二体のモンスターを討伐し、その報告に執務室にへと訪れたギルヴァ、ブレイク、処刑人。
ギルヴァとブレイクがシーナから依頼を受ける前に行動していた事を処刑人の口から報告され、そして目的であったモンスターを討伐した事を報告した。
「とまぁ、こんな感じだ。二体もいた事は驚いたがよ」
「うん、了解。三人ともお疲れ様…と言いたいんだけど」
「ん?まだあんのか?」
その問いにシーナは小さく首を縦に振る。
すると近くの壁に背を預け、腕を組んでいたギルヴァが口を開いた。
「今回の騒動は始まったばかりに過ぎん。元凶を討たない限りな」
「ギルヴァさん…気付いていたんだね」
「ああ。ここから遠く離れた位置に妙な気配を感じている。それもかなりものだ。…お前の右腕も先程から反応を示しているみたいだが?処刑人」
ギルヴァに指摘された事により、ソファーに座っていたブレイクと処刑人の対面で座っていたシーナの視線が彼女へと向けられる。
視線が向いた事により、処刑人は左手に頭の後ろに当てつつ答える。
「ああ。さっきから変な反応を示してやがる。ギルヴァが言うその強大なもんに反応してるんだろうぜ」
「やはりか。…もう一つ頼みたい事。それはその元凶とやらの討伐を頼みたいのだろう?指揮官」
再度視線がシーナへ向けられる。
真剣な面持ちで彼女は頷き、三人にその依頼内容を説明し始める。
「依頼主は仲介業者を介してグリフィン側に依頼してきたある組織から。名前は
「直接ではなく仲介業者を介してか。…因みにその仲介業者は何処の者だ?」
「聞いてみたんだけど教えてくれなくて。うちに知られたら不味い理由でもあるのかも知れない。取り敢えず上からの指示という事で納得してるけど」
シーナは知らないが、その仲介業者とはあの運び屋である。
以前にもあそことはMG4の一件で深くはなくとも、多少の溝がある。もし仲介業者が運び屋と聞けばシーナはこの依頼を受けるに若干迷っていたかも知れないし、下手すればその運び屋に話があると言って武装して自身も出ていきかねない危険性もあった。敢えて仲介業者を明かさなかったのは正しい判断をしたと言えた。
「話を戻すね。どうやら三人が倒したモンスターは私達でも知り得なかった島にいた存在だったみたい。恐らくその元凶が現れた事でモンスターたちが外へと逃げ出した…。そして三人が討伐している最中にその元凶が発見された模様。一度正規軍と遭遇したみたいだけど、壊滅。最悪な事にその元凶は都市へと向かって移動中。どうやらそこには研究の為に、コーラップス液を貯蔵している施設があるの。」
沈黙が訪れる。
あの正規軍ですら歯が立たなかった相手。そんな相手がコーラップス液を貯蔵している施設がある都市へと向かっている。事態は深刻といっても過言ではなかった。
「依頼内容は単純明快。この元凶の討伐。それだけ」
「やれやれ…とんでもないパーティーになってやがるな」
とんでもなく危険な依頼だと言うのにブレイクは余裕のある態度を崩さない。
凭れていたソファーから立ち上がると、ギルヴァの方へと向く。
ギルヴァも沈黙を保ちながら背を預けていた壁から離れる。二人の行動にシーナは確信した。
依頼を受けてくれるのだと。
そして彼女は処刑人の方を向く。処刑人はやれやれと言いつつ受ける様子で居た。
その様子を見て三人に心の内で感謝の言葉を述べつつ、作戦内容を話し始める。
「本来であればノーネイムのラヴィーネやリヴァイアサンを投入したい所なんだけど、リヴァイアサンはまだ運用試験をパスしていない。ラヴィーネに関してはまだ未完成の状態なの」
「稼働していたにも関わらずか?」
ラヴィーネが未完成である事を聞かされ、処刑人は疑問の声を上げた。
以前の作戦でラヴィーネが運用されていた事はこの場にいる全員が知っている。
誰が見ても未完成とは思わないだろう。にも関わらず未完成という事に疑問を抱かずにいる方が無理な話である。
「運用する分には問題なかったんだけどね。ただ一部火器が取り付けられていない状態にあったのと本来有しておいた機能がまだ搭載出来ていない状態でね。だから未完成なの」
「なるほどな。じゃあどうやって現場まで行く?送迎バスでも出してくれるのか?」
「それなら大丈夫。準備はしているから…入って来て」
執務室のドアが開く音が響く。
入ってきたのはまさかの代理人であった。何故彼女がここにいるのかと誰もが思う中、代理人が口を開く。
「既にヘリの準備は出来ております。私が作戦領域の上空まで三人を送り致します」
