ストライクD×D   作:オタク浪漫

9 / 13
長くお待たせしてスイマセンm(__)mもっと早く書き上げたかったんですが、文才がないのと仕事やら新作のゲームをやっていて遅くなりました。
初の一万越えの文章なので、楽しんでもらえたら幸いです。
今回で旧校舎編は完結します。


旧校舎のディアブロスⅦ

「はぁあああ!!」

 

パキィィィン!

 

 明日菜はリアスと朱乃を拘束していた術式を雪霞狼(せっかろう)で破壊した。それにより解放されるリアスと朱乃。二人に宗司と明日菜は駆けよる。

 

「大丈夫ですか?リアス先輩、朱乃先輩」

 

「ええ、助かったわ。ありがとう。アスナ」

 

「本当に助かりましたわ」

 

 二人の安全を確かめる明日菜。助けられたリアスと朱乃は明日菜に礼を言う。

 

「間に合ってよかったです。部長」

 

「ソージ!無事だったのね・・・・!」

 

「宗司君!・・・ご無事で・・・・・良かったですわ・・・・」

 

 リアスは死んだと聞かされた宗司が生きている事に驚きながらも安堵し、朱乃は宗司の無事を知り目じりに涙を浮かべ喜び微笑む。

 

「まあ、何とか生きてますよ。部長と姫島先輩も無事で安心しましたよ」

 

「あなた達の御蔭よ、ありがとう。・・・でも、どうやって私たちの居場所が分かったの?」

 

「・・・・ちょっとした真祖の力です」

 

 奈織をこちら側に巻き込みたくなかったため、宗司はリアスの質問を適当なことを言い誤魔化した。

 宗司はリアス達の前に出てオイスタッハと堕天使と対峙する。

 

「よう、昨晩ぶりだな」

 

「・・・・まさか生きているとはな、真祖よ。確実に仕留めたのですが・・・・真祖の(不死)を見や余っていたようですね・・・・・」

 

 オイスタッハは鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)を背後に待機させ戦斧を構える。

 

「ならば今度こそ確実に断罪してさしあげます。その悪魔たちと共にな!」

 

「・・・なあ、もう止めにしないか。そんなことを続けてもあんたの家族は戻ってこないんだぜ」

 

 宗司の言葉にオイスタッハは硬直した。そしてすぐに殺気を帯びた鋭い目つきになる。

 

「・・・・どうやら私のことを調べたみたいですね」

 

「ああ、姫柊がアンタの事を獅子王機関に伝えて調べて貰っていたのさ」

 

 宗司はここに来る間に明日菜からオイスタッハの経歴を聞いていた。

 

「あんたは元々は殲教師(エクソシスト)じゃなくてただの神父だったんだよな」

 

 宗司の言葉聞いたリアスと朱乃は驚く。これ程の戦闘力を持つ男が只の神父だったということに。

 オイスタッハは宗司に自分の過去を言われたが、何も反応せず鋭い目つきで宗司を見続けている。

 

「家族と共に神に祈りをささげ普通に暮らしていたあんたは善良な神父だった。だけど、そんなあんたたち家族に悲劇が襲った。外に出かけていた家族がはぐれ悪魔に襲われ殺された。だからあんたは殲教師(エクソシスト)になったんだろう。家族を殺した元凶を生んだ悪魔に復讐するために」

 

「・・・・あの日ことは一日たりとも忘れたことはありません。妻と娘が主の敵である悪魔にその命を奪われたのですら・・・」

 

 宗司の話を黙って聞いていたオイスタッハは静かな声で話し出した。

 

「あの日、妻と娘が買い物に出かけていきました。私は二人を見送り教会で神父としての執務をおこなっていました。それから時が立ち夜になりましたが二人は帰ってきませんでした。二人が戻らず私は心配になり主に祈りをささげ二人の無事を祈っていると教会からの使者が私を尋ねてきました。そして知らされました。はぐれ悪魔により妻と娘が殺されたことを。使者の案内で私が連れて行かれた現場にはには大量の血、そして無残な状態の妻と娘の遺体だった。それを見た私の内に湧き上がってきたのは・・・・・家族を失ったための失意による深い悲しみと・・・・・すべての元凶である悪魔にたいする純粋な殺意だった!!!」

 

オイスタッハの全身から激しい殺気が溢れ出した。あまりの殺気に宗司と明日菜、リアスと朱乃は体が竦んでしまう。

 

「その日から私は残りの生涯を悪魔を滅ぼすことのみに費やした!殲教師に逸早くなるために血反吐を吐き、苦行にも耐え抜き、その試練のなかで我が内にある神器(セイクリッド・ギア)鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)を手にし2年の時を経て私は殲教師となった。そして私は主の敵である悪魔滅し続けて今日まで生きてきたのだ。それを邪魔するものは・・・・誰であろうとも排除する!!!」

 

 オイスタッハは冷酷に告げる。

 その前に立ちはだかったのは明日菜だった。殲教師の動きを牽制するように銀の槍、雪霞狼(せっかろう)を向け、凛と澄んだ声で叫ぶ。

 

「あなたの気持ちは分かりました。ですがあなたが復讐のためだけに悪魔を殺す行為、それは自らの欲望のままに生きるあなたの憎悪する悪魔と同じではありませんか。そんなあなたを亡くなった家族の方が望んでいるわけがありません!」

