最強竜っ娘の自由気ままなゆったり生活   作:百合好きなmerrick

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竜の生活その43「幼竜の魔術」

「改めて。昨日のリベンジだよ。カノン、オルニス。サポートお願いね」

 

 アルナの魔術暴発が起きたその次の日のこと。諦めずにいた私は再び庭へアルナを連れてきた。何かあった時のために、オルニスやカノンも同行させて。ちなみにディニエルやアリエルは、ラミアスに料理を習わせると家に居る。どうやら興味を持ったらしいが、どうしてそうなったかは知らない。⋯⋯というか、避けられてるしね、私。無理もないけど。

 

「サポートはいいけど⋯⋯本当に何か策を見つけたの? そりゃあアタシより長生きしてるし、信頼するには充分な力を持ってるけど⋯⋯」

「カノン、ティラノス様ですよ? 信頼していいかと⋯⋯!」

「いや、オルニス。神格化はしないでね? 私も失敗することはある。⋯⋯今回は、失敗するつもりないけど」

 

 そもそも力をつけたこと自体、間違いだったと思ってる。そのせいで、変な神に目を付けられたことが全ての⋯⋯いや。今回はその力──知力が役に立つならいいとしようか。それに、アイツのことは思い出したくないし。

 

「アルナ、準備はいい?」

「⋯⋯じゅんび。うん」

「じゃあ、今回は右手に魔力が集まるイメージ。その右手に、全てを吸い込むようなイメージ」

 

 周囲のマナが渦巻く。昨日と同じく魔力が右手に集中している。

 

「⋯⋯うん、そう。そのまま」

 

 この娘は本当に、覚えるのが早い。言語もそうだけど、魔術すらも言葉だけで理解し、しっかり魔術を行使するまでに至るとは。想像力だけでどうにかなるものでもないから、天性の才能でもあるのだろう。末恐ろしいが、親として信じないわけにもいかない。いや、信じるだけじゃダメか。私がしっかり、正していかなければ。

 

「そのままを維持して。⋯⋯オルニス、何かあった時のために家の防御お願い。カノンもオルニスの防御壁に入ってて。でも、何かあったらオルニスかアルナのサポートをお願いね」

「了解です! カノン、オルニスの後ろにいてくださいねっ」

「うん。⋯⋯任せるからね、ティラノス」

 

 友達の声援を、期待を受けたからには失敗できない。と言っても、私がするわけじゃないから、どっちに転ぶかなんてやってみないと分からないけどね。⋯⋯さて、そろそろいいかな。

 

「みんなやるよ。準備はいい?」

「いいですよ!」

「いいよ。と言ってもアタシは今することないけどっ」

 

 この距離なら安全か。何かあっても、今から唱える魔術なら私はアルナが傷付くことなく相殺できる。私の得意な属性だからこそ、今から唱える魔術と相反するからこそできる芸当。ある意味、運がよかったとも言える。

 

「よし。⋯⋯アルナ、唱えて。一言だけよ。下級・闇(ダークネス)と」

 

 アルナを支えながら、彼女の隣でそう呟く。万が一のためにその右手も支えながら。

 

「──だーくねす?」

 

 刹那、アルナの右手から光が消える。小さな闇の渦が生まれ、周囲の木の葉が風に吹かれるように、アルナの右手に吸い込まれていく。

 

「おお⋯⋯!」

 

 安定している。その実感がアルナにもあるのか、感嘆の声が漏れていた。

 

「よし。じゃぁ、魔術を切ってみよう。集中するのをやめて。それだけで切れるはず」

「⋯⋯⋯⋯?」

「ほら、昨日みたいに⋯⋯って、昨日はビックリして集中切らしただけみたいだね。なら⋯⋯他のこと考えてみて。今してる魔術以外の、何か。楽しいことでも他のことでもいいよ」

 

 そう話すとすぐ、闇が徐々に消え始める。完全に消えた頃、その場には吸い込まれた木の葉が舞い落ちていた。これは完璧だ。完全に、闇の魔術を操り、行使できている。

 

「⋯⋯ビックリ。アルナの魔術、本当に成功してるね。アタシなんか、少し覚悟してたのに。でも、よかったっ

「うん、そうだね。多分、アルナは光の属性に特化した魔力を持ってるんだと思う。それに加えてまだ魔術に慣れてないからこそ、火の魔術を使った時、火に伴う光が暴発した」

 

 だからこそ、今回全く光が伴うことのない闇の魔術は成功した。つまり、光が関係しない魔術なら、暴発することはないだろう。もちろん、他の属性でも特化したものがあれば暴発する危険性はあるのだが。何れにせよ、まずは魔術に慣れて、操作できるようにしてもらおう。闇の魔術は、私が得意な光魔術と相反する属性だから抑えはできる。つまり、練習するには都合がいい魔術だ。

 

「まぁ、今回は成功したとはいえ、まだまだ課題はあるけどね。まずはこれからも失敗しないよう、魔術に慣れてもらうしかないね。そのためにも練習は欠かさないようにしないと。⋯⋯もちろん、カノンも一緒にね?」

「げっ。う、うん⋯⋯。頑張るね!」

 

 意外と、アルナはカノンを追い越すのも早いかもしれない。⋯⋯なんてね。




用語解説その43
『属性・闇』
光と相反する属性。攻撃、妨害、デバフなど搦手が多く存在する属性。トラップや敵の弱体化などのサポートで使われることが多いとか。術者は魔族に多い。闇は吸い込むことに特化してるという話もある。

ティラ「闇は全てを染める属性。吸い込み、何もかもを飲み込む色」
カノン「色? 属性じゃなくて?」
ティラ「例え。つまりは黒色に似た属性」
ラミアス「ちなみに私が得意な属性だな。吸い寄せることができる魔術は、恐らく闇にしかない特性だろう」
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