Devils front line   作:白黒モンブラン

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―――新たなる機能。そして…


Act103 Take time

今や便利屋「デビルメイクライ」を拠点に毎日を過ごしている404小隊。

任務が無ければ基本的に各々自由に過ごすのだが、だからと言って訓練をしない訳ではない。

今回はメンバー全員揃って訓練室へと訪れており、ある二人を相手に模擬戦闘を繰り広げていた。

結婚の証であるアミュレットハーツの恩恵により、UMP45の動きは結婚する前と比べるとその動きには拍車がかかっていた。

だかそれは彼女達の模擬戦の相手をしている代理人も同じ。

二人は目まぐるしく動き回り、接近すれば距離を取るといった動きを繰り返していた。

 

「これの恩恵があるからかしらね!えらく速いわね…!」

 

「それはお互い様でしょう?」

 

「でしょうね。でも…!」

 

恩恵があるからと言って何でも一人で出来るとは刀身がゴム製のナイフと模擬弾を装填した拳銃を手にした45はそう思っていない。

対峙している代理人の注意が彼女へと向いている隙に、代理人の後方から影が飛び出した。

水色の髪を揺らしながら、模擬弾を装填した己と同じ名を冠した銃を構える少女。

ホロサイト越しにエメラルドグリーンの瞳が輝き、HK416は45の台詞に続ける様に口を開いた。

 

「私達がいる事を忘れないで欲しいわね」

 

416の銃撃は始まろうした瞬間、代理人は416の台詞へ返答しながら素早く45の攻撃を受け流し態勢が崩れた所を突き、彼女が持っていた拳銃を奪い取った。

そのまま後方へ奪った拳銃で攻撃するが、見越していたのか416はその場から飛び退くとすかさず銃を構え代理人へと銃撃を開始。

その時両者の間に何処からともなく飛来した一枚の盾が割って入り、それによって攻撃は防がれる。飛来した盾に続く様にもう一人が姿を見せる。

白を基調としたコートと長く伸ばされた白髪を揺らめかせ、颯爽と現れたのはもう一人の模擬戦相手 ノーネイムだ。

 

「私もいる事を忘れないでくれ」

 

慣性を失い盾は地へと落ちていく。

再度訪れる攻撃の瞬間。そして射線が開けた時、416は目を見開いた。

彼女の目に広がったのは、自身へと拳銃を向けているノーネイムの姿。愛用しているリボルバー『フェイク』ではない。ノーネイムが持っているのは先程まで代理人が持っていた拳銃だ。

この瞬間では416も気付けなかったが、盾が彼女の視界を防いでいる瞬間に代理人は現れたノーネイムにへと拳銃を投げ渡していた。それを見向きもせず受け取ったノーネイム。視界が開けたその時には416へと攻撃できる状態が完成していたのだ。

それに気づいた時には遅く416は銃撃を貰う前にその場を離れようと動き出した。

 

(さっきの瞬間で…!抜かった)

 

放たれる一撃を寸での所で回避し、416は近くの建物へと飛び込むとその場から離れる。

それを確認したノーネイムはすぐさま懐から発煙手榴弾を取り出し別の方向へと向け数秒後置いてから勢い良く投擲。投げられたそれは宙でスモークを噴射し周囲へ拡散。ノーネイムの行動は遠くから狙撃を行おうとしていたG11への妨害であった。

狙撃手が敵に位置を知られる事。実戦では死を意味する。幾ら模擬戦とは言えG11はその場から引く事を強いられる。

 

「うえ~…バレてるぅ…」

 

相手に悟れぬ様に行動していた筈がバレていた。

それどころか一瞬で自身が居る位置に気付き発煙手榴弾を投げ、狙撃の妨害してきたノーネイム。間延びした声を上げながらG11は狙撃地点から離れる。

背後から攻撃、そして狙撃による攻撃を阻止するとノーネイムは地面に落ちた盾の端の部分を踏みつけ浮かび上がらせると、そのまま流れる様に別の方向へ向かって盾を勢い良く蹴り飛ばした。

