Devils front line   作:白黒モンブラン

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―――偶にはこんな日もあっていい


Act86 A little peace

人権保護団体過激派との戦い、MG4の疑い…。

一日で起きた出来事から数十日が過ぎていた。鉄血との戦いが増えた訳ではないが減った訳でもない。悪魔が関わる件に関しては最近は姿を見せずになっていた。とは言え、だらけるのはもってのほか。S10地区前線基地及び便利屋デビルメイクライの生活は変わらない。

そんな日々の中、S10地区前線基地内部訓練場でギルヴァとデビルブレイカーを装備していない処刑人はいた。

先程まで剣の鍛錬をギルヴァに付き合ってもらっていた処刑人であったが流石に「S10地区前線基地の裏ボス」と一部の人形からそう噂される彼が相手ではかなり厳しかった。

まず模擬開始直後では動かずにいたギルヴァであったが、処刑人が攻撃を仕掛けた瞬間一方的な展開になったのは彼女とて想像していなかっただろう。

渾身の一撃は軽々と納刀された状態の無銘で弾かれ、次元斬、次元斬 絶、魔人化を使っていないものの繰り出される居合術を用いた攻撃の数々とエアトリックに反撃する隙も与えてくれず、回避、防御に徹する事にしか出来なかったのだ。

本当に一瞬の隙をついて右腕でのストレートをギルヴァに一撃与え、退ける事が出来ただけであったが。

 

「はあっ…はぁっ……キツ過ぎるだろ…」

 

「この程度で根を上げるとはな」

 

「いや!こっちを殺しかねない位に攻撃仕掛けてきたのはどっちだよ!?」

 

「ならば実戦で敵に待ってくれとでも言うのか?その程度の事が分からんお前ではなかろう」

 

「わかってるよ…んなもん」

 

かなり体力を使ったのだろう。まだ肩で息をしている処刑人を傍らにギルヴァは静かに彼女の右腕を見つめた。

先程の戦闘で一撃を貰ったのだが、その力は予想以上と言えた。無銘で防いだのは良いものの軽く吹っ飛ばされたのだ。処刑人も本気で殴った訳ではない事から本気の一撃は恐ろしいものになるだろうと思いつつも、ギルヴァは己の内で確信した。

 

(実力はまだ粗さが残るが…純粋な力だけで評価するのであれば俺やブレイクを超えるか)

 

恐ろしい太刀を作り上げたものだ、と呟くギルヴァ。

それは処刑人にデビルブリンガーを作り上げた太刀。そしてその太刀を作り上げた製作者へ向かっての台詞であった。

 

 

暫くの鍛錬した後、休憩を取っていた二人。偶然にもギルヴァを探しに来ていた代理人とUMP45が訓練場に訪れていた。地面に座り込み自前で用意していたスポーツドリンクを飲みながら処刑人は近くの壁に凭れ沈黙を保っているギルヴァの方をちらりと見る。

青い刺繡が施された黒いロングコートは変わらないがヘアスタイルは変わっていた。処刑人が初めて相対した時は前髪は目が隠れる程まで下ろされており、長く後ろへと伸ばしつつも一つに束ねていたのだ。

今は長く伸ばしていた髪はばっさりカットされ、下ろされていた前髪も後ろ大きく持ち上げられていた。

何らかの心境の変化でもあったのだろうか。

些細な事ではあるが気になった処刑人はその事を問おうした。その時自身と同じようにその事への疑問を感じ取っていたのか45がギルヴァへ問う。

 

「そういえば長く伸ばしていた髪、ばっさりカットしたんだね」

 

「ああ。代理人に切ってもらった」

 

「ふーん…。まぁ私からしたら今の方が好みかな。ギルヴァの顔がハッキリ見れるし」

 

「…そうか」

 

二人のやり取りを聞き、処刑人はふと疑問に思った。

自身が聞いた限りではギルヴァは代理人を結婚していると。しかし今の状況から察するにギルヴァと45が仲良くやっている。

 

(まさか…?)

