Devils front line   作:白黒モンブラン

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―――彼ら、彼女達が異世界にいる一方での物語


Act123 Meanwhile, around that time

シーナ達が異世界で悪魔の討伐を終え、交流していたその頃…。

 

元の世界では指揮官代理としてマギーの指示の元、S10地区部隊による人形売買組織の調査が進められていた。

顧客リスト、標的となった人形の詳細などはすんなりと発見されたものの、処刑人がボルヴェルクと戦った地下遺跡の謎やどうやって悪魔達を使役したのかは未だ分からずじまいであった。

その為電子戦に強い45や9の二人が重要な情報や地下遺跡、悪魔の情報が隠されているであろう基地内部にあったデータサーバーに潜り込み、それらに関する情報の収集に当たる事となった。

二人が収集している間は別の調査が行われる事に。

悪魔を使役していた基地という事から魔具なども保有している可能性が高いと思われ、その探索が今行われていた。

映されし異界の鏡へと飛び込んでいった彼ら、彼女達が無事戻ってくる事を祈りながら、マギーはグローザ、FAL、ナガンと共に行動していた。

外から日差しが差し込み、別館へと続く長い廊下を歩く彼女達。

激しい銃撃戦の末、窓は全損。備え付けのドアも木端微塵に吹き飛んでおり、無数の弾痕が残る壁には死んだ悪魔の血がべっとりと付着している。

悪魔との戦いがどれ程激しかったかを物語っており、あの時感じた空気に疑問を感じたのかグローザが呟く。

 

「嫌な感じが消えている…。いつもこうなのかしら?」

 

悪魔との戦いは今回が初めてのグローザ。

目にした事はあれど、戦うのは初。それでも怖気る事もなく冷静に対処する姿は流石と言えるだろう。

 

「そう言えば貴女は今回が初めてだったわね。まぁいつもこんな感じよ」

 

悪魔との戦いを何度も経験している事もあって、その問いに答えるFAL。

戦いの最中ではいつも負の感情の様な、不気味なものが纏わりついてきて、終われば何もなかった様にそれは消え去る。

彼女にとってはもう慣れた事であった。

 

「どれ、さっさと終わらせてあやつらの出迎え準備をせんとな」

 

「そうですね。魔具以外にも何かあれば言ってください。たいていの物は分かるので」

 

他の部隊も動いてくれているが、今の所目ぼしいものは発見されていない。

或いは隠されているかも知れないと思いつつも、マギーらは別館に足を踏み入れた。

別館でも戦闘はあった。その証拠にマギー達が通った廊下と同じ様に戦いの後が残されている。

ここは囚われていた人形達がいた所であり、当然立ちふさがる様に悪魔達がいた。

ただ相手が悪かった。数で、そして原始的な攻撃で襲ってくる奴らに対し彼女達は銃を用いる。

戦いは一方的、或いは蹂躙と言っても差し支えなかった。

この時はマギーはシーナと共に飛行場に居たし、グローザ、FAL、ナガンは殲滅部隊の方に居たのだが、この様子を見ればどんな状況だったかなど口にせずとも察しがついていた。

 

「さて別館に来た訳じゃが…。ホントにあるかのう」

 

「それは探してみない事には分からないわ、ナガン」

 

グローザにそう言われ、うむと頷くナガン。

いざ動き出そうとした時、先にスプリングフィールド、Spit-Fire、SPAS-12と共に別館に来ていた一羽が廊下の曲がり角から飛んで現れ、彼女達四人の前で滞空した。

 

「おーナイスタイミングってか?まぁ良いや、イイもん見つかったぜ」

 

「早々じゃの。ほれ、案内頼めるかの」

 

グリフォンにとっては本当にタイミングが良かった。

イイもんは見つかったが、一つ障害を排除しなくてはならない。

この姿ではそれが無理である事は理解していた。このタイミングで人手が増えた事は喜ばしい事であった。

 

「あいよ、おばあちゃん」

 