 

「剣巫よ、私が解らないと言ったがそれならば貴方も同じはずだ。亡くなった我が家族の望みが如何なるか解るのか?いな、解るはずもない。それを知っているのは亡くなった者だけ。それに剣巫よ、貴方は目の前に己の家族を殺した相手がいてそれが己に罪の所業も気にせず自由に生きていて許せるのですか?」

 

 オイスタッハの声から、隠しきれないほどの怒り滲み出る。

 明日菜の背中に、一瞬だけ動揺が走る。剣巫として育てられた明日菜は、肉親の顔を知らない。オイスタッハは、それを知った上で明日菜を挑発しているのだ。

 

「・・・・てめえぇ・・・!」

 

 それを聞き激昂した宗司はオイスタッハに詰め寄ろうとする。

 だがそれを、明日が腕を伸ばして静止させた。大丈夫、というふうに強気で微笑んでみせる。

 

「もはや言葉は不要・・・。私の邪魔をするなら悪魔諸共葬るまで・・・鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)!」

 

 オイスタッハの命令を受けて鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)が動き出す。

 

「はぁ・・・結局こうなっちまったか・・・」

 

 嘆息する宗司。だが、そんな態度と裏腹に顔は笑っていた。

 野生の獣ように獰猛に歪めた唇の隙間から、牙がのぞき、瞳が眩い真紅に染まる。

 

「・・・・けどよぅ、おっさん忘れてねえか。俺はあんたに胴体をぶった斬られたんだぜ、その借りをまだ俺は返しちゃいないんだ。鬱憤が溜まってのはあんただけだと思うなよ!」

 

「・・・・この能力(ちから)は・・・!」

 

 オイスタッハは表情を歪めた。

 宗司の全身から激しい熱風が吹き荒れる。宿主の血の中に棲まう眷獣が宿主の意思と呼応してその力を解放しているのだ。

 

「さあ、始めようぜ、おっさん――――こっからは第五真祖( オ レ )戦闘(時間)だ!」

 

 業火をまとった腕を掲げて、宗司が吼える。

 宗司に隣に寄り添うように雪霞狼(せっかろう)構えて、明日菜は悪戯っぽく微笑む。

 

「いいえ、先輩。わたしたちの聖戦(時間)です!」

 

「――――あらあら、それをゆうならなら私たちの黙示録(時間)ですわ」

 

 後ろから朱乃の声が聞こえた。後ろを見ると朱乃が前に出てきて、明日菜と反対側の宗司の隣に寄り添うようたった。

 それに宗司と明日菜は驚く。明日菜は反対側にいる朱乃に慌てて尋ねた。

 

「朱乃先輩、前に出てきて大丈夫なんですか?」

 

「ええ、大丈夫ですわ。部長は一誠君の方に行きましたわ。・・・こちらに罠があったようにあちらにも何かあるかもしれないからと・・・。私は二人に協力するように言われましてここに残りましたの」

 

 宗司は後ろをチラ見して確認するとすると確かに部長の姿は何処にもなかった。

 おそらく俺に気をとられているうちに往ったんだんな、ぶち・・・・~~~~~~!!

 隣から突如感じたプレッシャーに宗司は恐る恐る隣に立った朱乃を見ると笑顔で全身から危険なオーラを放っていた。

 

「ひ、姫島先輩?」

 

「うふふ、先程の御礼を存分に返さしてもらいますわ。うふふふふふふ」(^^♪

 

 そう言い朱乃笑顔では右腕から電撃を迸らせている。

 それを見た宗司は何か薄ら寒いものが背筋を奔った。

 

「・・・・・・・・・む、無理をしないでくださいね。姫島先輩」

 

「うふふふ、わかってますわ」(^^♪

 

「話はそこまです。いきますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初に仕掛けてのは、明日菜だった。

 雪霞狼(せっかろう)を構えた明日菜は、閃光の如きの速度で神器(セイクリッド・ギア)鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)と向かった。鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)は明日菜は敵と認識して迎撃する。

 

ズドン!

 

 公園全体をも振動させるほどの拳撃が明日菜に繰り出される。

 しかし明日菜は、その攻撃をしなやかに舞うように受け流した。

 雪霞狼(せっかろう)―――七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)に刻印された神格振動波駆動術式(D O E)鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)を、神器(セイクリッド・ギア)の核ごと貫こうとする。

 

ギィイイイイイイイン!

 

 だが、ゴーレムの体も同様の神格振動波駆動術式をまとうことで、雪霞狼の突きに耐えていた。

 魔族に対して致命傷を与え魔力無効化術式を組み込まれている雪霞狼の攻撃は、ゴーレムの鋼の体の硬度もあって傷すらつかなかった。

 ・・・・・やはり、身体全体に神格振動波駆動術式の結界があってさらに、あの鋼でできた身体の硬度で傷一つつかない。先輩・・・・!

