ストライクD×D   作:オタク浪漫

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お待たせしてスイマセン。仕事の忙しさと気温の変化による体調不良にあいまして遅くなりました。
皆さんも健康に気を付けてください。


旧校舎のディアボロスⅤ

 真夜中の街中を俺と姫柊は歩いている。妹の杏沙(あずさ)が姫柊の歓迎会をすると言い出し、それは遅くまで続いた。それにより部活に行くのが遅くなり部長に連絡したところ兵藤はすでに契約を取りに行ったことを知らされた。一度部室に顔を出してから兵藤のもとに行こうと考えたが部長からそのまま現場に向かってくれて言われために俺たちは現場まで移動しているところだ。

 

「悪いな、姫柊。こんな遅くまでつき合せたりして」

 

「いいえ、先輩の監視は私の任務ですから。それに、今夜の歓迎会は私も楽しかったですから」

 

 そう言って明日菜は笑う。その笑顔を見て俺も杏沙()のいきなりの提案が喜ばれいるようで安心した。

 

「そうか、それは良かった。一生懸命に料理した杏沙(あずさ)も報われるよ」

 

高神(たかがみ)(やしろ)ではこんな機会滅多にありませんでしたから」

 

高神(たかがみ)(やしろ)?」

 

 俺は聞いたことがないことを聞いて首を傾げた。

 

「それって姫柊が前にいた学校のことか?」

 

「はい、表向きは(・・・・)神道系の名門校です」

 

「表向きって・・・裏になにかあるのか?」

 

「・・・獅子王機関の養成所です。獅子王機関については解りますよね?」

 

「ああ、俺の監視を姫柊に命じた国家組織だろ」

 

 俺が不満と文句を含めて言うと、姫柊は苦笑した。

 

「仕方がありませんよ。なにせ先輩は危険人物なんですから。誰かが監視をしておかないといけないんです」

 

「・・・・・俺は平穏な生活したいだけなんだけど」

 

 姫柊の言葉を聞いて俺は脱力ともにため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちは契約相手の家の前に着いた。が、俺の吸血鬼としての能力が異常を報せる。家のドア開いていてそこから新鮮な血の匂いが漂ってくる。

 明日菜も異常に気付き警戒する。

 ! い、いやぁぁぁぁぁぁぁっ!

 家の中から悲鳴が聞こえた。俺は靴も脱がずそのまま上がり込んだ。後ろから姫柊も付いて来る。俺は血の匂いと気配がする部屋に走り込んだ。

 そこには無残に殺された遺体が上下逆さま壁に貼り付けにされていた。体から内臓がはみ出ていて、体に太く大きな釘を打ち付けられている。そして足に怪我をしている兵藤と兵藤の前に立ち庇う金髪の少女。血の匂いを纏っている拳銃と光の剣(ライトセイバー?)持った白髪の男がいた。

 

「兵藤!!」

 

「! 先輩!!」

 

 俺は傷ついている兵藤に駆け寄った。そこに姫柊の止める声が聞こえて立ち止まった瞬間、横から殺気を感じて横に振り向くと白髪の男が光の剣を俺に振り下ろしていた。いきなりのことで反応できず硬直してしまった。

 や、やばい!斬られる!

 男の剣が宗司を切り裂こうと迫る。

 その時、明日菜は動いた。

 ダッ。

 ギィィィィィィぃィィン!

