Devils front line   作:白黒モンブラン

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―――空を舞え


Act117 Give sanctions Ⅳ

黄金の甲冑を身に纏う悪魔 ドーロ・ウォーリアを一瞬の反撃で宙へと舞い上げたブレイク。

相手は地面に激突したがその一撃で倒す事は叶わなず、素早く起き上がり斧槍を構える。

流石に先程の戦法では時間がかかり過ぎる。背負っているリベリオンの柄を手を伸ばした時であった。

ブレイクの後方。奥の扉からぞろぞろと相対している悪魔と似た悪魔がなだれ込んできた。

身に付けている甲冑には多少の差異があり、そして色も黄金ではなく漆黒。持っている獲物も斧槍ではなく、湾曲した刀身が特徴の長剣。

瞬く間に周囲を漆黒の甲冑を身に纏う悪魔 ネーロ・ウォーリア達に囲まれるブレイク。周りを見渡し、そして口角を上げた。

 

「ハハッ!イイねぇ。こうもサプライズゲストに囲まれたら嬉しくて笑ってしまいそうだ」

 

刹那、多方向からブレイクへと目掛けて長剣が振り下ろされた。

防ぐ素振りを見せる事はなく、寧ろ彼はその場から勢いよく跳躍。並みの人間では到底その高さに届かないであろう高さまで飛びあがり、フォルテ&アレグロを抜き取る。

体を上下反転させそのまま回転。マシンガンの如く連射し、銃弾の雨が下に居るネーロ・ウォーリアに降り注ぐ。いくら魔力を込めて放たれた銃弾でも甲冑によって弾かれる。

すぐさま体勢を立て直し、足元に魔力によって足場を形成しそれを蹴り飛び出すブレイク。彼の視線の先に居るのはドーロ・ウォーリア。腕を引き、向かってくる彼へ目掛けて斧槍が投擲。

柄の底から魔力によって生み出されたのか炎が噴き出し、それが推進力となって恐ろしいまでの速さで迫りくる。空中という状況では避けようがないと思われるが、それを覆すのがブレイクである。

軽やかな身のこなしでそれを回避。すれ違う瞬間、彼は何を思ったのか通り過ぎようとしている斧槍へと足を乗せた。

 

「フォウッ!!ハッハー!!」

 

そしてロケットと化した斧槍でスケートボードを扱う様に宙を縦横無尽に飛び回り始めたのだ。

敵の武器にも関わらず制御し、そして面白い玩具がやってきたと思ったのだろう。

乗った瞬間、テンションが上がりまくりのブレイク。どこでその技術を覚えたのかプロ顔負けレベルの技を次々と繰り出しながら、ネーロ・ウォーリア達を弾き飛ばす。

包囲網は崩された。弾き飛ばされたネーロ・ウォーリア達が地面に激突するのを見向きもせず、向かってくるドーロ・ウォーリアへと突撃するブレイク。

正面から向かってくる悪魔に薄っすらと笑みを浮かべると、乗っていた斧槍から飛び降りる。

 

「受け取んな!」

 

「!」

 

火は付いたままなのだ。

主を失い、制御を失った。悪魔的とも言える速さで突っ込んでいく斧槍にドーロ・ウォーリアは反応が遅れていた。しかしその程度何ら問題ないと言わんばかりに斧槍をキャッチ。そのままブレイクへと攻撃を仕掛けた。対するブレイクもリベリオンの柄を握ると振るわれた攻撃に合わせて振り下ろす。

振るわれた刃がぶつかり火花が散った。

そこから剣戟が結ばれると思いきや、ブレイクの後ろからいち早く体勢を立て直し、襲い掛かるネーロ・ウォーリアが迫りくる。

宙にいるという状況で反撃のしようがないと思われる。だが彼は宙に浮かんでいるにも関わらずドーロ・ウォーリアの体勢を崩し反転。ネーロ・ウォーリアの攻撃を引きつけ自身に当たる寸前で魔力を纏った一撃が駆け抜けた。

ブレイクがドーロ・ウォーリアの攻撃をわざと受け止めて蓄積した魔力が解放され、その一撃はネーロ・ウォーリアの上半身と下半身を二つに分かれさせる程の威力を誇る。

仲間の一人がやられたにも関わらず次々と起き上がり攻撃を仕掛けてくるネーロ・ウォーリア達。集団で向かってくる所に何かを思い付いたのかブレイクはヴァーン・ズィニヒを取り出し跨った。