 明日菜は戦いながら宗司の心配をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら、この程度ですの?」

 

 宗司と明日菜の上、結界内の上空で朱乃と堕天使ドーナシーク、ミッテルト、カラワーナが対峙していた。

 朱乃は笑顔で微笑んでいるが、堕天使の三人は身体のあちこちが焦げついている。

 朱乃と堕天使との戦いは、朱乃の圧勝だった。朱乃は堕天使に雷を放ち、堕天使達も光の槍を投げ応戦する。だが、朱乃は雷で光の槍を打ち消し、さらに雷を堕天使に放ち続けた。朱乃の攻撃に堕天使達は対応できず追い込まれていった。その様子に朱乃のドS心を刺激する。その結果、堕天使達は朱乃にボロボロにされて今の状態になった。

 

「くそっ、なんなんだあいつは!」

 

「まさかこれほどとは・・・・ッ」

 

「こんなこと聞いていない!」

 

「うふふふ////、まだまだ元気そうですわね。これならさらに強くしても大丈夫ですわね////」

 

バチバチ。

 

 朱乃は恍惚した笑みを浮かべて右腕から激しい雷を発生させる。

 それを見た堕天使達は顔を青ざめさせる。

 堕天使と相対しながら朱乃は下の二人を心配する。

 ・・・・・こちらはどうにかなりそうですわね。宗司くんと明日菜ちゃんは大丈夫でしょうか。ここは早く倒してしまいましょう。・・・・・でも////

 堕天使達の青ざめた表情を見て朱乃は頬を染め舌なめずりをする。

 そんな顔を見てしまいますと・・・・ますます痛めたくなりますわ////

 

「あらあら、そんな顔を見てしまいますと・・・ますます嬲りがいがありますわ////いきますわよ////」

 

ピシャ~~~~~ン!!

 

「「「ギャアアアアアアアアアア!!!」」」

 

「オ~~ホホホホホホッ////」

 

 空に堕天使の悲鳴と朱乃の笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!」

 

 高熱の熱風を撒き散らしながら、宗司はオイスタッハに殴りかかる。

 明日菜が鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)の相手をしている間に、宗司が、鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)の主であるオイスタッハを倒す。それが宗司達が最初に考えた作戦だった。現場に堕天使もいたのは計算外だったが、朱乃も加わることで作戦変更せずにすみ、宗司はオイスタッハに一人挑んだ。

 

「ぬぅん!」

 

ブン!

 

 オイスタッハは、敏捷な動きで宗司をかわし、逆に戦斧で反撃してくる。

 

「うおっ!」

 

 戦斧の風圧に耐えながら避ける宗司はオイスタッハの実力に舌を巻いた。

 

「にゃろっ」

 

「貴方の魔力は強大だ。しかし・・・私を捕らえるには命中率掛けていますよ。まるで素人だ」

 

「悪かったな、素人で!」

 

 目に物見せてやる!

 宗司は魔力で掌にバスケットボールサイズの火球をを作り出し、両手で押し潰し野球ボールサイズする。そして野球の投手(ピッチャー)のフォームをとった。

 それを見たオイスタッハは訝しがる。

 

「何のつもりですか?」

 

「へっ、―――くらえ!」

 

 宗司はオイスタッハめがけて火球を投げた。

 一直線に来る火球にオイスタッハは戦斧のによる風圧で掻き消そうと戦斧を振るう。だが、直前に火球は落下した。

 ――――――――!!

 

ドン!

 

 投法の一つフォークボール。それにより振った戦斧は空振り、オイスタッハの足下に火球が当たり爆発した。

 

「どうだ!」

 

 直撃ではなかったものの殲教師から一本とれたことに宗司はニヤケ顔をする。

 たちこめる爆煙。その中からオイスタッハが出て来たが、今の一撃によりオイスタッハは表情を強張らせていた。

 

「・・・なるほど、先程の言葉は撤回です。認めましょう・・・貴方はやはり侮れぬ敵だと―――ゆえに相応の覚悟をもって相手をしましょう!」

 

 オイスタッハのまとう法衣の下に着こんだ鎧が黄金の光を放ち出した。

 なんだ・・・?鎧から黄金の光が・・・―――――――!!

 

ドジュウ!!

 

「があッ!!!」

 

 光を直視した宗司の瞳に激痛が走り、光を浴びた肌が焼ける。

 

「”要塞の衣(アルカサバ)„ 教会の技術によって作られた対魔の光の装甲です。これもちて我が障害を排除する!」

 

「くそっ、そんなもんまで隠してやがったか・・・・」

 

 光による激痛に悶えながら宗司は言う。

 そんな宗司にオイスタッハは近付き、戦斧を振り上げたげ、

 

「今度こそ終わりです。真祖!!!」

 

 勢いよく宗司に振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーレムと戦闘をしている明日菜は宗司の危機に焦った。宗司の助けに入りたいが、ゴーレムを抑えこむのだけで精一杯の状況だった。戦斧を振り下ろされる宗司の姿に明日菜は叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上空の朱乃も宗司の危機に気づいた。助けようとするも距離があり、魔法でも間に合わない。朱乃は殲教師が宗司に止めさそうとする光景に叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「先輩/宗司君!!」」

 

 戦斧が宗司を仕留める僅かな時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾクッ!?

 

バッ

 

 なんだ・・・今のは・・・?