 加速して宗司と男の間に割って入り男の剣を雪霞狼(せっかろう)で受け止めた。明日菜のいきなりの乱入に男は驚き一瞬硬直する。その一瞬の隙を明日菜は見逃さなかった。力を入れて男を弾き飛ばした。

 

「はあっ!」

 

「! ウヒョッ~!?」

 

 弾き飛ばされた男は明日菜の力に驚くも、いとも容易く着地する。そして笑い顔で明日菜たちを見るて喋りだす。

 

「悪魔のお仲間をブッタギリにしてチョパ~しようとしたらイキナリの乱入者~デスカ。邪魔しないでもらいたいんですけど~」

 

「・・・・・その言動と態度。あなた、はぐれ退魔師(エクソシスト)ですね」

 

「そ~ですよ~。俺サマははぐれ悪魔祓いフリード・セルゼンですよ~。堕天使の籠で悪魔を好きに殺せれば俺サマ的にはハッピーですからね」

 

「なぜ、ここの住人を殺害したんですか・・・?」

 

 明日菜は貼り付けにされた遺体を一瞥して問いただした。男、フリードの返答はすぐにかえってきた。

 

「あぁ~ん?そんなの決まってるじゃん。悪魔を呼び出す奴なんて生きているだけで迷惑、百害あって一利なし~、死んであたりまえなんですよ」

 

「! おまえっ!」

 

 男の言いように宗司は怒りが湧いた。この男、フリードは人を殺すことに躊躇いがない。気に食わなかったらどんな人でも殺す奴だ。宗司はそう確信した。

 

「・・・先輩、兵藤先輩とその人をお願いします!」

 

「姫柊!?」

 

 明日菜は槍を男に向けて構えた。それ見たフリードは好戦的な笑みを浮かべる。

 

「なに?俺サマと(やろ)うってんの?いいですよ。悪魔のお仲間なら即有罪死刑決定デ~ス!だから速やかに俺サマに殺されろやぁぁぁ~~!!」

 

「獅子王機関の剣巫としてあなたを捕縛します!!」

 

 獅子王機関の剣巫、姫柊明日菜とはぐれ悪魔祓い、フリード・セルゼンがぶつかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠は目の前の光景に目を奪はれていた。白髪の男の攻撃完璧に見切り紙一重で避けて銀の槍で相手を圧倒している後輩、姫柊明日菜の姿に。

 す、すげぇぇ~!この間のエクソシストとの戦いは速すぎてぜんぜん解らなかったけど明日菜ちゃんってこんなに強いのか!?

 周りを見ると俺を庇ってくれた金髪の少女、アーシアや俺の傍に来た逢魔も俺と同じように明日菜ちゃんに目が釘付けになっている。

 

「~~~~~~~~~!!あぁぁぁぁぁ~~!!おたくなんなんですか!?俺サマの攻撃が当たらないし、そのうえこっちがおされている始末っ~~~!!ふざけんなぁぁ~~~~~~~~!!さっさとくたばれよクソアマ~~~~~~!!!」

 

 自分の攻撃が一向に当たらない状況ににフリードは激怒した。それにより攻撃も大振りになりそれにより隙ができた。明日菜はその隙を見逃さず相手の懐に入り込み、雪霞狼(せっかろう)の柄を腹に叩き込んだ。

 ドガッ!

 

「があっ!?」

 

 どさっ。

 予想外の重い一撃を腹にくらったフリードは膝をついてそのまま前のめりに倒れた。

 

「―――す、すげぇ・・・」

 

「! わわわわっ」

 

「・・・・・姫柊をあまり怒らせないようにしよう」(汗)

 

 明日菜ちゃんの強さに驚いていると、床が青白く光りだした。青い光が走りだし、何かの形を作り出していく。できあがったそれは魔方陣、グレモリー眷属の魔方陣だった。魔方陣が光だし、光の中からオカルト研究部のメンバーが現れた。

 

「兵藤くん、助けにき――・・・もう終わっているみたいだね」

 

「あらあら」

 

「・・・・・無駄足」

 

 木場や朱乃さんに子猫ちゃん!俺を助けるために来てくれたのか!

