Devils front line   作:白黒モンブラン

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―――混乱と混沌


Act90-Extra Devil&Monster Ⅳ ☆

戦場は怪獣大戦争と化していた。

今回の騒動の元凶たるモンスター「巨戟龍 ゴクマジオス」。この戦場に乱入してきた「恐暴竜 イビルジョー」そしてS地区応急支援基地から救援としてやってきた「碧き竜 リヴァ」。

その三体による戦いは最早誰もが言葉を失う程と言えるであろう。

しかしだ。この三体が戦っている今でもおこぼれを得る為にイーオスやガブラスの群れが動きを止める筈もなく、襲ってくるのは当然と言えよう。

イビルジョーを仕留める事はかなわず、後を追うにも暴風による炎の壁により追う事も出来なくなったギルヴァ。今は救援に現れたリヴァに任せ、自身へと迫ってくる小型モンスターの群れを睨んだ。

彼の後ろでは電話番号を記載したメモを渡そうとするFALを押さえつけるVECTORがいる。

ギルヴァは手にしている無銘の鍔に親指を押し当て、鯉口を切りながらVECTORへと伝えた。

 

「下がっていろ」

 

「え、ちょっと!?」

 

VECTORの制止を聞かずに向かってくる群れに対して歩き出すギルヴァ。

戦闘力は決して高い方ではないが両方とも毒を有している。しかしギルヴァにとって気にする程ではない。

腰を落としつつ居合の態勢を取りながら迫りくる群れを見据える。

互いの距離が段々と縮まっていく。もうすぐそこまで迫ったその時、ギルヴァは地面を勢い良く蹴った。

その瞬間彼の姿は搔き消え、残像が群れの中を駆け抜けていく。同時に生み出される無数の真空刃がイーオスとガブラスの群れに襲い掛かり、一体、また一体と瞬く間に切り裂かれていく。

血飛沫を上げながら絶命し、亡骸が地面に転がっていく中、それを背にギルヴァは静かに無銘の刀身を鞘へと納め、鍔と鯉口がかち合う音が小さく響かせる。

 

「さて…あいつらはどうしているものか」

 

先行して戦場へと飛び出た為、今現在ブレイクと処刑人がどうしているかは分からない。

混乱渦巻くこの戦場で少しだけ気に掛けるギルヴァであった。

 

 

その頃、ブレイクはヴァーン・ズィニヒにまたがり、イーオスやガブラスの群れを轢き飛ばしながら派手に暴れまわっていた。

 

「やれやれ、怪獣大戦争になってやがるな。まぁ刺激があるからそれはそれで悪くないんだけどな!」

 

スロットルを捻り、さらにヴァーン・ズィニヒを加速させるブレイク。立ちふさがる小型モンスターを弾き飛ばしつつ、窮地に陥ったMSFの兵士たちを見つけた際にはフォルテ&アレグロを用いて援護、救助していく。

もはやこの状況下でやれる事はこれぐらいだろうと彼は判断していた。

そんな時彼は要塞を発見する。要塞ではゴクマジオスに向けて対空機関砲を連射するMSFのスコーピオンとその傍でM61A2バルカンを連射する見知らぬ戦術人形を見つける。

 

「ハッ!中々シビれる事やってるねぇ。ノーネイムも連れてこりゃ良かったか?」

 

ノーネイムもまたガトリングガンを、それもまた二連装型のガトリングガンを二丁用いて利用する事がある。最もそれは専用装備「パトローネ」を使っている時に限るが。

 

「さぁてと…チマチマやんのも性に合わねぇしな。どうしたもんか…ん?」

 

誰かが置いていってしまったのだろう。偶然にも落ちていた「M202ロケットランチャー」を見つける。それも二つ落ちていた。それを見てブレイクはニヤリと口角を吊り上げる。

スリング部分を掴み片手で二つとも持ち上げると、ヴァーン・ズィニヒのエンジン音を何度も唸らせる。

そして時が来たと言わんばかりにブレイクはヴァーン・ズィニヒを発進させる。

向かう先は要塞。このまま行けば激突は必至。しかしそれは普通の人間基準に限る。

バイクのマフラーから勢いよく炎が噴き出し、そのままブレイクは車体を跳躍させ、あろう事に要塞の壁の上を駆け抜け始めた。

まるで天に向かっていくかの様に真っ直ぐ上へ走っていくバイク。その姿を見た一部の者は目を丸くするのだが、ブレイクは気に留める事すらしない。

要塞の壁を駆け上げると宙へと身を投じる。

バイクを仕舞うとM202ロケットランチャー二丁を担ぎゴクマジオスへと向けて構える。この瞬間だけ魔力を解放させ、デビルトリガーを引く。

 

「ロックオンってな!」

 

魔力を帯びたロケット弾が次々と放たれていく。誘導性は無くとも魔力によって強化された砲弾が凄まじい速さでゴクマジオスへと向かって行き次々と着弾していく。連鎖していく爆発。魔力を帯びているためか赤色の爆発が生み出される。

が、この程度は怯む様な相手ではない事ぐらいはブレイクも察した。

 

「ったく、飽きさせねぇな!」

 

魔人化を解除しつつ、ニヤリと笑うブレイク。

パーティーはまだまだ終わりはしない。それを誰もが思う事であろう。

 