 オイスタッハは宗司が放つ異様な気配に気づき、宗司から咄嗟に離れた。

 宗司は身体をふらつかせながら立ち上がった。

 

「・・・・・さすがだな。そういうことならこっちも遠慮なくいくぜ。・・・くたばんなよ、オッサン!」

 

 殲教師目がけて突き出した宗司の右腕から鮮血を噴き、右腕全体が赤黒くなり蒼白い紋様が浮かびあがる。

 

「”終焉の暁(エンド・ローウン)„ の血脈を受け継ぎし者、逢魔宗司が、今こそ汝を縛めより開放する!!」

 

 鮮血は、閃光を放つ超高熱に変わる。これまでの熱風や炎と比較にならない膨大な熱量と衝撃。第五真祖の眷獣。

 7年前のあの一件から一度も出さなかった己身に宿る最凶の眷獣。もう二度と使うことはないと思っていた力。それを今、行使する。

 

疾く在れ(出やがれ)、第5の眷獣 ”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)―――――!!!」

 

『ガァオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宗司たちのいる公園から離れたビルの屋上に寝間着姿の少女がいた。本来見えないはずの公園を少女の瞳には公園内の光景がハッキリ見えていた。

 少女は公園内の戦いを無表情で只見ていただけだった。だが、宗司が眷獣を出した姿を見た瞬間、今まで無表情だった少女の顔に笑みが浮かんだ。

 

「・・・”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)・・・・・7年か。・・・短いようで長いものだったが、ようやく使ってくれたか。・・・あの赤き(ドラゴン)の宿す少年には感謝しなければいけないな・・・・・僕の(眷獣)を存分に揮ってくれ。そして・・・・・僕を楽しましてくれ、古城のように・・・期待しているからね。僕の半身(ソウジ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 出現したしたのは、超高熱の獣―――――

 戦車ほどもある巨体は、荒れ狂う超高熱の魔力の塊。その全身から目が眩むほどの赤き閃光と近づけぬ程の熱波と熱風を放ち、それにより発生した灼熱の業火を纏い、その咆哮は巨大爆発ように大気を震わせる。

 

「!・・・綺麗」

 

「!! あれは―――――――」

 

 宗司の出した荒々しくも雄々しく輝く眷獣の姿に明日菜は見とれてしまった。

 朱乃の方は眷獣の姿を見て絶句した。

 私は・・・あれを知っている・・・!

 朱乃は今まで忘れていた記憶を思いだした。禁忌の子として殺されそうになったあの日、私たち母娘を助けてくれた少年が襲撃者の前に出て呼び出した・・・・赤き閃光の巨獣。そう、宗司()が呼び出した存在と同じだった。

 間違い・・・ありませんわ!・・・・・・7年前に見たアレと同じですわ。では、あの時助けてくれた少年は・・・・・・宗司君。

 朱乃は宗司を見る。朱乃の記憶の少年と宗司の容姿が重なり、朱乃は確信した。7年前自分と母を助けてくれた少年は宗司だと。そして、あの時の少年がまた自分を助けてくれている。朱乃はそう思うと胸が高鳴った。

 

「なんというすさまじい魔力、召喚術の類か・・・・・これが真祖の力・・・・!しかし、これほどの力をこの結界ないで使うとは、無謀な!」

 

「・・・・・・・行くぜ」

 

 宗司の命を受けた眷獣が動く。高熱の獣の前足が、オイスタッハを目がけて振り下ろされる。

 

ボッ!

 

 その攻撃は、彼をかすめただけだった。だが、それだけでオイスタッハの巨体が数メートル撥ね飛ばされていた。

 

「くっ!」

 

 なんという速さ・・・・そしてこの破壊力!

 火柱が生み出す衝撃波で装甲鎧が火花を散らし、その圧倒熱量が生み出す高温で戦斧の刃が融解する。

 その攻撃の余波は、公園内にも及んでいた。

 超高熱により発生した熱波と熱風と炎が撒き散らされた。設置されていた街灯や防犯カメラはひとたまりもなく吹き飛び、周りの木々にも炎が当たりそれが火種となり燃え出した。

 

「ちっ、鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)――――!!」

 

ダッ

 

「まずい!先輩!!」

 

 主の呼びかけにゴーレムが動いた。明日菜の攻撃を振り切りって、鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)が宗司の眷獣の前に立ちはだかる。

 目の前の存在を敵と認識した”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)が攻撃を仕掛けた。巨大な眷獣の前足が、灼熱と化してゴーレム型の神器(セイクリッド・ギア)を殴りつける。

 

ドガ!

 

 その瞬間、ゴーレムが光輝きだした。

 神格振動波の防御結界が、宗司の眷獣の攻撃を受け止め、

 

ギィィィィィィ バチン!!!

 

反射する―――――!

 ”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)

 ((弾かれた!?))

 

 制御を失った超高熱の魔力が、暴発して結界の上部を襲った。

 

「くっ!」

 

バキャアアアァァァァン!

 

 結界上部で戦っていた朱乃と堕天使達に魔力が襲いかかる。朱乃は咄嗟に全力で魔力障壁で防いだが、堕天使達は対応できず直撃して悲鳴を上げる間もなく一瞬にして跡形もなく蒸発した。魔力はそのまま結界天井部分を破壊した。

 その光景にオイスタッハは歓喜していた。

 

「素晴らしいぃ!!まさかこれ程とは・・・・。これさえあれば如何なる障害も排除できよう!」

 

ガッ!

