Devils front line   作:白黒モンブラン

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番外編みたいなやつでございます。
なので頭を空っぽに、何も考えずお読みくださいませ


でびふろっ!
でびふろっ!ぺーじ いち!


[動かないなら…]

 

 

それは処刑人と呼ばれていた彼女がネロという名前を与えられた後の日の事。

基地の指揮官であるシーナから任務を任されUMP45が小隊長を務める404小隊とM4A1が小隊長を務めるAR小隊と共にネロはS10地区から遠く離れた場所まで訪れていた。

そこは誰も住んでおらず、瓦礫と廃墟だけが残った今は名も無き街。

人一人訪れる事の無いそんな街に訪れた訳だが、当然そこには理由がある。

この辺りで鉄血が行動している噂が浮上しており、その調査に彼女達はここに訪れていたのだ。

 

(…気まずい)

 

そう言った理由から大通りを徒歩で移動している集団の後方で歩いていたネロはやりづらそうな表情を浮かべ、胸の内でもそう呟いた。

任務中という事もあって部隊の雰囲気が決して楽しい雰囲気ではない事は当然なのだが、それ以外の何かをネロは感じ取っていた。

そしてその何かが何処から出てきている事も分かっていた。

 

(…この二つの小隊に何かあんのだろうし、それに…)

 

今の名を与えられる前、ギルヴァに連れてこられる前は敵対していた身。

それを分かっている事もあって気まずさを感じられずにいられなかったのだ。

 

「はぁ…」

 

ギルヴァやブレイク、ルージュらが居る時ならそんな事を考えずに済んだもの。

何で自分まで呼ばれたのかと、ネロはその思いと共に小さくため息をついた。

 

「なぁに、ネロ。何か不安でもあるの?」

 

小さくため息をつもりだった筈が、それはネロの前を歩いていたUMP45の耳に聞こえており、話しかけられていた。

そして沈黙が包まれていた部隊の行動が45の声によって、一斉に止まり視線がネロへと向けられる事となってしまった。

更に気まずくなってしまった事にネロはさらに左手を額に宛がった。

 

「なんでもねぇよ。ほら、さっさと行こうぜ。この辺りに奴らの気配もねぇからな」

 

そしてこの雰囲気が早く抜け出したかったからか、ネロは集団の合間を縫いながら敵が居ない事を伝えた。

そのまま集団を抜けようとした時、M4A1が彼女の行く手を遮る様に立ちふさがった。

 

「…なんだよ」

 

決して不機嫌ではないものの、元の性格もあってかネロはまるで機嫌が悪そうな声を出した。

しかしM4がそれで怖気る訳もなく、彼女はネロの顔を見つめながら口を開いた。

 

「敵が居ないってどういう事…?」

 

「ああ、その事か。…こいつのおかげだよ」

 

そういってネロは今回装備しているデビルブレイカー、ガーベラを取り外して幽体化していたデビルブリンガーを出現させた。

現れた悪魔の腕に一瞬だけぎょっとするM4だが、ネロがそれに気付く事もなくデビルブリンガーを見せつけた。

 

「悪魔の気配以外にも敵の気配を探知する様になってるみてぇでな。こいつが全く反応しねぇから、この辺りに敵が居ないって判断してんだよ」

 

「…信用できるの?」

 

「俺は信用しているぜ?なんせこいつは俺を支えてくれているからな。まぁ信用出来ねぇならそれでもいい。無理に信じてもらおうなんて思ってもねぇからな」

 

外していたガーベラを再び装着してネロはM4の横を通り過ぎる。

そのまま調査を進めようとするも目の前に現れたものを見て彼女は舌打ちした。

 

「可動橋か。こりゃあ見事に道を塞がれてんな」

 

ネロの隣に並び立ったM16A1が言う通り、橋は天を向く様に上げられたままだった。

どれ程の間この状態が保たれていたのかは分からない。

だが橋を動かさない事には先を進む事が出来ない事はその場にいる誰しもが分かる事であった。

 

「俺が制御室に行ってくる。周りを頼んだぜ」

 

「お、おい!」

 

早くこの状況から抜け出したい一心で可動橋の制御室へ向かう事を告げるとM16の制止に耳を貸す事もなくネロは制御室へと歩いていった。

階段を上がり、制御室へと足を踏み入れ制御装置の前に立つ。

いつからこの状態が続いているのか分からない。だが幸運と言うべきか電力は通ったままであった。

そのまま各所のスイッチやらレバーを上げていくネロ。

だが可動橋の橋が降りる様子はない。

イラついた様子でボタンを連打するもそれでも橋が動く様子はなかった。

 

「ポンコツが!」

 

八つ当たりに制御装置を叩くも橋が動く事は無い。

苛立った様子で制御装置に背を向け、その場から去ろうとするネロ。

だがその直後ホルスターに納めていたアニマを引き抜き振り返ると同時に制御装置に向けて発砲。

二つのバレルから放たれた二発の銃弾が制御装置に風穴を空けるとざまぁみろと悪い顔を浮かべながらネロは歩き出した。

だがその行いが良かったのか、制御装置が爆発。そのまま黒煙を上げた瞬間、装置が起動し上がっていた可動橋の橋がゆっくりと降ろされ始めた。

それにより道は開かれネロは彼女達と合流。後に銃声を耳にしていたUMP45から何故撃ったのかを問われ、彼女はこう答えている。

 

「気になったらぶっ叩くかぶっ壊せってな。ブレイクの教えさ」

 

どうやらネロという彼女も取り敢えずぶっ壊すという悪魔狩人流のやり方に染まってしまっている様子であった。




動かないならぶっ叩け。
DMCシリーズでは良くある事でございます

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