 

そう思いそうになる処刑人だが、代理人とUMP45が首に提げているネックレスを発見する。二人共同じものを提げておりチェーンには指輪が通されている。

そこでは処刑人は何となくであるが察した。このギルヴァという男は代理人とUMP45と結婚している、と。

 

(探しに来たって言ってたがよ…その目的ってイチャイチャしたいだけじゃね…?)

 

だがそれを口にする気はない。本人らが幸せなら何ら問題ないのだから。

 

休憩も終わりを告げ、鍛錬もお開きとなりギルヴァはUMP45と共に別の場所へと向かっていった。そして処刑人は代理人と共にスプリングフィールドが店主をしているカフェへと訪れていた。

デビルブレイカーは装備していない為、デビルブリンガーがそのまま露わになってしまっているのだがここに訪れている人形達はさして気にする様子はなかった。それどころか興味本位で触らせてほしいと臆する事もせず処刑人へと声をかける人形がいるしまつ。

この基地に所属する人形達は悪魔が関わる案件で図太くなり過ぎるだろと処刑人は思わざるえなかった。

そして今はカウンターに腰掛け、スプリングフィールドが淹れてくれたコーヒーを飲んでいた。その隣では代理人が座っており、コーヒーではなく紅茶を飲んでいた。

 

「右腕の調子はどうですか?」

 

「まぁボチボチと言った所だ。訓練場で色々試してるがよ、わりと応用できる事が多いみてぇだ」

 

「具体的にどの様な応用が?」

 

「えぇとだな…」

 

指を顎に当て、思い出そうとする素振りを見せる処刑人。

色々試したのだなと思いつつ、代理人が待つ事にした。そして数秒後に処刑人はその応用できる事を話し始めた。

 

「まずは腕が飛ばさせるってことだな」

 

「飛ばせるって分離するのですか?」

 

「いや、そう言う訳じゃねぇよ。なんつうのかな…俺が右腕を飛ばす様な動きをするともう一本同じ腕が現れて、それが相手に向かって飛んで行く感じだ」

 

処刑人もどう表現したらいいのかという表情を浮かべる。

対する代理人が一つずつ彼女が話した内容を理解し、処刑人が言いたい事を分かりやすく説明する。

 

「つまり…分身が自身の代わりに相手へと飛んで行くという事でしょうか?」

 

「そう!そんな感じだ」

 

「最初から分身と言えば分かるのに…」

 

「いやぁ…説明は苦手でな。後は剣に魔力を流して斬撃を飛ばすとか、重たいものとかを持ち上げたり、デカい相手を掴んでぶん投げたりする事が出来るみてぇだ」

 

それを聞き、処刑人の支えとなったデビルブリンガーを見つめる。

その手が宿る力にただただ驚くほかなかった。意思を有した魔剣が造り出した右腕の力は今後処刑人に大きな支えにもなる。

 

(もしかしたら…)

 

処刑人がマギーから託された魔剣に「狩人」と名付けた事はシーナから聞いている。支えてくれた戦友を忘れたくない為に、そう名付けられた事も。

それが代理人にとっては偶然の様には思えなかった。狩人と名付けられる前から魔剣が本来有している意思とは別の意思が介在しているのではと。あくまでもこれは考えに過ぎない為、何らの確証もないのだが。

 

(…彼女を支えやって下さいね、狩人(ハンター)

 

それでも彼女は処刑人の右腕、そして格納されている刀へと言葉を投げかける。

すると代理人が内心では放った言葉が届いていたのか、薄っすらとデビルブリンガーが輝いたのを代理人は見逃さなかった。

処刑人に気付かれない様に、代理人は静かに微笑むのだった。

 

 

一方、射撃訓練場。

久しくここでは多くの人形達が射撃練習を励んでいる中、訓練場からやってきたギルヴァと暇になってここへと訪れていたブレイクの姿があった。

響く渡る銃声。出てくる的が瞬く間に蜂の巣へと変えられていく。他の人形達は目を丸くしながらブレイクとギルヴァの方を見つめる。

コルト・ガバメントをベースに改造されたフォルテ&アレグロの連射。これだけ撃っても壊れない堅牢性も驚きであるが、ブレイクの連射も驚きを隠せずにいた。

 