 

「イッセー!」

 

 部長が俺の前に来た。

 

「ゴメンなさいね。まさか、依頼主のもとにはぐれ悪魔祓いが訪れてくるなんて計算外だったわ。―――! イッセー、あなたケガをしたの?」

 

 部長が俺の怪我に気づく。気づかれた俺は半笑いしながら誤魔化す。

 

「あっ!すみません!その、撃たれちゃって・・・・・でも、明日菜ちゃんが助けてくれましたし・・・」

 

「・・・・・そう。アスナ。また私の眷属の子を助けてくれてありがとう。あなたにまた借りができたわ」

 

 部長はまた自分の眷属()を助けてくれた明日菜ちゃんに礼を言う。

 

「べつに気にしないでください。リアス先輩。それより、この男の処遇は獅子王機関に任せてまらいます」

 

「・・・・本当なら私がしたいところだけど、あなたにまかせることにするわ」

 

「ありがとうございます。先輩たちは兵藤先輩の治療をお願いします。わたしはこのはぐれ退魔師(エクソシスト)が動けないようにして獅子王機関に連絡します」

 

 そう言い明日菜ちゃんは倒れている男に近づく。

 これで助かった。俺はそう思った。だが、

 

「――――――その男を捕まえられるのはまだ困りますね」

 

 危機はまだ続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然聞こえた声に全員動きを止めた。そして声の方、リビングの入口に向くと、あの廃墟で戦ったロタリンギアの殲教師(エクソシスト)がいた。

 

「また会いまみえましたね。悪魔共。そして獅子王機関の剣巫よ」

 

 殲教師の登場に皆が驚く。いち早く平常になった宗司は殲教師、オイスタッハに問いただした。

 

「なんでおまえがここに!?」

 

「そこに倒れている男はついでだが、その少女、アーシアを迎えに来た」

 

「「「!!?」」」」

 

 男の言葉を聞き宗司や明日菜、一誠そして少女、アーシアは驚く。リアスたちは殲教師の発言を聞き警戒する。発言どうりならこの男は堕天使と繋がっているからだ。

 明日菜は相手の真意を探るために尋ねた。

 

「・・・・・・どうゆうつもりですか?殲教師(エクソシスト)がはぐれ退魔師(エクソシスト)、堕天使陣営に協力するなんて」

 

「ふっ、堕天使とはお互いの目的のための一時的な協力関係に過ぎません。その少女も堕天使達に必要な存在。それゆえに迎えに来た。ただそれだけです」

 

「おい!それはどうゆうことだよ。説明しやがれ!!」

 

 オイスタッハの言うないように兵藤がほえた。だが、オイスタッハは体から殺気をだし戦斧を構える。

 

「これ以上悪魔との会話をする必要は我になし・・・・・。今宵この場で神の名のもとに悪魔を断罪する!!」

 

 オイスタッハは一足で宗司たちに接近して戦斧を横に振るった。明日菜は逸早く動き、雪霞狼(せっかろう)をもちいて戦斧を弾いた。

 ギイィィィィィン!

 

「・・・・やはり邪魔をしますか。剣巫!」

 

「あなたのすきにはさせません!」

 

 明日菜とオイスタッハはそのまま互いの武器で討ち合いをする。激しく繰り出される戦斧と槍。俺たちそのため、二人の間に入り込めなかった。

 その状況を皆で見ているなか、朱乃はこちらに近づくものを感じた。

 

「! 部長!堕天使らしきものが複数近づいてますわ!このままでは不利に・・・」

 

「・・・朱乃イッセーとソージを回収して飛ぶわよ。ジャンプの用意を!」

 

「はい!」

 

 部長に促され、朱乃さんが呪文を唱え出した。すると兵藤はアーシアを視線を向け、部長に言った。

 

「部長!あの子も、アーシアも一緒に!」

 

「無理よ。この魔方陣は私の眷属しか移動できないの。ソージは特別に一緒にジャンプできるけど・・・」

 

 ・・・・――――! ちょっと待て、俺は特別(・・・・)。それじゃ・・・・!!

 

「部長!それじゃ姫柊はどうなるんですか!」

 

「っ・・・残念だけどアスナも・・・・」

 

 部長も辛そうな顔している。その顔を見て気づく、部長もつらいのだろう。まだ数日だけのつきあいだが部長も姫柊のことを気に入っていたんだ。

 くそっ!なにか手はないのか?