 

「くそっ!俺の眷獣でも、あいつの結界はやぶれないのかよ・・・・・・!」

 

 宗司は地面を殴った。

 ”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)の一撃を喰らっても、ゴーレムは無傷ままだった。このまま攻撃を繰り返しても結果は同じだろう。

 宗司は自分の不甲斐なさに苛立ち声を震わせる。

 

「先輩・・・・」

 

「宗司君・・・・」

 

 そんな宗司に明日菜と空から降りてきた朱乃がそっと寄り添ってきた。二人の表情にも疲労色の色がこい。明日菜はあれほど強力な神器(セイクリッド・ギア)を相手に生身で戦っていて、朱乃も暴発した宗司の魔力(眷獣)を全力で防いだため当然だった。

 

「悪い、姫柊、姫島先輩。俺、あいつを倒せないかもしれない・・・・・!」

 

 こちらに近づいてくる殲教師とゴーレムを睨めつけながら自分自身の力不足に宗司は悔やむ。

 

「いえ、先輩・・・まだ終わりじゃありません」

 

 明日菜の声に宗司は反応して明日菜を見る。明日菜は何か考え付いたようだ。

 

「わたしに考えがあります。でも、わたし一人ではできません。ですからわたしに二人の力を貸してください!!」

 

「何か思いついたんですの?明日菜ちゃん」

 

「はい・・・」

 

「なら、やってみようぜ。姫柊」

 

 宗司があっさり了承したので明日菜は慌てた。

 

「でも、一か八かなんです。それも一回きりの、そんなあっさり決めて・・・」

 

「大丈夫だ。俺が、俺たちが力を貸す!!なっ、姫島先輩!」

 

「ええ、もちろんですわ」

 

「それに、・・・今は俺たちの聖戦(時間)だろ。なら負けるわけがないだろ・・・・・・?」

 

「うふふふ」(^^♪

 

「先輩・・・・」

 

スッ

 

 二人の言葉を聞いて明日菜は前に出る。

 

「―――――獅子(しし)神子(みこ)たる高神(たかがみ)剣巫(けんなぎ)が願い(たてまつ)る」

 

 銀色の槍とともに、明日菜は舞う。神に勝利を祈願する剣士のように。あるいは勝利を授ける巫女のように、彼女は舞う。

 

破魔(はま)曙光(しょこう)雪霞(せっか)神狼(しんろう)(はがね)神威(しんい)をもちて(われ)悪神百鬼(あくじんひゃっき)を討たせ給え!」

 

 粛々とした祝詞ともに、明日菜の槍、雪霞狼(せっかろう)が輝きを放ち始める。

 仄白いその光は、あらゆる結界を切り裂く神格振動波。その形は細く、鋭く、まるで光り輝く牙。

 明日菜はゴーレムに向かって駆けた。

 明日菜の行動にオイスタッハは訝しんだ。

 

「なんのつもりですか?無駄なことを、叩き潰しなさい鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)!」

 

 鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)が明日菜にその両腕を伸ばした。蛇のようにうねりながら明日菜を襲った。

 

ドゴ!

 

タ タン

 

 明日菜はそれをしなやかな純白の雌狼のように、音もなく宙を舞い躱す。

 ゴーレムの頭上に到達した明日菜はそのままゴーレムを覆っている結界に雪霞狼(せっかろう)を突き刺した。

 

雪霞狼(せっかろう)!!」

 

ドッ!

 

ギィイィイィイイイイイイイイ!!

 

チリ チリ チリ

 

 同じ神格振動波駆動術式(D O E)がぶつかり合いせめぎ合う。

 

「くっっ、~~~~あ あああああああああ!!」

 

ズ ズズ ズン!

 

 せめぎ合いの拮抗が破れた。銀色の槍が、ゴーレムの防御結界を突き破って、顔の無い頭部に深々と突き刺さる。

 

「!! 今です!先輩!!朱乃先輩!!」

 

「そういことか!!朱乃先輩いくぜ!!」

 

「!? ・・・うふふ///ええ、いきますわ!!」

 

 明日菜の呼びかけと今の状態で明日菜の狙いに気づいた宗司と朱乃。明日菜は雪霞狼(せっかろう)をゴーレムに突き刺したまま、飛び退いた。

 

”獣王の紅玉„(ライガー・アンスラックス)!!!」

 

「雷よ!!!」

 

 宗司の命令より疾く、超高熱の眷獣が動いた。朱乃も魔力全開で雷を放つ。明日菜が突き刺した槍の柄に眷獣の牙と雷が直撃する。

 

『ガァオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

バチ バチ バチバチ バチ!!

 

――――――――――!! 槍で熱伝導させ避雷針代わりにもしただと・・・・・・・・!?

 槍から超高熱に姿を変えた眷獣の魔力と朱乃が放った雷がゴーレムの内部へと流れこむ。

 内部で暴れ狂う真祖の眷獣の圧倒的魔力と朱乃の雷に神器(セイクリッド・ギア)鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)の限界を超えた。

 

ビキ ビキビキ!

 

 ゴーレムの体に亀裂が走った。亀裂からは灼熱の業火が噴出し、ゴーレムを一瞬で包みこみ焼き尽くし、消滅させた。

 

鋼の巨兵(シュタール・ゴーレム)・・・・・ッ!?」

 

 オイスタッハは、呆然とそれを見つめてうめく。だが、その顔は一瞬で憤怒に変わり、全身から殺気が溢れ出した。

 そしてゴーレム破壊の引き金を造った明日菜を睨めつけた。明日菜は力使いきったために息絶え絶えの状態だった。

 

「小娘が・・・」

 

ダッ

 

 明日菜を仕留めるために明日菜に向かって駆けだした。それを見た明日菜は動こうとするが、身体がおもうように動かない。殲教師は目前まで迫ってきた。

 オイスタッハは走った勢いを利用して戦斧を明日菜に振り下ろそうとする。明日菜は恐怖で硬直した。

 

バチ バチ バチ!!

