Devils front line   作:白黒モンブラン

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どちらかが勝利者となり、どちらかが敗者となる。
たったそれだけのこと。


Act126-Extra operation chase game Ⅰ

一週間。

鉄血のハイエンドモデル「追跡達」が与えた猶予。

長く感じる筈の一週間。しかし現実はそうではない。

基地で過ごす者達によっては余りにも短い準備期間と言えた。

そして今日、追跡者が予告した襲撃日を迎えた。

各基地がいつ襲撃来ても良い様に備える一方でS10地区前線基地もいつ襲撃されても対応できるように備えていた。

ダレンの魔術によって建てられた簡易トーチカにはMG部隊が待機しており、その後方からはシルヴァ・バレトを構えた代理人を筆頭に、RF部隊が待機していた。

HG、SMG、AR、SG部隊、そしてパトローネを装備したノーネイム、錬金術士、侵入者は基地正面入口で防御壁に身を寄せて、息をひそめていた。

偵察ドローンによって敵は既に確認されており、進行ルートも割り出している。

総勢50人で構成された重武装部隊「追跡者達」は余程基地を陥落させる自信があるのだろう。奴らは正面からこの基地に突っ込んでくる気であった。

その事を受けシーナは持ち得る戦力を総動員させ、迎撃態勢を整え防衛線を展開していた。

そして最大防衛壁とまで呼ばれた悪魔狩人達とルージュは基地正面入口付近で静かに待機していた。

雲一つない晴天の下、肌を撫でる様な緩やかな風が吹くが誰も一言も言葉を発さない。

ギルヴァは無銘を杖の様にして立てると目を伏せて精神統一。ブレイクと処刑人は近くの壁に背を預け、ルージュは大鎌を肩に乗せて前方を見つめていた。

その時、シーナとマギーと共に指令室で待機していたダレンの声が無線機に響く。

 

『良いか?お主らが要じゃ。不味いと思えば引け。良いな?』

 

今回の作戦はギルヴァ達に掛かっている。

数は多くない。しかし重武装にも関わらず機敏な動きを可能とし戦闘力も侮れない上に偵察ドローンからの映像では大盾を両手に装備した個体に加え、大型チェーンソーを装備した個体、ストライカーが持つガトリングガンを両手に装備した個体まで居た。

それが一体ではなく複数体居るのであれば、断じて気の抜ける敵ではないのは明白。

幾ら悪魔の血を流す者、悪魔の腕を持つ者であろうとチェーンソーに斬り刻まれたり、ガトリングガンに蜂の巣されたら命が幾つあろうと足りない。

ダレンが言っている事も決して間違いではなかった。

だが空間を切り裂きまくる男がいれば、様々な武器を使いこなし、様々な回避行動を繰り出し、様々な銃器を扱い、様々な反撃兼防御技を使う男もいれば、特徴異なる機械仕掛けの義手を操り、凄まじいパワーを誇る悪魔の右腕を持つ人形もいる。

念には念を入れよと言うが、この者達が加わっている点では一介の基地が持つ戦力と比べるとこの基地の戦力は過剰、否その域を超えている。

名前を付けるとすれば悪魔は死ね!(Devil Must die!)と言っていいほどに。

 

「確か追跡者ってあん時の…人形売買組織をぶっ潰す時に現れたあいつらをあんな風にした奴なんだろ?」

 

一週間前の宣戦布告で追跡者が明かしたある事を確かめる様に口にする処刑人。

彼女はてっきり彼女達をあんな風にしたのは人形売買組織の連中によるものだと思っていた。

その問いが聞こえていたシーナが処刑人の問いに答える。

 

『うん。あの子達をあんな風にしたのは、追跡者によるものだよ』

 

「そうか…」

 

『…追跡者を倒すのに何か躊躇いがある?』

 

「んな訳ねぇだろ。寧ろぶちのめす敵が明確になってスッキリしていたところだ」

 

実行犯が誰であろうと関係ない。

鉄血のハイエンドモデルでありながら、何処か情に熱い処刑人にとっては追跡者の行った行為は許し難いものであった。

人形であろうとその行いは悪魔の行いと言っても差し支えない程に。

その証拠と言うべきか、処刑人は幽体化している筈のデビルブリンガーが反応しているのを感じていた。

 

「その追跡者以外にも他の組織が関わっている気がしてならないぜ。俺と戦ったジャパニーズムシャみてぇな奴らも人形が素体として使われていたようだが…。婆さん、何か知ってるんじゃねぇのか?」

 

『何故わしだと思うんじゃ?』

 

「さてね。何となくそう思っただけさ」

 