 

「先輩!」

 

 姫柊が俺を呼んだ。姫柊の方を見ると殲教師(エクソシスト)と鍔迫り合いになっていた。

 

「リアス先輩たちと一緒に脱出してください」

 

「な、何言ってるんだ姫柊!おまえも一緒に「先輩!!」――!!?」

 

「私なら心配いりません。いってください」

 

 姫柊の言葉に俺はやるせない気持ちになる。

 姫柊・・・・・・・・っ。

 

「逢魔くん。アスナちゃんの言うとうりにしよう」

 

「・・・・・いきますよ」

 

 木場と塔城に促されて俺は部長たちの傍に行く。足元の光も強まりがあと少しでジャンプする。

 姫柊をおいていくしかないのかよ・・・・・・・・・・・。

 朱乃さんの詠唱が終了する。床の魔方陣が青く光りだした。

 ・・・・・・・・・・・。

 

「アーシア!」

 

「イッセーさん。また、また会いましょう」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ。

 

「―――やっぱり、やっぱりほっとけるわけねえだろ!!」

 ダッ。

 俺はジャンプする瞬間魔方陣から抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は近くにあったソファーを殲教師(エクソシスト)に投げつける。投げつけたソファーは戦斧で容易く破壊されたが、それでできた隙を見逃さず姫柊は攻撃する。殲教師(エクソシスト)は後方に跳びかわすが、姫柊とのあいだに周いができた。

 それを見た俺は姫柊の傍に駆けよった。俺がいることに姫柊は驚いている。

 

「姫柊!」

 

「! せ、先輩!どうして残ったんですか!?」

 

姫柊(後輩)を残していけるか、このバカ!」

 

「バッ!?―――・・・・どちらがバカなんですか!先輩は足手まといにしかなりません!そんなことも判らないんですか!!」

 

 俺と姫柊は言い争いになる。

 

「だいたい先輩は考えなしなんです!自分の存在が世界にあたえる影響を全く理解していません!」

 

「俺は普通に生きたいだけだ!世界とか影響とかしるわけないだろう!」

 

 お互い一歩も引かずに言い合う。その時、俺と姫柊の周りが光りだした。

 

「な、なんだ!?」

 

「! これは・・・・!」

 

 光はさらに強くなり、あまりの眩しさに目を瞑ってしまった。だが、光すぐに治まった。目を開けるとそこははぐれ悪魔がいた廃屋の部屋だった。

 

「・・・ここ「転移させてもらった」・・!殲教師(エクソシスト)!!」

 

 俺たちの後方に殲教師(エクソシスト)がいた。

 

「あの場所では死闘(やり)づらかったのでね。此処なら堕天使(奴ら)の邪魔もない」

 

 ブン。

 オイスタッハは戦斧を勢いよく振るう。それにより埃と砂塵が勢いよく舞う。

 

「心おきなく()の敵を断罪することができるというもの」

 