 

「!? ぐあぁあ・・・・!!」

 

「先ほどのお返しですわ!」

 

 その時、振り上げた戦斧に朱乃の放った雷が落ちた。戦斧を握った手を伝って雷が全身を奔る。

 オイスタッハは激痛の中力を振り絞り、戦斧を手放して感電から逃れた。しかし、雷によるダメージは大きく身体の所々が焦げ、硬直した。

 

ザッ

 

「!!」

 

 そこへ明日菜と殲教師の間に宗司が割ってはいる。

 

「終わりだオッサン!」

 

バキャ!

 

 追い打ちのように、宗司がオイスタッハの顔面を殴りつけた。

 力任せの渾身の一撃に、屈強なオイスタッハの身体が、吹き飛んだ。何度かバウンドして、ついに倒れる。

 

「俺たちの・・・勝ちだ!」

 

 倒れた殲教師にむかって宗司は自分たちの勝利宣言をする。

 オイスタッハは倒れたままゆっくりと顔を上げ、こちらを睨んできたが、

 

「く・・・私はまだ・・・」

 

ドサッ

 

 力尽き沈黙した。

 こうして宗司たちとロタリンギアの殲教師、オイスタッハとの死闘は宗司たちの勝利により終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタたちの思惑どおりにいかなかったな。まっ、結果だけみれば予定どうり・・・・ってことかい?」

 

 夜の街中のビルの屋上に一人の男子生徒の姿がある。

 ヘッドフォンを首からぶら下げた少年だ。

 柵によりかかる彼の隣には、一羽の(カラス)

 柵にとまったその烏に少年は気安く話しかけている。

 

「本来なら姫柊明日菜という血の伴侶を得た逢魔宗司は眷獣一体を掌握。こうしてまた一歩、完全な第五真祖に近づいた、シナリオはそうだった。だが、宗司はすでに眷獣の一体を掌握していた。そのおかげでアンタたちは計画がずれちまった。・・・・しかし、宗司の奴もあんな化け物をこんな街中で使うなよな、下手したら街が焦土になっちまうのによ。だいたいアンタらもなんであんなのを目覚めさせようとしてんだ・・・・」

 

 烏は黙って少年の言葉を聞いている。漆黒の羽根の覆われたその体は、奇妙に滑らかで平坦だった。角度によっては、厚みのない、ただの折り紙(ペーパークラフト)のようにも見える。それは本物の鳥でない。呪力によって生み出された式神だ。

 

「だいたいタイミングが良すぎるだろう。どうせあんたらのことだ、ロタリンギアの殲教師が日本に来ていて魔族狩りをしてたことも最初から知ってたんだろ?」

 

 少年は非難するような口調で烏に問いかける。

 

「そんなとこにわざわざ正義感の強い見習い剣巫を、宗司の監視役として送り込むなんて、魂胆バレバレすぎるぜ。まったく、あんな真面目な子にひでえ仕打ちをしやがる」

 

『・・・・それでも、真祖はすでにこの国に存在している。ならばそれを制御する手札は一枚でも多いほうがいい』

 

 烏が不意に口を開いた。嗄れた老人のような声だ。

 

「姫柊明日菜は、眠れる怪物の首につけられた鈴、といわけだ」

 

 憐れむように嘆息して、少年は街に視線を向けた。

 

「たしかに宗司の性格じゃ、あの健気な子を邪険にはできないだろうし・・・・まさか彼女も獅子王機関が、自分を第五真祖の愛人にするつもりで送りこんだとは思っていないだろうな。可哀相に」

 

『この国に、夜の帝国(ドミニオン)を築ける真祖が生まれることなど有史以来かつてなかったことだ。国を滅ぼさぬために、せいぜい上手く立ち回らねばな』

 

 くくく、と烏が嗤うように喉を鳴らす。

 冗談めかしたその口調には、しかし拭いきれない重苦しさが含まれている。

 彼らにとっても、この計画は、大いなる厄災を招き寄せかねない諸刃の剣なのだ。餓えた獣の群れに肉をぶら下げて突っ込むような気分の賭けだったはずだ。

 しかしどうやら今のところ、多少違うが事態は彼らの望むように推移しているらしい。

 姫柊明日菜は、確実に逢魔宗司との距離を縮めている。

 

『それにあの娘が哀れなだけとは限らんさ。帝王の伴侶とは、すなわち王妃ということだからのう』

 

「まあ、そうかもしれないが・・・・・俺としては少々複雑な気分だぜ」

 

 そう言って少年は、ある方角を見る。そちらは彼の幼馴染みの家がある方角だった。逢魔宗司の真の監視者たる彼が、こんな報告をしているとを知ったら、おそらく彼女は怒り狂い、自分もタダじゃすまないだろう。そんな未来を想像したらゾッとした。

 