 

「飛ばすぜ!」

 

マフラーから噴射される炎を推進力に、宙にも関わらず飛び出すヴァーン・ズィニヒ。

車体を斜めにしつつ、群がるネーロ・ウォーリア達に突撃。吹き飛んで行く敵の姿はまるでボウリングのピンの様だ。そこからエンジン全開にしたままブレイクはヴァーン・ズィニヒを振り回していく。

ただでさえ重量がある代物だ。おまけに高速回転するホイールからは刃が現れている。凶悪極まりないそれを当てられたら只では済まないだろう。

自身を軸に回転し、車体と共に回転するブレイク。そして回転の勢いを利用して車体をぶん投げた。

 

「クレイジー!」

 

ぶん投げられた車体は吹き飛ばされたネーロ・ウォーリア達に激突。

しかしブレイクの攻撃は止まらない。リベリオンを手に取り、投擲。意思を持った大剣は回転しながら敵達の中央で回転。高速回転で生み出される竜巻が奴らを巻き込んでいく中、彼はもう一つに武器を呼び出す。

爆発する剣を無限に生み出す魔界の装置「ルシフェル」。華麗な動きで次々と剣を投擲。

数えるのが面倒になる程、ブレイクの周囲には剣が滞空。そして彼が二回手を叩いた。

それに合わせて剣は未だ尚竜巻に巻き込まれているネーロ・ウォーリア達の周囲に展開され、一斉に襲い掛かる。無数の爆発する剣が突き刺さっていき、何処から取り出したのかブレイクは一本のバラを投げた。

 

「これで君は自由だ」

 

投げられた薔薇が刺さっていた剣に触れた。

刹那刺さっていた剣は一斉に爆ぜた。敵を跡形も残さぬ様に。

数の差を物ともせず、ドーロ・ウォーリア以外の敵を全て殲滅する姿は流石はブレイクだろう。

そしてこの場に人が居ればその光景を見て必ずしも口にするであろう。

 

「空の旅ってのも悪くないもんだ」

 

そう。この男、先程から一度も地面に足をつけていないのである。

投擲したリベリオンを呼び戻し、背へ収めた時、後方からドーロ・ウォーリアが襲い掛かる。

 

「ォォォッ!!」

 

「おっと!」

 

攻撃を難なく回避。

体を翻すと相手の体を足場に跳躍。宙で一回転し、リベリオンを振り下ろす。

振り下ろした勢いと共に降下。攻撃を斧槍で防ぐとするドーロ・ウォーリア。

しかし勢いがついた一撃は止める事は叶わずその斧槍の柄ごと、そして甲冑ごと黄金の悪魔の頭から股下にかけて一閃。

体を二つに両断されれば悪魔と言えど助かる事はない。縦一閃され、二つに分かれた体が崩れていく中ドーロ・ウォーリアは消失。

そしてブレイクは漸く地面に足を着けた。リベリオンを背へ背負い、歩き去ろうとした時、彼の足元に何かが転がってきた。

 

「ん?」

 

それに気付いたブレイクは手を伸ばし、拾い上げる。

転がってきたものを見た時、彼の表情はどこか困惑した様なものへとなった。

 

「こいつは…」

 

それは自立行動するダミーに使用される代用コアであった。

しかしこの場に人形はいない。

何故こんなものが転がっていたのかと疑問に思った時、彼は先程の悪魔達の事を思い出した。

手に持っているコアは恐らくだがあの悪魔から転げ落ちたもの。つまり自分と戦っていたのは魔界から出てきた純粋な悪魔ではなく…

 

「…」

 

それを理解した時、ブレイクは静かになった。

そこから何かを言う事は無く、手にしていたコアをコートの懐へと納めると静かにその場を去っていく。

その胸の内に怒りの炎を揺らめかせながら。

 

 

一方、基地正面広場での戦闘は続いていた。

先程よりも数は減っているが、やはり相手がかつては人形だったという事もあり躊躇う者もいた。

しかし撃たなければこちらがやられる。引き裂かれそうな思いを胸に引き金を引き続ける。

 