 オイスタッハの体から殺気があふれる。

 殺気を浴びた俺は体が震えだす。

 ~~~ははっ、冷や汗が止まらねえぇ・・・・。

 俺の隣にいる姫柊は平然として、殲教師に雪霞狼(せっかろう)をかまえいる。

 

「・・・一つ聞かせてください」

 

「なんだ?剣巫よ」

 

「あなたは教会側の人間。それならばなぜ彼女を助けなかったのですか?いくら堕天使と共闘していようとも救いを求める者を助けるのがあなた達の務めのはず・・・」

 

「なぜ、私が魔女を助けなければならない」

 

―――――――――――――――――――えっ? 魔女? あの子が?

 

「それはどういう意味ですか!?」

 

「あの少女、アーシア・アルジェントはその癒しの力をもって多くの人々を助け聖女と呼ばれていた・・・・。しかしある日、彼女は傷ついた悪魔を癒し助けた。悪魔を癒す力、そんな力は教会で認められるはずはない。教会は彼女を異端として教会から追放した。それゆえ彼女は魔女なのです」

 

 ! なっ――――――――――――――――――。

 

「なんだよそれ!助けた相手が悪魔だっただけで魔女呼ばわりなのかよ!」

 

「教会と悪魔は敵対同士、・・・決してあいいれないのだよ。真祖よ」

 

 オイスタッハは冷たく言いはなつ。 

 それを聞いた俺は怒り、怒りをこめて問いただした。

 

「おまえの・・・・、おまえ達の目的はいったいなんなんだ!!」

 

「・・・・・・・・・・堕天使達の目的。彼女、アーシア・アルジェントの体から神器(セイクリッド・ギア)を取り出すことです」

 

「「えっ!!?」」

 

 神器(セイクリッド・ギア)を取り出す!?そんなことができるのか!??

 初めて聞いた内容に俺は驚く。

 そんな方法があれば普通の人として生活ができる。力を望まない人にしてはいい案だ・・・・。真祖(こんな)力をもっている俺としては羨ましい。

 俺はそう思った。しかし姫柊は顔をこわばらせている。

 

「・・・・あなたはその意味を理解しているのですか・・・・・・?神器(セイクリッド・ギア)を体から取り出された者は死ぬということを!!」

 

「!!?」

 

 姫柊の言葉を聞いてさっき以上に驚愕した。

 し、死ぬ!?それじゃあの子は・・・・・・・・―――――!

 

「それがどうしたとゆうのですか、堕天使が魔女を道具として使う。ただそれだけのことです」

 

「彼女は道具なんかじゃありません!!!」

 

「なぜ憤るのですか、剣巫よ?貴方も獅子王機関によって育てられた道具ではありませんか?」

 

「・・・・・それはっ・・・・・!」

 

「不要な赤子と子供を金で買い取って、ただひたすらに異種族に対抗するための技術を仕込む。そして戦場に送り出す。まるで使い捨ての道具にように――――それが獅子王機関のやり口なのでしょう?剣巫よ、その齢で、それほどの技と術をてにいれるために、貴方はなにを犠牲に捧げたのです?」

 

 オイスタッハの指摘に明日菜の全身が凍りつく。無言で唇を噛みしめた彼女の頬が、血の気を失って蒼白になっている。

 そんな姫柊を見て俺の中の何かが切れた。

 

「黙れよ、オッサン・・・・・」

 

「教会から異端とされた故に堕天使の道具として使われる魔女(彼女)と、神の祝福を受けて生まれた人を道具に貶める貴方たち。どちらも罪深き存在でしょう」

 

「黙れと言ってんだろうが、この腐れ僧侶(ボウズ)がーーーー!」

 

 咆哮する宗司の全身を、超高熱が包み込む。それにより熱風が渦巻き、急激に温度差によって周りの空気が歪み陽炎が発生する。握りしめた拳から荒々しい灼熱の炎が灯る。そこいらにいる高校生だった宗司の姿が、撒き散らされた濃密な魔力によって、何倍にも膨れ上がったように見えた。それは宗司が初めて見せる吸血鬼としての権能。自らの肉体を媒介にして、眷獣の魔力の一部を実体化させたのだ。

 

「先輩・・・・・・・!?」

 

 撒き散らされる濃密な魔力に、明日菜が圧倒されたように弱々しくうめいた。

 戦斧をかまえたオイスタッハが、少し驚いたように顔を歪めた。

 

