最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活 作:百合好きなmerrick
「ティラノス。毎日魔猪食べてたら飽きない?」
夕食を食べ終わった直後、何を思ったのかカノンがそんな事を口にする。急にどうしたのか。いつも食べてる物なのに。それに、魔猪はどの種族にも愛される食べ物だ。美味しければ飽きないと思うのに、とても不思議だ。
「美味しいからいつも食べてたのに⋯⋯?」
「いつも食べてるからだよ。魔猪以外で食事って、森に生えてる野菜とかきのこくらいだし⋯⋯たまには何処かに買い物に行かない?」
心に思った事をそのまま口にしたら、そんな不満が返ってきた。毎日食べてるからこその不満か。こんな生活をもう何百年も続けてきたから私には分からない。だけど、家主として
「オルニスもカノンに賛成です。たまには別のお肉を食べたいですー⋯⋯」
「そうだなぁ。私はもう少し高級な物を食べたいぞ」
ラミアスはラミアスで、何故そんなにも尊大なのか。吸血鬼は貴族が多いと聞くし、その名残だろうか。まぁ、一緒に暮らしていく仲だから、これには慣れないとね。酷ければ矯正させればいいだけだ。
「うーん⋯⋯ディニエルとアリエルは?」
「わ、私は⋯⋯料理がしやすければ⋯⋯」
「何でもいいぞー! 強いて言うならみんなに任せる!」
交代で料理を担当するカノンが言い出し、同じく料理を担当するディニエルは中立の姿勢を取っている。そして、他も賛成2人と中立1人。多数決を取るにしても、負けるのはこちらの方か。なら、仕方ないか。ここは潔く諦めるとしよう。
「はぁ⋯⋯分かった。明日、みんなで買い物行こうか。オルニス、お金──」
「嫌です。オルニスが死ぬまであの宝は手放しません」
「むぅ。私の財宝を使えと⋯⋯?」
「はいっ!」
純粋無垢で悪気のない笑顔で頷かれると、流石の私もこれ以上は何も言えない。何故私が払うのを拒むのか。実は私は国が発行する通貨なんて持ってないのだ。通貨を手に入れるためには自分の宝を割く必要がある。でも、それは嫌だ。とても嫌だ。命と今の家族の次くらいに大切な財宝を、ただの一つも手放したくない。だけど、誰も手持ちがないから仕方ない。
「⋯⋯いいよ、分かった。ここは私が退く。その代わり、次があればオルニスが出してよ」
「嫌です。ティラノスお姉様はオルニスのお姉様ですから、もちろん次も出してくれますよね」
「ぐるぅ⋯⋯生意気な妹⋯⋯」
「珍しく怒ってるところ悪いけど、ティラノスの方が年上なんだし、ね?」
カノンまでもが私を諌めてくる。長生きの欠点。それは誰よりも年上になってしまうから、責任が重くなる事。ちょうど今、私はそれを実感した。と言っても、別に悪い気はしないけど。
「はぁ、分かった。⋯⋯財宝の価値、分かる人いる? 私は金銀財宝どころか光る物なら何でも集めるから、詳しい価値は分からない」
「オルニスは行きたいです! 価値は分かりませんが、興味がありますっ!」
「それなりに価値は分かるから、アタシも付いていくね」
「⋯⋯2人だけかな?」
確認したものの、アリエルとディニエルは食事の片付けがあるからまず来ない。ラミアスもアリエルが来なければ、まず来る事はないだろう。そして、私が考えた通り、アリエルとディニエルは返事に頷き、ラミアスも適当な言葉を返すとそそくさと部屋へと帰って行った。
「⋯⋯じゃあ、付いてきて」
「地下室、初めて行くから楽しみだなー」
「上への階段の下。閉ざされた扉がありますが、それですよね?」
「うん、そうだよ。⋯⋯私と一緒じゃないと、絶対に入っちゃダメだからね?」
2人して「もちろん!」と返すが、どうも信用できない。特にオルニス。まぁ、なんだかんだ言って、彼女はとても信頼できるから、問題は無いだろう。財宝を見た結果、どうなるか分からなくても、信用しなければ始まらない。
「さぁ、行こうか。これから見る事は、他言無用だからね」
そう言って、私は2人を導いた。未だ誰も招いた事がない、私の宝物庫へと。
用語解説その28
『魔石』
魔力を篭めたり、保管することができる不思議な鉱石。大きさによって貯蔵できる量が変わる。宝石のように青白く輝き、希少故に価値が高い。商人達の間で高値で取り引きされるが、そこで流れるのは極一部。ほとんどは王国が独占してるという噂がある。
ティラ「直径10cm程度の物なら保管してる。魔力は込めてないから空だけど」
アリエル「そこはもしものために込めた方がいいんじゃないかー?」
ティラ「込めようとしたら破裂しそうになったから、正確には入れられない」
アリエル「なにそれこえぇー!」