 

 

同時刻。MSFの兵士たちがイーオス、ガブラスの群れに手にしている銃を連射していた。

しかし無駄に連携して動いているのか、MSFの兵士たちは徐々に劣勢へと追いやられていた。

 

「くそっ!弾がもうねぇぞ!誰か弾をよこしてくれ!」

 

「無茶言うな!こっちもギリギリなんだよ!…ッ!おい、避けろ!!」

 

「え?」

 

仲間の一人に言われ、前を向いた時…彼の目の前に映ったのが複数の小型モンスターが自身に襲い掛かろうとする光景。避けるにもう遅い。咄嗟の反応で腕を自身の顔の前にかざし目を閉じてしまう。

 

「オラァッ!!」

 

ふと聞こえた第三者の声。男は伏せていた目を開き、前を見る。

そこに居たのは黒いコートを羽織った処刑人。左手に持った大剣で群れを薙ぎ払った後の光景が広がっていた。

 

「エグゼか…?」

 

そう呟くもそこにいる彼女が自分達が知る彼女ではないと悟る。

そして処刑人は後ろに立っていたMSFの兵士に向かって言葉を投げかける。

 

「ここを受け持つ。今の内に引け!」

 

「!…す、すまない!!」

 

処刑人に言われハッとするMSFの兵士。何の手助けできずに彼女を置いていくことに謝罪しながらも彼は仲間を連れてその場から下がっていく。

彼らが見えなくなるまで下がっていくのを見届けた処刑人にクイーンを背を仕舞う。

邪魔された怒りか、小型モンスター達は処刑人に対し威嚇の声を上げる。

だがそんな事に臆する事はなく、処刑人はコートの右袖をゆっくりと捲り上げていく。そして姿を晒すは悪魔の右腕 デビルブリンガーだ。

 

「やっと使えるぜ」

 

彼らを引かせたのはこの右腕をあまり見られたくなかったためだ。しかし今は自分と小型モンスターの群れしかこの場には居ない。

漸く暴れられると処刑人は口角を吊り上げる。

相手は決して強い部類には入らない。しかし数では勝っているのは事実だ。だがそれを覆すのは彼女だ。

近場にいたイーオスに向けて腕を飛ばし掴むと処刑人は豪快にぶん回し、周囲にいたモンスターたちを薙ぎ払い、先に引いた彼らを追おうとしている群に向かって投げつけた。それにより入口は倒壊し、これで内部に入る入口は塞がれる。

それを見届け、直ぐに処刑人は攻撃を再開する。ガブラスを掴むとそのまま地面へと叩きつける。それにより生じた衝撃で近くにいたモンスターたちも宙へと舞い上がる。すぐさま背に背負ったクイーンを抜き、グリップを捻り推進剤噴射機構を発動させる。一段階だけ解放され、宙から地表へと落ちきたモンスターたちに目掛け、体を回転させつつ、処刑人は勢いよくクイーンを振るった。

 

「こんの…ッ!」

 

流石に複数同時にまとめてとなればかなりの重量がある。このまままとめて切り裂くのは不可と思われるのだが、それを可能とするのが彼女が手にしている機械剣「クイーン」である。

持ち手近くのレバーを引くと推進剤が噴射。それにより強化された斬撃が一気に複数のモンスターたちを切り裂き、そのまま推進剤を推進力として移動しつつ前方にいた敵を斬り飛ばていく。

背後から迫ってくるイーオスの攻撃をまるで分かっていたかの様に彼女は跳躍して回避。そのまま真下にいた別のイーオス目掛けてクイーンの剣先を突き当てその体へと突き刺す。

 

「行くぜ!」

 

スロットルを捻り再度推進剤噴射機構を作動。イーオスに突き刺したままレバーを引く。噴射される推進剤を用いてまるでスケートボードによる滑る処刑人。群がるモンスターたちを弾き飛ばしていき、止めと言わんばかり突き刺していたイーオスを持ちあげると片足を軸にして回転。そのまま突き刺していたイーオスをガブラスの群れへと投げ飛ばす。

刀身に付着していた血を払い、クイーンを肩へと担ぐ処刑人。未だこの場にいるモンスターたちの群れを見渡しながら静かに呟く。

 

「そんじゃ、掃除を始めるか」

 

 

 

 

そして戦いは漸く終焉へ向かい始める。

巨大な撃龍槍がゴクマジオスの肉体を貫く光景を目にしていたギルヴァは決着が近いと察していた。

ならば自身も全力を出す必要がある。それは離れで見ていたブレイクも感じていた事であった。

彼らは己に内包する「魔」に引き金を引いた。それにより別々の箇所に蒼と赤との波動が戦場へと広がっていく。

そしてこの戦場に見せるのは青と赤の二体の悪魔。魔人化を果たした彼らは己の獲物を手に、その羽を広げゴクマジオスへと向かって行くのだった。




今回は最初の方がまだ三体による大乱闘している一方でのうちの面々の動きです。
勝手にコラボしている所のキャラとか出しちゃってるけど…良かったかな?(怒られたら修正します)

そろそろ決着みたいなので、ギルヴァとブレイクは魔人化を発動させています。
なので戦場で青の悪魔と赤の悪魔を見かけたらこの二人なんで討たないでね!
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