その先には居るのは45の援護に入ろうと場所を移動していた9。その先を行かせないと言わんばかりに飛んできた盾が9の目の前で壁に激突し行動を妨害する。

 

「おっと!てか危ないってば!」

 

「それは済まない。どうやら力加減をミスしてしまったようだ」

 

抗議の声が聞こえていたのだろう。謝罪しながらもノーネイムは416、G11、9の追撃へと走り出す。

ほんの一瞬で行われた一連の動きによって再度45は代理人と相対する形となる。

模擬戦であるが気は抜けない。手にしていた武器を構えた瞬間、終了のブザーが鳴り響いた。

折角良い感じになってきたにも関わらず、ブザーによっては取り消しとなった事に45は軽く落胆した。対する代理人は静かに息を吐き、全身の力を抜くといつもの笑みを浮かべ45へと話しかける。

 

「休憩しましょうか」

 

「そうね。休憩しよっか」

 

同じく力を抜き45も返答する。

こうして模擬戦は決着付かず引き分けとなるのであった。

 

訓練室を後にし、404小隊と代理人、ノーネイムはデビルメイクライの店内にて代理人が淹れた紅茶を飲みながら休憩していた。

先程の戦闘を振り返る中、45と代理人を見て9はある事を言及した。

 

「45姉も代理人もそうだけどさ。さっきの動きも下げているアミュレットハーツの恩恵が大きいのかな」

 

「まぁ…そうかもね」

 

9に指摘され、45は下げていたアミュレットハーツを取り出し眺めた。

あの時、ギルヴァから渡されたものは使用者の補助するといった特性を秘めたものであった。その事より45の動きは倍近く上がっており、任務も早く片付けられる事も多くなっていた。

だが45はこのアミュレットハーツにはまだ秘められた力があるのではないかと感じていた。それは代理人も同じ事を思っており、彼女は思い切って書斎で本を読んでいたギルヴァへと問いかけた。

 

「アミュレットハーツ…他にどの様な機能を秘めたのです?」

 

「回数に限りはあるが…」

 

そう言いながらギルヴァは自身の魔力を用いてあるものを展開した。

それは彼が普段から遠距離武装の一つして用いられるもの。群青色に輝くそれを見て45と代理人も目を見開いた。

そんな事は知らずにギルヴァは彼女達に告げた。

 

こいつ(幻影刀)を使う事は出来るぞ」

 

「…それはただただ投射できるという意味合いですか?」

 

「いや。自身の周囲に複数幻影刀を展開し防御陣形などやろうと思えば出来なくはない」

 

その事を明かされた時、45と代理人は勢い良く店を飛び出し再び訓練室へと戻っていき、アミュレットハーツのもう一つの機能を試しに行くのであった。

この後に彼女達独自の運用方法が見出されたのはいずれ語られる事であろう。

 

 

UMP45と代理人が店を飛び出した一方でシーナはある状況に見舞われていた。

執務を終えて散歩へと出ていた彼女は基地内であるが廃品置き場として扱われている倉庫にて、あるものを発見し困惑していた。

 

「どうしよう…」

 

彼女が見つめる先には居るのは体からゆらゆらと青い炎を放つ馬。

シーナに対して鼻息を荒くし、威嚇していた。

これが悪魔だという事はシーナも分かっている。しかし解せない事が一つあった。

 

「馬は馬だけど…仔馬だよね…?」

 

シーナの言った通り。

彼女と出会った馬は何故か仔馬であった。




アミュレットハーツのもう一つの機能は回数はあれど幻影刀を展開できる機能を持っています。これによりUMP45と代理人は更なる強化が施されました。

最後の部分は今後のシーナに必要となるものです。
そして馬と聞けば奴しかいませんね!仔馬だけど!
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