Devils front line   作:白黒モンブラン

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本編が少し行き詰ったので、でびふろっ!という名の番外編を投稿です


でびふろっ!ぺーじ  に!

もくじ【お蔵入り】

 

マギー・ハリスン。

S10地区前線基地後方幕僚を務める見目麗しき女性。

しかしその実は人間に扮した悪魔であり、魔界では伝説の魔工職人、マキャ・ハヴェリとして有名であった悪魔である。

このS10地区前線基地で多くの作品を作り上げ、そしてその一部の作品を知り合いの基地に送ってきた彼女は珍しくギルヴァがオーナーを務める便利屋「デビルメイクライ」に顔を出していた。

特に依頼をしに来た訳でもなく、優れた能力を有しながらもギルヴァの妻であり、裏では自称受付嬢と名乗っているシリエジオが淹れるコーヒーをもらいに来ただけであるのだが。

 

「はぁ~…美味しいですねぇ…。スプリングフィールドが淹れたコーヒーも素晴らしいですが、こちらもこちらで美味しいです」

 

来客用のソファーに腰掛け、幸せそうな表情を浮かべるマギー。

その表情につられて傍に立っていたシリエジオも笑みを浮かべる。

和やかな雰囲気に包まれた時、マギーは書斎で静かに本を読んでいたギルヴァを見て、ふと何かを思い出したかの様に口を開いた。

 

「しかし渡した幻影があそこまでに至るとは。本人の意思、力もありますが…いやはやデビルトリガーにならぬ、イグナイトトリガーを身につけるとは思いませんでしたねぇ」

 

「…」

 

「しかし貴方が幻影を渡していて正解でしたね。私が彼女の為に専用の武器をお渡ししていたら、恐らくあの力が発現することなどなかったでしょうから」

 

「ほう?」

 

その台詞にギルヴァは読んでいた本を閉じ、興味深そうな声を上げた。

自身が気まぐれで彼女に武器を渡した訳であるが、マギーも武器を渡そうとしていたとは思わなかった。

もし自分ではなく、マギーだった場合と思うと興味を示さない方がギルヴァにとって無理な話だった。

 

「どのようなものを渡す気でいた?」

 

「そうですねぇ…。種類で言うのであれば魔剣みたいなものです。とは言ってもそれは再現であり、そこに私独自の機能を持たせたものですけどね」

 

「再現…元となったものはあるみたいだな?」

 

「ええ。魔界ではごく一部しか知りません。何せ魔界のどこを探しても見つからない上に、その魔剣は悪魔が振るう事は想定されていませんから」

 

「なんだと?」

 

魔界のどこを探しても見つからない。そして魔剣でありながら、悪魔が振るう事は想定されていない。

その事がマギーの口から告げられるとギルヴァは眉を顰め、静かに話を聞いていた代理人は少々驚いた様子を見せていた。

 

「人を愛する心…そして力。その二つを持ち合わせた者ではない限り、それは力を与える事はしないと言われていました。その魔剣の名こそは忘れてしまいましたが…機能面ではとても興味をそそられましたね」

 

「仕掛けがあったというのか」

 

「ええ。基本形態の大剣、そして大鎌、槍と三つの形態に変形可能だったらしいです。様々な状況に対応でき、咄嗟に変形させ敵の不意を突くといった使い方も出来るとか。あの娘の近距離戦闘の能力の高さ…彼女なら上手く使えこなせるかもしれない。また協力してもらう時…強力な悪魔とも一戦交える事もありましょう。渡り合える様にするためにそれを再現しようと考えていたんですよ」

 

「すまなかったな」

 

考えを台無しにしてしまったという事実。

気まぐれで刀を送った張本人であるギルヴァは素直に謝罪した。

 

「お気になさらず。まぁ設計段階で重量が相当なものになる事が分かりましたからね、結果的にはお蔵入りしました。幻影をお渡しして正解だったと思いますよ」

 

「そうか」

 

もしも。

幻影ではなくマギーが作り出そうとしていたものが彼女に渡っていたら、得た力は違っていたかも知れないだろう。

だがギルヴァは気付いていた。

あの時の戦場で僅かに彼女の気配を感じられなくなったのを。

それが何を意味していたのかも分かっていた。

 

(今度はフードゥルに似たもので作るか…?)

 

―ただでさえ人形ってのをほぼやめてんのにガチで止め刺す気かお前は!?それにお前の技は人形ができるもんじゃねぇからな!?

 

(…そうか)

 




どうやらマギーも考えていた模様です…

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