「撃破。姉さん、そっちは!」

 

「こっちも片付けた。後は中の方だな」

 

「はい…」

 

この場での戦闘音は聞こえない。硝煙の匂いが辺りを立ち込める中、M4は残された彼女達の銃を見た。

まるで墓場の様だ。そう感じた彼女であったが、今は作戦中な為、思っていた事を口にはしなかった。ここでの戦闘は終わったが、まだ基地内部では彼らが悪魔共と戦っている。

悪魔達が三人に向いている内に囚われている人形達を救い出さなければならない。

 

「行きましょう」

 

その声に三人は頷く。他の部隊も基地内部へと突撃している。

それに続く様にAR小隊も基地内部へと突撃。彼女達が基地内部へと突撃し、最後に404小隊と代理人、フードゥルとグリフォンが続こうとした時、広場から地響きの様な音が鳴り響いた。

その音に反応して代理人は後ろを振り向き、素早くシルヴァ・バレトを構える。大地を割くように開いた穴からゆっくりと姿を現す者へと向けて。

昇降エレベーターらしき仕掛けからその姿を現すは双頭の巨人を模った悪魔。

全身が拘束衣に包まれており、両手は存在していなかった。その代わりと言うべきか一度攻撃を喰らえば只では済まないであろう鉄球が備わっていた。

 

「遅れて番人の登場ですか…。寝坊したのですかね」

 

「代理人!」

 

「45。貴女達は救出へ向かってください。あれは私が何とかします」

 

45が名を叫ぶ声にも代理人は冷静だった。

そのまま一人で広場の方へ戻り、彼女は双方の巨人たる悪魔「タルタシアン」と相対した。

 

「…ノーネイム、聞こえますか?」

 

『ああ、聞こえている。…援護する』

 

上空では白き機動兵器が舞う。

笑い声にも似た声を出すタルタシアンに代理人はシルヴァ・バレトの銃口を突き付ける。

 

「さて…」

 

代理人は緊張していた。

ギルヴァやブレイクとは違い、悪魔の血が流れている訳ではない。鉄球の攻撃を一発でも貰えば、それは死を意味する。

だが即死級の一撃は代理人も持っている。そう…ニーゼル・レーゲンのレールガンの攻撃なら。

 

「…一曲踊りましょうか」

 

構えたシルヴァ・バレトの引き金を引く。

砲撃にも似た銃声が開幕を知らせる合図となって周囲に轟いた。

 

 

 

基地から少し離れた場所にて。

舗装されてない道を一台の車両が駆け抜けていた。

運転席には白と赤のグラデーションが特徴の髪を持つ少女 ルージュ。助手席には煙管を吹かすダンタリオン。後部座席では元鉄血所属のハイエンドモデル 錬金術士と侵入者が座っている。

向かう先はS10地区。真っ直ぐと続く道の上にルージュが運転する車両が走り抜けていく中、何かを聞きとったのかルージュが不思議そうに呟いた。

 

「戦闘の音…でしょうか?」

 

「この辺りで戦闘とはのう。それにこの気配…」

 

「はい。…近くはないですが、奴らの気配です」

 

奴らの気配となれば見過ごす訳には行かない。

車両を戦闘の音が聞こえる方へ向け、ルージュはアクセルを思い切り踏んだ。

突然加速した事によってバランスを崩した錬金術士。何事かと思い、彼女はダンタリオンへと叫んだ。

 

「おい!どうした!?」

 

「ちょいと寄り道じゃ」

 

「はあっ!?」

 

突然何かをやらかす事は今に始まった事ではない。

それを知っているからこそ錬金術士はただ驚くだけで済んだ。彼女の対面で座る侵入者はそのやり取りを見てクスリと笑い、静かに呟く。

 

「さて…どんな演劇が開かれるのでしょうか」

 

最後がどうなるか分からない演劇を少しだけ楽しみにするのであった。




ブレイク編では無着地撃破ですが…あれをゲームで実際にやっている方はすごいですね…。マジでどうなってんの?と只々思うばかりです。

お次はギルヴァではなく…代理人&ノーネイムVSタルタシアン。
タルタシアンはDMC2で登場致します。

では次回ノシ
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