最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活   作:百合好きなmerrick

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竜の生活その42「幼竜の選択」

 アルナの魔術暴走が起きたその日の夜。私は思索に耽ていた。アルナの魔術暴走をどうすればいいのか。どう対策するべきか。そもそも力を抑えようとしたことがない私には難しい話だ。

 

「ふぅー⋯⋯。さて、どうするか」

 

 こういう時は、お風呂で考えるに尽きる。温かいお湯に浸かって、湯気に包まれて。ここなら静かだから、ゆっくり集中できる。視界の情報も聴覚からの情報も、どちらも少ないからより深く。より鮮明に対策を思い描ける。⋯⋯けど、何か思い付いたのか、と聞かれると何も思い付いてない。それどころか、何1つ良い案が思い浮かばない。そもそも他人にものを教えたことが少ない私にとって、教育なんてものは難易度が高すぎる。

 

「はぁ⋯⋯思考が安定しない。教育なんて私にはできないんじゃ⋯⋯」

 

 思わずポツリと愚痴を零す。幼い頃から──多少の例外はあれ──1人で生きてきた私にとって、教育に関する知識は皆無と言っていい。それなのに教えようとしてるのだから、難しいのも無理はない。そう自分に言い聞かせて気を取り直す。さて、と。早く考えて、またアルナに教え⋯⋯。

 

「⋯⋯ん、誰? カノン? それともオルニス?」

 

 声を上げても返事は返ってこない。だけど、確実に誰かはいる。小さいが、確実に物音がする。ということは、2人ではないのか。どっちかなら、返事の1つや2つ、返ってくるはずだから。一体誰だろう。ラミアス⋯⋯はないとして。ここまで無言といえば、もしかして⋯⋯。

 

「アルナ⋯⋯?」

 

 その言葉に反応するように戸が開く。何も考えてないかのような上の空の顔。なんとも言えない、気の抜けた表情。何を考えてるのか本当に分からない。不気味とも思えるその顔は、少し心配になってしまう。

 

「⋯⋯⋯⋯」

「入りたいの? うん、いいよ。でも、少し待ってね。──上級・凍れ(パゴノ)

 

 なんとか表情と行動から思考を察し、慌てて浴槽を魔術で冷やす。火竜の私が入ってるせいで、お風呂はマグマのようなもの。いや、下手するとそれ以上。あまり長く待たせると、風邪を引いちゃうから早く冷やさないと。

 

「⋯⋯だめ?」

「え? ああ、まだダメだよ。⋯⋯うん。冷たい。私はともかく、人ならこれでいいかな。アルナ。お湯を被ってから、入ってきて」

 

 その言葉に静かに従うように、アルナはゆっくりと湯船へ浸かった。その表情が段々と緩んでいき、和やかなものへと移り変わる。

 

「さて、どうして入ってきた⋯⋯とかは説明できないよね。まぁ、別にいっか。お湯、気持ちいい?」

 

 私がそう聞くと、アルナは静かに頷いた。段々、私もこの娘と気持ちが通じるようになってきた。まだ一緒に居る時間は短いけど、ずっと一緒に居るからだろうか。それならちょっと嬉しい。まるで、私の⋯⋯いや。それは違うか。

 

「ねぇ、アルナ。魔術、使いたい?」

「うん」

 

 アルナは思っていた以上に、明確にはっきりと頷いた。心から望んでいる。私にはそう感じられた。無気力で感情の薄い娘だと思ってたが、夢を持つくらいの情緒はあるらしい。それは、私にとっても教育に繋がる嬉しいことだ。

 

「珍しくちゃんと肯定してくれるんだね。そっか、なら私は⋯⋯」

 

 この娘の夢を、なんとしてでも叶えてあげよう。それが保護者である私の役目。と言っても、光が暴走する魔術の対策なんて、まだ何か思い付いたわけじゃ⋯⋯。

 

「あ。思い付いた」

「⋯⋯?」

「対策。時間はかかるけど、確実な⋯⋯ね」

 

 自信満々に、私はアルナ宣言する。これができれば、アルナが魔術を使えると確信して。




用語解説その42
『属性・光』
闇と相反する属性。攻撃、回復、バフ、光源のような補助など様々な状況で使える万能な属性。基本、光線や回復で使われることが多いとか。術者は人間に多い。炎にも光が伴うため、意図せずとも光魔術を使う者は火の魔術が得意なことが多い。逆に闇は一切光が伴わないため、光魔術を使う者は苦手になるという。

ティラ「多分、私達の中だとアルナが一番強い」
カノン「あれだけの爆発だもんね⋯⋯。あれ、もしかして私、アルナより⋯⋯
ティラ「カノン。気にしない方がいいと思う⋯⋯」
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