『さて、自らの悦楽ためなら一国すら滅ぼす第五真祖。その出現が吉と出るか凶と出るか―――逢魔宗司。そう言えば北欧では逢魔、逢魔時を黄昏というのだったな。黄昏、世界の終焉(ラグナロク)を意味するのだったな・・・・ふ、面白い・・・・・」

 

 人間と神々を滅ぼす大きな災禍となる存在か、今しばらく見定めるとしよう―――

 そう言い残して、烏の姿が解けた。

 ただの紙となり、ふわりと風に舞い上がる。

 暗い夜空に吸いこまれていくその姿を見送って、少年はうんざりしたように髪を撫でつけた。

 

「はぁ~~、やれやれだぜ・・・・前途多難だな、親友(ブラザー)

 

 どこか茶目っ気のある彼の呟きが、無人の屋上に吹く風の音で消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逢魔宗司は、放課後の学生食堂の端っこの席で突っ伏している。

 この間の課題忘れにより課題を追加され、課題処理に没頭するはめになったのだ。

 放課後の学校は運動部の部活動の生徒で賑わっている。

 そんな彼らを横目で見ながら、宗司は深々と溜息をつく。

 

「疲れた・・・・怠い。眠い。灰になる・・・・なんで俺だけこんな目に・・・・・」

 

 

 テーブルの上に広げた参考書を眺めて、その量に憂鬱になる。

 唯一の救いは、奈織が俺のためにわざわざ放課後居残って、課題の内容を教えてくれることだ。

 課題のことで頭を悩ませていた俺を見て、久瀬が憐れんで 俺に任せておけ っと言って奈織に話しかけた。最初は奈織は嫌がっていたが、久瀬が何かを奈織に言うと奈織は顔を何故か赤くした。久瀬はそんな奈織にさらに何かを言うと、奈織は俺の手伝いを了承した。

 俺は久瀬にどうやって奈織を説得したのか尋ねると、 乙女心を利用しただけさ っと言ったが、俺には意味が理解できなかった。

 そして今は、その奈織は、飲み物を買うために購買部のほうへ出かけたところだった。

 

「・・・・・・・」

 

 あたしが戻ってくる前にやっとけ、彼女に言われた課題から、宗司は目を逸らす。そして今日までのことをふりかえった。

 

「・・・・あれから3日か・・・」

 

 ロタリンギアの殲教師、オイスタッハとの死闘からもう3日が過ぎていた。

 あの後、殲教師の身柄は姫柊の提案で獅子王機関に一任することになった。この町はグレモリーの管轄で、悪魔側で決めるのが普通だが、男は教会の関係者のため、悪魔側で処理すると教会の方との関係がさらに悪化ことになるので、人間の組織である獅子王機関の方で処理すれば、教会側とも対話ができスムーズに交渉できるためだ。

 以外にもその提案を部長はあっさり了承した。なんでも俺と姫柊に助けられたからその礼だということだ。

 そしてオカルト研究部に新しい仲間が加わった。

俺と姫柊がいない間に殲教師が言っていた、シスターの少女の神器(セイクリッド・ギア)を抜き取る為に堕天使達が儀式を執り行った。兵藤は木場と子猫と一緒に少女を助けに向かったが、兵藤たち目の前で儀式は完成してしまい、少女を救えなかったそうだ。その後、神器(セイクリッド・ギア)を奪った堕天使を兵藤が倒し、そして死んだ少女を前に悲しんでいた兵藤に部長は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を見せて少女を悪魔として転生させることを話、僧侶(ビショップ)の駒を少女の胸に置き、眷属として転生させ助けた。

 アーシア・アルジェント。 癒しの神器(セイクリッド・ギア)聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の使い手で、元聖女と呼ばれたシスターの少女で、グレモリー部長の僧侶(ビショップ)の眷属になった少女だ。

 アーシアを紹介された時、俺を見てアーシアの方が驚いた。なんでも殲教師からは俺は死んだと聞かされていたという。死人が目の前にいれば確かに驚く。そんな小さいアクシデントもあったが、アーシアは俺と姫柊ともすぐにうちとけた。

 アーシアは兵藤の家にホームステイとなり、転入生という形で駒王学園の二年生として兵藤のクラスにはいった。

 あと、アーシアは兵藤にゾッコンみたいだ。

 そして、・・・・ここ3日ほど姫柊は学校に来ていない。

 彼女は、逢魔宗司()監視(任務)とは無関係の戦闘をし、それが原因で獅子王機関の秘奥兵器である雪霞狼(せっかろう)を大破してしまったために自分は俺の監視役を解任されるだろう、そして自分より優秀な方が代わりが来てくれます、と言っていた。

 俺としては姫柊を引き留める理由はなかった。だいたい彼女のような子が監視役をすること自体がおかしい。

 しかし、彼女の替わりの攻魔師が俺の監視役として派遣されてくるというのは、なんでか不愉快で嫌な気分だった。

 だいたい姫柊の代わりってなんだよ。俺は・・・・・・・・・・・・・・・そっか・・・。

 そこで俺は気づいた。

 

「姫柊が隣にいるのが・・・いつの間にか当たり前になっていたんだ・・・」

 

 俺は顔を上げ、空を見上げる。放課後の時間帯なので空は赤くなってきている。そんな空を見ながら今までの日々を思いだした。

 

「朝から杏沙に怒鳴られて、久瀬や奈織に呆れらながらも課題を手伝ってもらって、オカルト研究部の皆と楽しく活動したり・・・でも、そこに姫柊もいなくちゃ、もう俺の日常じゃないんだな」