「誰がおばあちゃんじゃ!トリ頭!痛い目に合わせたろうか?」

 

「おー怖い、怖い」

 

一羽と一人のそんなやり取りに三人の内の一人がクスリと小さく笑う声が響くのだった。

 

グリフォンに案内され、四人は先に来ていたスプリングフィールド達と合流を果たし、その先にあるものを見つめた。

どう考えても何かを収めていると思われる金庫の扉。組織が保有にするのは大袈裟とも言える程、扉はとても大きかった。

一体この先に何があるのだろうか。この場に誰もが思った。

 

「成程、それで」

 

「はい」

 

スプリングフィールドから事情を聞かされ、誰も扉に手を掛けなかった事にマギーは安堵していた。

恐らくグリフォンが危険を知らせただろう。

一目見た瞬間、この扉に転移系の罠が仕掛けられている事を見抜いていたのだ。

それも何者かが扉に触れた瞬間、発動するもの。

しかしこの罠の欠点としては身体が降れなくてはならない。

武器を用いて扉を破壊すれば、同時に罠も破壊される。

 

「ふむ…」

 

もう一度彼女は金庫の扉を見つめる。

ここまで大型となれば、ちょっとやそこらの武器や爆弾では破壊は不可。

 

「やっぱり難しいかな?マギーさん」

 

心配そうに声を掛けたのはスパスであった。

今この面子の中だと彼女が一番パワーがある人形だ。

その時マギーは思った。

以前試作品で作った"アレ"を彼女に使わせば、罠を発動させる事無く破壊できるのではないかと。

作戦が浮かんだのであれば即座に実行。マギーはスパスの手を握ると、他のメンバーへと言った。

 

「少し彼女を借ります。大丈夫、直ぐに戻りますので。行きますよ!スパス!」

 

「え、あ、ちょ…待ってえぇぇ~」

 

マギーに引っ張られ何処かゆるふわな声を出しながら消えていくスパス。

何を思い付いたのか分からないが、残された者達は二人が戻ってくるのを待つ他なく、Spit-Fireが隣に立っていたグローザに問いかける。

 

「一体なにを思い付いたのでしょう…」

 

「少なくともあれを破壊する方法は思い付いたと見るべきね。…そう言えば、貴女は悪魔との戦いは今回が初だったかしら」

 

かつて同じ基地所属という事もあり、二人は面識がある。

その中でもSpit-Fireはかなり後からやってきた人形であり、彼女が配属になった時からグローザはいた。

最も交流は指の数程度。Spit-Fireが所属した数日後に大規模作戦…『悪夢の終焉』が行われたのだ。

 

「いえ、これで二度目になります」

 

「二度目…?ああ、そういう事ね」

 

納得した様に頷きながらもグローザは思い出す。

錬金術士による基地襲撃事件の事を。

直接目にはしてないものの、中身のない騎士たちが攻撃してきたと聞いている。

二手に分かれてそれらは現れた様で、一つは隣にいるSpit-Fireとノーネイム達がいた基地正面広場。もう一つは本体と戦っていたギルヴァがいた内部の廊下で。

最も襲ってきた騎士が悪魔なのかすら分かっていないのだが。

 

「数で言うなら二回目ですけど…私からすれば悪魔との戦いは今回が初です。あの時はノーネイムとAUGさんが一瞬で倒してしまいましたから。私と95式さんは啞然としていましたよ」

 

「そう…。今回は大丈夫だったかしら?」

 

「皆さんがいたおかげで大丈夫でした。404の皆さんも居ましたし」

 

「なら良かった」

 

以前までグローザにとっては悪魔という存在は恐怖の対象である。

事実彼女は一度死にかけているのだ。悪魔によって。

普通なら一目見た瞬間、殺されかけた記憶を思い出し錯乱するであろう。

だが彼女はいつの間にか恐れなくなった。それも自身では気付かない内に。

今思えば、ブレイクと再会を果たした事をきっかけに克服したのでは彼女は思っている。

細かい事は分からない。しかし彼との再会が大きいとだけは断言できる。

 