肩を竦め、ブレイクは傍に立てかけてあった二対の重火器を手に取った。

形状からしてそれはランチャーと呼ばれるものであった。但し改造が施されているのか砲口下部にはバヨネットが、噴射口上部にはマイクロミサイルを放つポットが。

弾種を使い分ける事が出来るのか専用マガジンが二つも装備されていた。

重量のある代物だというのにブレイクは軽々と構える。

これはマギーが独自に開発した多機能大型ランチャーである。そして何よりもこの二つにはとある機能が組み込まれており、その事を製作者本人から聞かされたブレイクはつい笑ってしまったらしい。

彼曰くまるで魔法の杖みてぇだとの事。

 

「それで?いい加減待ちくたびれたんだが?」

 

『心配しなくても、もうすぐそこまで来ていますよ』

 

マギーの一声にブレイクの表情が変わる。

同時にギルヴァも伏せていた目を開き、先を見つめた。

長く続く道。その奥から黒い衣装に身を纏った集団が隊列を組んで猛スピードで基地へ向かってきていた。

一週間前に宣戦布告してきた追跡者と同じ姿をした者達の姿。

偵察ドローンが映し出した映像通り、両手に大盾を、大型チェーンソーを、ガトリングガンを両手に装備した追跡者達。

本体ではない。ダミー部隊だ。

この場に居る誰もがそれを確信し、手にしている銃器の安全装置を外し狙いを定めた。

わざわざダミー部隊だけをよこすには何らかの理由があるのだろう。

だがその理由を知る気などこの者達にはない。

敵なら潰すまで。それ以外の理由など要らないのだ。

 

『全員良い?数は多くないけど、その分戦闘力は侮れない。特にチェーンソーを持った個体には気を付けて。あれの一撃をまともに喰らえば只では済まないから』

 

指令室で特殊仕様に加えマギーによって魔の技術が施されたコートを肩にかけたシーナは被っていた帽子を深くかぶった。

スッと目つきが変わり、彼女は言葉を続けた。同時にその言葉は開幕を知らせる声となる。

 

『始めましょう。…ブレイクさん、ライブの合図を!!』

 

「オーケイ!!パァーと派手なライブと行こうかッ!」

 

大型ランチャーを肩に構えながらブレイクは高らかに叫ぶ。

反動は凄まじいものにも関わらず、気にする事もなくミサイルを連射。

無数のミサイルがそれぞれの軌道を描き、追跡者達にへと向かって行き襲い掛かる。

着弾し爆発音が周囲に鳴り響き、爆炎が舞い上がった。

しかしそれを物ともせず、追跡者達は爆炎の中から飛び出してきた。

どうやら大盾を装備したダミー達がブレイクの攻撃を防ぎ切った模様であった。

そして追跡者達は隊列を崩すとS10地区前線基地に向かって突撃。

 

『攻撃開始ッ!!全員―』

 

『―撃てぇッ!!!』

 

敵は動き出した。シーナが攻撃指示を飛ばし全員が銃の引き金を引く。

けたたましい程までの銃声が連鎖し、ブレイクの言う通り派手なライブが今開幕を告げた。

 

 

各地で起きたグリフィンの基地に対する追跡者達による襲撃。

拠点でダミー達の行動を見つめていた追跡者は画面を見つめながら、ニヤリと笑みを浮かべた。

目は見開かれ、その笑みは狂気そのもの。

 

「さぁ!始めよう!」

 

どちらが勝つか。

どちらが負けるか。

それには誰にも分からない。

追跡者にとってはその分からないが何よりも刺激的であった。

 

「ゲームの開始だ!!」

 

腕を広げ、追跡者は高らかに宣言した。

そしてそれを聞いていた者が一人。

 

「ゲーム…ねぇ」

 

その者は小さく呟く。

壁に身を寄せ、手に持っている起動スイッチらしきものを眺めながら。

何の為にあるのかは分からない。分かるのはそれを手にしている彼女…夢想家だけだろう。

彼女はフッと笑みを浮かべるとその場から離れていく。

 

「悪いけどルールは変えさせてもらうわね、追跡者」

 

言葉は追跡者に届く事はない。

夢想家は静かに奥へと通ずる暗闇の中へ消えていった。




という訳で今回からはコラボ作戦「operation chase game」開幕でございます。
またブレイクが持っていた二丁の大型ランチャー…まぁ分かるかな。
同時にシーナにも新たな力を与えていますが、そちらに関しては追々。
さて今回のゲーム…普通に終わるのだろうか

今回参加する方々も何卒宜しくお願い致します。

では次回ノシ

※間違えて内容が途中のままのを誤操作で投稿してしまい、一度削除させて頂きました。ご迷惑をお掛けしました。
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