「…操縦出来たのか、代理人」
「ええ。いずれ必要になるかと思っていまして。車の運転と家事、戦闘だけが得意な女ではありませんよ、ギルヴァ」
ニッコリと笑みを浮かべ、ギルヴァへウインクする代理人。
対するギルヴァは何も言わなかったが、誰にも気付かれぬ様に静かに微笑むのだった。
そしてシーナは椅子から立ち上がり、告げる。
「事態は一刻を争います。そして私達は遅れての参加となります。なので私達以外にもこの事態に対し先に行動している方々もいると見ていいです。その場合はその人達と協力し、事に当たって下さい。無事の帰還を祈っています」
S10地区前線基地、ヘリポート。
普段から作戦等で使用される大型ヘリが一機。基本移動用に使われる事が多い為か武装は射手を必要とした機銃が二門装備されているだけで、火力は乏しい。一応これはS10地区前線基地の所有物なので内装もそのまま維持されているのだが、実は所々に代理人が弄った後が残っている。また念の為か代理人が愛用するシルヴァ・バレトとニーゼル・レーゲンが機内に積まれていた。
「さて…」
コックピットには代理人が乗っており、機体を何時でも離陸できる状態を保っていた。そこにヘリポートに姿を現す三人。そしてふとギルヴァらは足を止めた。
彼らを待っていたのは代理人だけではない。そもそも送迎に自分だけとは代理人は一言も言っていない。
この三人も彼らが来るのを待っていたのだ。
「待ってたよ、ギルヴァ~♪」
笑顔で迎えるUMP45。
「指揮官から話は聞いているわ。私達も送迎に同行するわ。勿論この子もね」
「ああ。大した支援は出来ないが私が出来る最大限の事をやらせてもらおう」
送迎に同行するというグローザとノーネイム。
送迎とはいえ三人とも武装はしていた。そんな三人を見てブレイクは肩を竦めながらヘリと歩き出していく。
ギルヴァも処刑人も後に続いていき、彼、彼女はヘリへと乗り込んでいく。
そして全員がヘリに乗り込んだ事を確認すると代理人は機体を離陸させ、作戦領域へと飛ばす。
「暫くは空の旅をお楽しみ下さいませ」
「安全運転で頼むぜ、代理人」
「心得ていますよ、処刑人」
代理人から安全運転を心掛けるという言葉を聞き、処刑人は安心して座席に腰掛ける。
すると後ろからブレイクの声が響く。
「ハハッ、まさかジュークボックス置いているとはな。しかも揺れで倒れない様に固定までしてやがる。代理人が持ち込んだのかい?」
「ええ。空の旅とは言え、音楽無しでは楽しめないでしょう?簡易型ですが勝手に置かせて頂きました」
「なるほど。…一曲かけて良いかい?」
「ご自由に。但し一番は押さないで下さいね。それは三人を降ろす際使いたいので」
「オーケー。んじゃ…こいつにするか」
代理人の許可を得て、ジュークボックスの選曲ボタンを押すブレイク。
そこから流れる曲はブレイクに合っているといい曲。自分好みの曲が流れた事に気分を良くしたブレイクは座席に腰掛けて雑誌を持ち込んできていた雑誌を広げる。
曲が流れる中、ギルヴァは腕を組み目を伏せて沈黙を保つ。その隣でUMP45が腰掛けており端末を手に情報の整理。処刑人は座席に凭れ、ジュークボックスから聴こえる曲は耳にしながら窓から見せる空の景色を楽しむ事に徹する。グローザとノーネイムはただただ作戦領域に着くまでの間、ギルヴァと同様に沈黙を保つのだった。
その頃、S10地区前線基地の執務室では戦いへと赴いた三人が無事に帰ってくる事を祈りつつ、シーナは書類を片付けていた。今回の副官は64式自である。
その時、シーナはふと思い出した様に彼女へ問う。
「そう言えばあの時の揺れって何だったんだろう…」
ギルヴァらがリオレウスとリオレイアを相手している時に突如として起きた地震。
余震とはかなく、一回しか起きなかった事に彼女は疑問を思っていた。
「さぁ…。でもあの揺れの後に山の一部が消し飛んだって聞いたけど。悪魔とか関わっているせいか何とも思えないというか…」
「…慣れるって怖いね」
「…だね」
悪魔とかに関わっているせいか図太くなってしまった二人がいるのだった。
はい。動き出した便利屋面々ですが、作戦の参加事態には遅れて登場するつもりです。
どういう感じで登場するのかって?…ジュークボックスがあるという事は…?
次で100話に到達しますが、普段通りやっていくぞ。
…今回のコラボが終わったら、どうすっかね。…以前からコラボしたいと思っていた所に声でもかけるかねぇ