「ほう。なんという強大な魔力・・・・。これが真祖の力。いいでしょう――――鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)!彼らに慈悲を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オイスタッハの言葉とともに男の影から体長五メートルほどの巨人が出現した。全身が鈍色の分厚い肉の鎧で覆ったゴーレムだ。

 それを見た二人はあの時に出てきた腕の正体がこのゴーレムだときづく。

 宗司は相手が動く前に炎を纏った拳で殴りかかる。

 ほんのわずかにも漏れ出た程度とはいえ、その炎は第五真祖の眷獣の力である。喰らえばタダじゃすまないものだ。だが、―――――

 

「ダメです、先輩!」

 

 その光景を目にした瞬間、明日菜は思わず叫ぶ。

 次の瞬間、閃光に包まれて吹き飛んだのは宗司のほうだった。

 

「ぐ・・・・・あっ!」

 

 くぐもった悲鳴を上げながら、宗司はボロ布のように吹き飛んでいく。

 宗司がゴーレムを殴りつけた瞬間、凄まじい爆発が巻き起こって、逆に十数メートル近く弾き飛ばされた。

 倒れた宗司は全身から白い蒸気と肉の焼けるような臭いを漂わす。

 

「先輩っ!」

 

 倒れた宗司を庇うように、明日菜は槍を構えてゴーレムに突撃する。

 明日菜の力に呼応して、銀色の穂先が青白い閃光に包まれる。それは降魔の聖光。いかなる魔族の権能をもってしても防げない一撃。だが、

 

雪霞狼(せっかろう)が・・・・・止められた!?」

 

 槍から伝わってくる異様な手応えに、明日菜はうめく。

 雪霞狼(せっかろう)の刃は、ゴーレムにわずかに触れたところで止まっていた。否、完全に止められている。

 

「どうし・・・・―――! これは・・・共鳴・・・・・!? この能力・・・・・!」

 

「気づいたようですね。そうです、剣巫よ。魔力を無効化し、あらゆる結界を切り裂く”神格振動波駆動術式(D O E)„世界で獅子王機関が実用化に成功した対魔族戦闘の切り札です。だが、我が神器(セイクリッド・ギア)鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)。その力は相手の能力を一度だけ複製すること・・・・。それにより”神格振動波駆動術式(D O E)„の力を手に入れることができたのです」

 

「そんな・・・・・わたしのせいで・・・・」

 

 明日菜は激しく動揺した。自分のせいでオイスタッハに秘術の力を与えてしまったこと。それが原因で宗司が傷つき倒れたしまったことに。

 私のせいで―――――――――――

 明日菜はショックをうけて戦意を失ってしまった。その前にオイスタッハが立ち戦斧を掲げる。

 

「さらばだ、獅子王機関の憐れな傀儡よ―――魔族ではなく人である我が手にかかってしになさい」

 

「・・・・・・・ッ!!」

 

 精神を乱していた明日菜は、殲教師の攻撃に気づくのが遅れてしまった。反応したときには、分厚い戦斧の刃が眼前に迫っていた。

 攻撃をかわすことも防ぐことも不可能と悟り、明日菜は覚悟を決めて目を瞑る。

 だが、衝撃と痛みは一向に襲ってこない。

 ポタッ

 目を開けたて見えたもの、それは自分の前に立ち、明日菜を庇い代わりにオイスタッハの攻撃を受けた宗司の姿だった。

 

「せ・・・・先輩・・・・!?」

 

 自分の方に倒れこむ宗司を慌てて支える。だが、抱きとめた瞬間に、ちぎれた胴体が滑り落ちていく。背骨は砕かれ、胴体は肉片に変わり、砕かれた骨が血とともに床にこぼれている。

 ぶちぶちと音ともに内臓と筋肉がちぎれていく。

 そして、宗司の頭部と胴体をかろうじてつないでいた皮膚が、肉体の重みに耐えかね裂けた。明日菜の手の中には宗司の生首だけが残る。

 床には宗司の身体だったものが散乱していた。そのどれもが無残に引きちぎられ、潰されていた。明日菜はその中に一つ、心臓を見た。

 吸血鬼は不老不死。だが、その能力の根源である心臓は見る影もなく魔力の拠り所の血も流れていく―――

 

「そ・・・んなっ、先・・・ぱい・・・どうして・・・いやあああああああああッ!!」

 

 廃墟に明日菜の悲鳴が響いた。




また次も遅くなりそうです。スイマセン。
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