最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活   作:百合好きなmerrick

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竜の生活その21「エルフの水浴び」

「うわぉ⋯⋯! ほ、本当に綺麗な湖です⋯⋯! アリエル、見てください! 水が透き通ってますよ!」

「おお、ホントだな! こんなに透明な水も珍しいな。姉さん、久しぶりに泳ごうぜー!」

「は、はい!」

 

 部屋の模様替えも終わり、一段落したある日。何を思ったのかエルフ達が家の近くにある湖に興味を持ち始めた。そして、興味を持った数分後には湖で泳いでいた。海の近くに都市を造るほど水が好きな種族だから、湖に興味を持つのも分かるけど。幸い、この湖に脅威は存在しないから、好きなだけ泳いでいられる。それに私の竜状態より狭い湖だけど、悠々と泳ぐには充分過ぎるほど広い。

 

「おーい! カノン達もどうだー?」

「うん、泳ぐー。──って事で、ティラノス、水着無いー?」

「買ってないから無い。⋯⋯下着で泳げば? もう泳いでる2人は下着で⋯⋯というかアリエルに至っては服を着たまま泳いでるよ?」

 

 アリエルとディニエルは水をかけあったり、泳いだり、とても楽しそうだ。エルフの本能からか、水と共に生きる彼女達は、とても気持ち良さそうで、とても嬉しそうに見える。この例えは言っちゃ悪いけど、魚みたいで生き生きとしてる。

 

「えぇー⋯⋯まぁ、仕方ない、か。⋯⋯ティラとオルニスは泳がないの? 全く着替えようとしてないけど」

 

 カノンは服を脱ぎ捨てて私達にそう問いかける。本当に年頃の女の子なのかと聞きたいくらい大雑把に、乱雑に脱ぎ捨ててる。今の保護者としては、諌めた方がいい気がするけど、この森から出る事を考えなければこのままでもいいかもしれない。というか、私に教えれるほどの常識があるとは思えない。むしろカノンの方が常識を持ってるだろうから、彼女がいいならそれでいいか。

 

「あっ! もしかして服のまま?」

「服のまま泳ぐわけないから。エルフでも水竜でもあるまいし。⋯⋯私は火竜。湖の温度は肌に合わない。私のお風呂の後、熱いでしょ?」

「うん、沸騰してるからね。火傷しちゃうから触ろうとも思わないけど」

「賢明だね」

 

 カノンは服を脱ぎ捨てると、湖に入るためなのか、ストレッチを始めた。

 

「オルニスは逆に冷たくしちゃうので入れないですね。湖の温度でも少し熱く感じてしまい、無意識に冷やしてしまう⋯⋯それが冷竜の定めですから」

「やな定めだなぁ、っと。それじゃあ入ってくるね!」

「慌てすぎて滑ったり窒息しないでよ。ここで死なれちゃ夢見が悪いから」

「はいはいっ! アタシは絶対に死なないから安心していいよー!」

 

 カノンはその肩まで届く真っ赤な髪を靡かせながら、元気よく走り出す。その姿は文字通りの健気な少女だ。とても生き生きとしてて、元気いっぱいで⋯⋯何よりも、生を謳歌してる。改めて彼女を救えて良かったと実感する。

 

「⋯⋯ティラノスお姉様。人間も、エルフも⋯⋯いいですよね。羨ましいです」

 

 カノンが走り去った後、何を思ったのか、その背を感慨深く見ながらオルニスが呟いた。

 

「うん、そうだね。今を精一杯生きてる、って感じがする。なんて言うんだろう。情熱? そんな感情を感じる。竜と違って、生きれる年数が短いからかな」

「⋯⋯オルニスも、今を生きてて楽しいですよ。憧れのティラノスお姉様が一緒に居ますから」

「ふふっ、そう言われると嬉しいね。でも、私が居なくても、楽しい事は見つけてよ?」

「それは竜の先輩としての忠告です?」

 

 頭を傾け、不思議そうな顔で私の目をじっと見つめる。私の方が背が低いから、なんだか威圧されてるように感じる。

 

 それよりも、これはどう返すのが正解なのだろう。オルニスの言う通り、竜の先輩として後悔がないように言ったつもりだけど⋯⋯オルニスが求めてる言葉とは何か違う気がする。何故か、オルニスの小さな目からそう感じる。⋯⋯そう言えば、あの言葉に反応してたような気がする。⋯⋯言ってみるか。

 

「⋯⋯ううん。姉として、ね?」

「姉⋯⋯ふふふ、おぉー⋯⋯姉として、ですか⋯⋯」

 

 私の選んだ言葉は正解だったらしい。オルニスは嬉々とした表情でその言葉の余韻に浸る。どんな思い入れがあるのか知らないが、嬉しそうなら、それでいい。

 

「ティラノスお姉様、ありがとうございますっ! 姉としての忠告なら、喜んで受け取りますね!」

「うん、是非そうして。⋯⋯それにしても、楽しそうだ。あの娘達は」

 

 遠目に映る水浴びをして遊ぶカノン達を見てそう感じる。最近になって私にも、昔よりも豊かで、色々な感情が芽生えた。切っ掛けはカノンとの出会いから。そう思うと、彼女と出会えて良かった。

 

「⋯⋯この幸せな日常が、これからも──」

「てぃ、ティラノスお姉様! 上、上を見てくださいっ!」

 

 私は口にすれば、いつも真逆に作用するのか。オルニスに促されるまま上空に目をやると、いつの間にか、不自然なほど真っ黒な雲が辺りを覆っていた。




用語解説その21
『吸血鬼』
力が強く、オドも高い戦闘種族(民族ではない)。闇の帝王とさえ呼ばれるが、太陽やら流水やら弱点が多い(それでも、木の杭と太陽、銀以外では致命傷にならないが)。
イデアでは過去に暴れたティラノスのせいでほぼ絶滅。眷属を増やして数を維持してるのが現状だとか。
なお、種族特徴が竜など魔物を除いて一番多い種族である。平均寿命は1000年以上。契約を破ることが出来ないらしい。

種族特徴→暗視、吸血、爪と牙、蝙蝠の翼、吸血鬼の魅惑(マインドコントロールのような誘惑)、変身能力、再生能力(大)、自然治癒(闇)、弱点属性(太陽、銀、にんにく、流水等など。この世界にキリスト教はないため、十字架は弱点ではない)

ティラ「滅ぼし⋯⋯え?」
カノン「学園の教科書にも書いてる事だから、本当じゃないの?」
オルニス「オルニスも暴竜英雄伝としてそう聞きましたよー」
ティラ「⋯⋯昔過ぎてかな。覚えが全く⋯⋯待って、英雄伝とかいうその恥ずかしい名前やめて」



※2019/06/03追記:設定の変更に伴い種族特徴に『蝙蝠の翼』を追加
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