(もしかしたらだけど。私がブレイクと再会した時と同じ様に…彼女もノーネイムと友達になれた事がきっかけになっているのかしらね)

 

Spit-Fireとノーネイムがとても仲が良いという事はグローザも知っている。

同じ基地に所属していた事もあって、彼女の支えとなったノーネイムにいつかお礼をしなくてはいけないわねと彼女は心の内で思うのであった。

 

数十分後、マギーはスパスを連れて戻ってきた。

そしてスパスの手に握られているものを見て、その場にいた者達は目を丸くした。

彼女の身長を大きく超える兵器。備えられた杭はまるで丸太の様に太い。

頭がピンク色に染まっている者ならば、その太さに変な事を考えているかも知れないが。

そんな冗談はさておき、こんなものを撃ち込まれたら只では済まない。

悪魔の固い装甲をただ撃ち貫くのみだけに特化された超大型パイルバンカーを彼女は手にしていた。

 

「よしっ…」

 

一通り操作方法をマギーから聞いたスパス。金庫の扉の前に立つとパイルバンカーを構えた。

狙うは一点。ただ撃ち貫く事だけを考える。

片足を引き、パイルバンカーを手にしている腕をゆっくり引く。

 

「せーの…よいしょっ!」

 

声と共に強烈な一撃が扉へと繰り出される。

直撃と同時に杭が撃ち込まれ、先端に取り付けられていた成型炸裂弾が内部に埋め込まれたと同時に炸裂。

極太の杭に備えられた一撃にはただ扉を貫くに留まらない。重厚な扉をあろう事か破壊したのだ。

派手な破砕音が全体に響き渡り、扉の破片が飛び散る。

幸いにもスパスに破片が当たる事はなかった。だが彼女はマギーから渡された武器の余りの威力に言葉を失い、立ち尽くしていた。

それを他所にマギーとグリフォンが金庫の中へと入っていく。

中には銃やら弾薬が置かれており、一目見ただけでここが武器庫だと判断していた。

そして内部の奥に置かれていたものを見て、マギーは眉をひそめた。

 

「これは…」

 

どういう原理で浮いているのか。

模様が描かれた三日月をしたエンブレムが二つ宙を浮かんでいた。

形は同じだが、描かれている模様は両方とも違う。

自立して宙に浮かんでいる点では、それが魔界の物である事は分かる。

しかし一方で誰がどう見てもただ模様が違うだけエンブレムと思ってしまうが、マギーは気付いていた。

これは、とある悪魔が姿を変えたものであると。

 

「こいつは化石発掘レベルですげぇぜ。こんな姿になっても大人しくしているなんてよぉ」

 

「そうですね…。私も驚いてますよ」

 

宙に浮かんでいた二つのエンブレムを手に取るマギー。

正体を知っているからこそ、今もなお驚いている様子であった。

それを見ていたグリフォンが、呟きながらその正体を明かす。

 

「"ネコちゃん"に"破壊兵器"…。どういった経緯でこんな姿になって、ここにいるんだかねぇ…」

 

 

 

その頃、一台の車両が人形売買組織基地の近くまで訪れていた。

戦闘は既に終わっている事は運転している少女も、助手席に座っている着物姿の彼女も分かっている。

後ろの置いてある簡易ベッドに眠る眼帯の女性と、ソファーをベッド代わりに眠る彼女を乗せながら車両は止まる事はなかった。

 

「さて…どんな奴らがおるのかの」

 

「それは直接目にしなければ分かりませんよ、ダンタリオン」

 




ギルヴァ達があちらの世界に行っている間…こちらの世界の視点を描きました。

"ネコちゃん"に"破壊兵器"…まぁ想像がつくかな?

そして合流しつつあるルージュたち。
彼女達の合流の後に…緊急コラボ作戦を展開する予定でございます。

次回では合流編&異世界から帰還した六人の、ある二人のやり取りを描くつもりです。


では次回ノシ

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