが欲しいんだってさー」
「2階の物置部屋に無かった?」
「無かったぞ!」
かつて暴竜と恐れられた私に気軽に声をかけるのは真っ白な髪と肌を持つエルフ、アリエルだ。気軽に声をかけられるのは私としても嬉しい。昔と違い恐れられてない事が分かるから。だけど、馴れ馴れしいのは少し困る。まだ出会って1日しか経ってないんだから。いや、もしかしたらエルフというのは皆こういうものなのかもしれない。私は千年以上生きてても、千年近くは誰とも口を聞かなかったし。
「無かった? ⋯⋯そう言えば、オルニスの部屋が本棚で溢れてたような気がする。借りて来ようか?」
「いいや、それならいいかな。そこまでして欲しいとは思ってないだろうし。無かった、って言っとくよ」
「そうなの? 分かった。⋯⋯アリエルは部屋、完成したの?」
「ああ! 完成したぜ! どうせなら見に来るかー?」
その誘いに「うん」と言葉を返す。私の家なのだから、各部屋は知ってた方がいい。何か危ない物でも置かれてたら、この家を作った娘に申し訳ないし。改めて一から作らせるのも⋯⋯大変だろうし。
「よし、そうと決まれば早く来てくれー!」
「あっ、手を引っ張っちゃ⋯⋯はぁ」
元気いっぱいなエルフに引っ張られ、竜の私は仕方なく、大人しく後に付いて行く。
「先に紹介しておくな! ここが姉さんの部屋だ! 結構綺麗だろー?」
最初にアリエルに案内された先は黒い肌のダークエルフ、ディニエルの部屋だった。ディニエルはその部屋の中心に居て、今も作業中のようだ。私達が来るとは思ってなかったようで、ビックリして目を丸くさせている。
置かれた物は散乱せず、整理整頓されてキッチリ並べられている。どれもこれも、何処から持ち出したのか私が持たなさそうなオシャレで可愛らしい家具ばかりだ。本当に何処にそんな物があったのか。
「あ、アリエル!? なんで勝手にティラノス様を案内してるのです!?」
「妹だからな! 自慢の姉の部屋を先に紹介しておきたいと思ってだぞ! それと本棚は無かったようだぞー」
「そ、そうですか⋯⋯ありがとうございます⋯⋯っ。って、前者は明らかにおかしな話な気が⋯⋯」
「姉さん、気のせいだ⋯⋯」
「そ、そうですか⋯⋯」
上手いこと言いくるめられて少し哀れに思う。どうしてこうも、血が繋がらないとはいえ、姉と妹で違うのか。見てると少し面白いからこのままでいいけど。
「さて、次はアタシの部屋だなー」
「早っ。まぁ、いいけど。ディニエル、失礼したね」
「い、いえ⋯⋯。だ、大丈夫ですぅ⋯⋯」
そんな怯えた声を出さなくても何か言ったりしないのに。こっちはまるで暴竜として恐れられた時を再現してるようで気が狂う。やはり私は、気軽に話しかけられる方が性に合う。
「ティラー、早く来いよー!」
とは言え、ここまで馴れ馴れしいのは少し嫌だが。そう思いながら、隣の部屋へ向かった。
「どうだ? ここがアタシの部屋だ!」
「⋯⋯部屋まで真逆か」
思わずそう口に出してしまうほど、ディニエルと違って部屋は物で散乱していた。これで本当に完成したのかと疑問に思うほど物は散乱し、机や椅子、ベッドが無作為に置かれてる。明らかにゴミのような包み紙も落ちてたりと、今日作られた部屋なのかと疑問にしかならない。いくらなんでも、これは酷すぎる。
「⋯⋯はぁ。アリエル。私も手伝うから、一緒に模様替えしようか⋯⋯」
そう思った私は頭を抱えながら、そう提案した。その提案に、アリエルは理解してない様子で、首を縦に振る。
用語解説その20
『ローエルフ』
エルフやダークエルフの中で稀に生まれる。数が少なく、幸運の象徴とされるためどのエルフからにも好かれ、庇護の対象。大人になっても身長が変わらない。ろりっこ。魔法は得意だが力が弱い。奴隷としての希少価値がとても高い。そのため、人攫いによくあう不憫な種族。寿命は100年。
種族特徴→エルフ耳、暗視、森の加護(木々の言葉を聴ける)、森の促成(木々の成長を急激に促す)、水の加護
ディニエル「ろ、ローエルフはまだ見た事ありません⋯⋯けど、本当に可愛らしい種族と伺ってます⋯⋯」
アリエル「一度は会ってみたいなー。聞くところによると、アタシより小さいらしいしな!」
ティラ「それ可愛いから会ってみたいとかじゃなくて自分より小さいからだよね?」