 

 俺にとって姫柊という少女がどれほど必要だと今頃になって気づいた。

 だけど、その姫柊はもう・・・・・

 

「先輩」

 

 突然、俺は聞き覚えのある声が聞こえた。俺は驚いて立ち上がり、後ろに振り向くとそこには、

 

「姫・・・柊?」

 

 夕日を背にした姫柊が立っていた。

 駒王学園の制服姿で、背中にギターケースを背負っている。

 

「え・・・・なんで?監視役を解任させられたんじゃなかったのか・・・・・・」

 

「ええ・・・そうなる予定だったんですが・・・・・」

 

 姫柊は背負っているギターケース見る。

 

「今朝の宅配便できれいに修復された雪霞狼(せっかろう)が届いたんです」

 

「・・・それって、もしかしてこれからも姫柊が俺の監視役ってことか?」

 

「そういうことになりますね。実はわたしにもなんでそんな許可が出た理由はわかりませんけど・・・・・・残念でしたか、先輩?」

 

 そう言って姫柊は、からかうような表情で、ふふっ、と笑った。

 俺は苦笑しながら首を振り、

 

「――――そんなわけないだろ、監視役なんて姫柊だけでたくさんだ」

 

姫柊がいることに喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、

 

「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!?」

 

 俺は姫柊の背後を見て全身が瞬時に凍りついた。

 両手に紙コップを持った奈織がいた。その顔は笑顔だが、彼女の背後からは見えてはいけないものが ゴゴゴゴゴゴっと、効果音とともに出ていた。

 

「あら、なんか楽しそうね。あたしもいれてくれない」

 

「べ、べつになんでもない話だって」

 

「それなら・・・あたしにも聞かせなさいよ。気になるじゃない」

 

 奈織が俺に近づいてくる。その一歩一歩の足音が俺にはカウントダウンに聞こえる。

 

「ま、待て、奈織。これには深い事情が―――――ってか、なんでそんなに怒ってんだ?」

 

 俺は咄嗟に全力で謝ろうとするが、

 

「そんなことも解らないんだ。この・・・・・・・・・バカ宗司!!!」

 

バシャ!

 

「ぶ!?」

 

 奈織は手に持っていた紙コップの中身を、容赦なく俺の顔面にぶちまけた。

 

「~~~~ぐふ!げほ!~~~~っ、目と鼻に入った!!」

 

「先輩、大丈夫ですか?」

 

 姫柊がハンカチで俺の顔を拭いてくれる。

 

「ちょっと、あなた!」

 

「え!?」

 

 奈織が俺だけでなく、姫柊にも詰め寄ってくる。

 

「いい機会だからはっきりさせておきたいんだけど、宗司とはどういう関係なの!?」

 

「わたしは逢魔先輩の監視役です」

 

 二人は見えない火花が撒き散らしながらにらみ合う。

 

「監視!?ストーカーってこと?」

 

「違います!わたしは先輩が悪事を働かないようにですね・・・・・・」

 

「だいたい何よ監視って!?」

 

「監視役は監視役です!!」

 

「~~~ちょっと宗司、何なのこの子!!」

 

「先輩!」

 

 言い争っていた姫柊と奈織が俺に詰め寄って来る。

 俺は二人の迫力におもわず後ずさったが、背中にやわらかい何かがぶつかった。

 

「あらあら、宗司君たら////」

 

「へ?」

 

 俺は後ろを振り向くと、姫島先輩がいた。

 

「・・・~~~!!ひ、姫島先輩!」

 

「うふふふ」(^^♪

 

 俺は急いで先輩から離れようとしたが、姫島先輩は両手で俺を抱きしめてくる。後頭部と背中に先輩のデカい胸のやわらかい感触がもろに伝わってくる。

 

「姫島先輩!?」

 

「宗司君、私の胸・・・触りたかったらいつでも触らしてあげますわよ////」

 

「な、////何言いだすんですかいきなり!!」

 

「うふふふ////」(^^♪

 

 姫島先輩の発言に俺は顔を赤くなったが、

 

「宗司・・・・・」

 

「先輩・・・・・」

 

 目の前の奈織と姫柊を見て顔を青くなった。

 

「宗司!あんたこの子だけじゃなく姫島先輩にも・・・・・!」

 

「先輩!朱乃先輩となにをしているんですか!!」

 

「うふふふふ////」(^^♪

 

 大騒ぎの声に惹かれて、周囲に生徒が集まってきた。

 

「逢魔の奴~~~!」

 

「美女をはべらせやがって・・・・・!」

 

「俺だ。今すぐO・S抹殺計画を始動しろ」

 

「女の子を玩んだのね・・・・」

 

「サイテ~~!」

 

「女の敵よ!!」

 

「あ・・・はは・・・」

 

 周りからの視線を感じながら俺は実感する。

 ああ・・・帰ってきたわ。いつもの日常に・・・

 そう思いながら俺は空を見上げて現実逃避をした。空はただ赤かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様、式の準備は順調ですの?」

 

「ああ、問題ない」

 

「そうですか」

 

「ふふ、リアス。迎えにくいくぞ」




次回からは戦闘校舎のフェニックス編です。また遅い投稿になりますが感想などよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。