最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活   作:百合好きなmerrick

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竜の生活その40「幼竜、魔術の学び」

 アルナやカノンと外に出て、次はアルナの魔術の勉強だ。本人はまだ何をするか分かってなさそうだけど、今から習うこれは、この世界を生きるなら大切なこと。これを覚えているか覚えていないかで、生存確率は多少変化する。だからこそ、可能なら早く魔術を覚えた方がいいのだけど⋯⋯。

 

「魔術を覚える時、一番手っ取り早いのは体に叩き込むこと。つまり攻撃魔術を受けるわけだけど⋯⋯」

「ティラノスやオルニスみたいな子供の頃から頑丈な種族ならともかく、アルナは危ないからね?」

 

 カノンの言う通り、どれだけ丈夫かも分からない子供相手に、そんな危険な行為はできない。そもそも、彼女の本当の種族も分からないのだから、無茶をしようにも程度が分からない。

 

「うん。それに無理してまで急ぐ必要もないから、ゆっくり着実に進めよう。ただ今の時点でどれだけ魔術を使えるか知っておく必要はある。こんなに小さな子が魔術を使うところ、あまり見ないけど⋯⋯」

 

 戦争中でもあるまいし、実は子供達が魔術を覚える利点は少ない。それなのに生活に便利だの、社会の発展に役立つだの言われて教えられてる場所も多いが。結局は戦うためにある魔術が多い。この大陸では特に戦闘面での力が強い。光を灯す、電気を発生させるなんて生活に便利そうな魔術もあるが、どれもこれも力が強すぎる。光を灯せば高熱を伴い、電気を発生させれば感電は必須。生活に使おうとすれば、専用の小道具が必要になるのだ。

 

 それでも覚えさせようとする理由は、どんな場所でも危険な魔獣が多いから。それに尽きる。

 

「ってことらしいから、アルナちゃん。魔術は使えるかな?」

「⋯⋯?」

「あ、分かんないか⋯⋯。えーっと、魔術っていうのは⋯⋯見ててね、アルナちゃん」

 

 カノンは湖の近くまで歩いて行くと、霧に包まれた湖へ手を突き出し円を描く。

 

「しっかり見ててね、これが魔術⋯⋯下級・炎(フレイム)!」

 

 そして、呪文を唱えるとその円から火の玉が吹き出した。それは手のひらサイズの小さな物だったが、霧を掻き消しながら進んでいく。しかし、それも数秒の間だけで、すぐまた霧に飲み込まれ見えなくなってしまった。

 

「⋯⋯ふしぎ」

 

 それを見たアルナはというと、目を丸くしたままその光景を眺めていた。反応から察するに、見たことすらないのだろう。

 

「ありゃ。反応的に知らない感じかなー。でも、アルナちゃんもすぐ使えるようになると思うから大丈夫だよー。私だって、魔術を使えるようになったのは貴女よりももっと大きくなった時だったしねー」

「念の為に本当に使えないか確認だけしておこう。思い描いた通りに火の玉が飛んでいくから、イメージしやすいように手を前に突き出して」

 

 アルナに寄り添い、彼女の小さな身体を支えながら指示を出す。

 

「⋯⋯そう、そのまま。自然を感じて、身体中を巡る力を感じて。その力を、手に集中させて」

 

 辺りでマナが渦巻く。アルナの小さな身体にオドが満ち溢れ、その手へ魔力が集中するのを感じる。

 

「そして、さっきカノンが唱えた呪文を復唱してみて。下級・炎(フレイム)、って」

「⋯⋯ふれいむ?」

「へ?」

 

 その刹那、何かが爆発するような小さな音とともに、辺りが眩い光に包まれた。




用語解説その40
『ルイン魔術』
文字通り破滅を呼ぶ魔術。生贄を要するものや禁術と呼ばれる蘇生魔術などが含まれる。が、どれもいずれは自分の破滅を招くとされている危険な魔術。

ティラ「1つ知ってるだけでも人生が変わる。もちろん、悪い方に。使えば破滅を呼び込む。使わずともルイン魔術を使える人は珍しいから狙われる。使えたとしても、誰かに知られてはいけない。⋯⋯ちなみに私でも知らない魔術だから、知ってる人はかなり少ないはず」
ラミアス「知ってる奴らはみんな国に捕まったり、権力者に利用されてるだろうなあ」
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