「そう言えばマギーさんがその二丁を参考にして作った銃があったみたいですね」

 

「M93Rをベースにしたやつだろ?あの作戦の報酬として協力してくれた所に送ったという事は聞いてるぜ。…今は誰が愛用してんのか分からねぇが一度会ってみたいぜ」

 

「ブレイクさんの連射見せられたら、相手の方は確実に遠い目にするでしょうね。45口径をあんなに連射しているのですから」

 

「ハハッ。かも知れねぇな」

 

ブレイクとMG4によるそんなやり取りがあったという。

 

一方ギルヴァはブレイクの程の連射程ではないが、愛用銃であるレーゾンデートルを発砲していた。二つのバレルから放たれる13mmの弾丸。普通の人間では発砲はおろか、あまりの重さで構える事が出来ない代物だ。

そんな化け物銃を片手で発砲しているのだから、もう目を丸くするほかない。

それどころか魔力を流し込まれ放たれた弾丸は着弾した数秒後に爆発するという芸当すらやってのけていた。因みにその際の反動は通常発砲時と比べると数倍に跳ね上がる為、流石のギルヴァも反動で一歩後ろで下がる程。だがその時も片手で発砲しているというそのスタイルは変わっていなかった。

因みに普段は使われる事が無いフェイクも使用していたのだが、こちらに関しては普通であったという。

 

「ふむ…」

 

フェイクをホルスターに収め、ギルヴァは少し悩む素振りを見せた。

フェイクは持つ事はあれど、基本的に使用する機会は少ない。使用頻度であればレーゾンデートルの方が多い。

誰かに譲り受け渡すもの一手かと彼は考えていた。

そこに同じく射撃訓練に終え休憩を取っていた45が彼の傍へと歩み寄り声をかける。

 

「どうしたの、ギルヴァ」

 

「少しな。こいつをどうしたものかとな」

 

そう言いつつフェイクをホルスターから抜き取るギルヴァ。

 

「それってだいぶ前に破棄された工場から持ってきたやつよね。…そう言えばあまり使う所は見ないような…」

 

「場合によって使う事はある。だがその場合はこいつではなく、レーゾンデートルを使う事が多い」

 

「ふーん…」

 

その時、ふと45にある考えが浮かび上がった。

そして彼女はそれを実行する事にした。

 

「だったらノーネイムに渡したらどう?」

 

「あいつにか?」

 

「専用装備はあるけどいつも身に付けている訳ではないでしょ?それにいつまでも誰かの武器を借りる訳にはいかないから」

 

「…そうだな」

 

以前から感じていた事であった。

ノーネイムの専用装備は強力であるが、普段から装備している訳ではない。何か携行武器を持たせるべきだろうと思っていた時に、ギルヴァがフェイクをどうしようかと来た。

母親らしいことでもしてあげようと45は思ったのだろう。武器がプレゼントになるのはどうかと思いつつもであるが。

 

「私から渡しておくわ。あの娘は私にとっても大事な娘だから」

 

「頼む」

 

「りょーかい♪」

 

ギルヴァからフェイクを受け取ると45はノーネイムの元へ向かって行った。

後にフェイクはノーネイムの手に渡り、大事にすると微笑みそれをホルスターに納めるノーネイムの姿がいたとか。




と言う訳でギルヴァの髪型はバージルと同じ髪型に変化しました。
これにより魔人化時の姿で長く伸ばしていた髪は消失。角は以前と変わり無し、魔人化時の姿はDMC5のバージルの魔人化とほぼ同じです。
ブレイクの魔人化時の姿はDMC4ダンテの魔人化時の姿に似た感じ。

また処刑人の右腕、デビルブリンガーは、DMC4ネロのデビルブリンガーと同じ見た目、同じ機能を有しています。同時にマギーから譲り受けた太刀はニーアオートマタに登場する白の約定みたいな見た目をしています。
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